消費者データ

CSRだ、社会貢献だって言っても、企業活動であるビジネスをしていくにあたって消費者(受益者)の動向を知る事は不可欠です。

今回は、野村総合研究所(以下、NRI)の書籍「なぜ、日本人はモノを買わないのか?」から、「全世代で69%いる社会貢献消費を願う人々」について考えてみます。

ちなみに以前書いた社会貢献消費の調査まとめ記事↓
みんな社会貢献に興味津々!CSR・社会貢献関連の意識調査12選

社会貢献消費・エシカル消費

2012年度にNRIが実施した生活者1万人アンケートでも、「価格が高くても、被災地に寄付されるような商品を購入したいか」という問いに対して、「そう思う」と回答する割合は14%、「どちらかといえばそう思う」と回答する割合は55%となっている。エシカル消費に対する意識は性・年代によって大きな差はなく、すべての性・年代で、「価格が高くても、被災地に寄付されるような商品を購入したい」と回答する割合が6割を超えている。
(書籍「なぜ、日本人はモノを買わないのか?」より)

ここでいう、エシカル消費とは「社会をよくするための消費」のこと。記事タイトルはわかりやすく“社会貢献消費”としましたが同義語とお考え下さい。

この本では、このような消費に対する価値観のシフトが起きている原因は大きく2つあるとしています。一つは、リーマンショック(2008年)、もう一つは、東日本大震災(2011年)です。原因というか、価値のシフトを加速させたと言えるでしょう。僕自身も同様の価値の変化を感じている人間なので、実感としてわかります。

さらに面白いデータもありまして、「NPO法人やソーシャルビジネス(社会的企業)に関心があるか」というデータでは、なんと全体の8%が「現在、すでに働いている」もしくは「関心がありいつかは働きたいと考えている」というものがあります。

道を歩いている100人のうち8人がそういう人たちと考えると、結構な割合ですよね。正直、もっと少ないと思ってました。

本当はもっと、社会貢献消費に関するデータを紹介したいのですが、これ以上すると引用ではなく盗作になってしますので、このへんで。

参考記事
・“意識高い系”な消費者が急増中! CSR活動をポジティブと感じる95%の消費者とは
・企業と消費者をぐっと近くへーー企業のCSR体験を求めた5つの良事例
社会貢献的消費動向を学べる本ーー希望をもたらす消費「スペンドシフト」

社会貢献マーケティング戦略

行動はともかく、大多数の消費者が「社会貢献消費」に前向きなわけでして、そこをターゲットにしない手はないでしょう。

この本で、別のデータとして上がっているのですが、社会貢献消費に前向きな人々の多くが抱える共通の課題があるのです。

それが、「どのように社会貢献すればよいかわからない」というものです。

企業の社会貢献を加味したマーケティング戦略としては、社会貢献型商品の開発・プロモーションをして、企業やブランドも社会的価値の高い存在になる必要があるでしょう。

コーズ・マーケティングと呼ばれる手法や、フェアトレード、オーガニックなどもマーケティングのキーワードとなるでしょうね。

ちなみに、ブラック企業だけではないですが、そもそも社会(環境など)やステークホルダー(従業員など)に大きな負荷をかけてビジネスをしている、企業自体の印象が悪い場合、社会貢献型マーケティングをしても、逆効果になりがちなのでご注意を。

参考記事
コーズマーケティングの限界を超えられるか? ボルヴィック「1L for 10L」
コーズマーケティングのCSR事例! “本を寄付する”新しい仕組み「チャリボン」
今年のまとめ!CSR・コーズマーケティングの事例・記事12選[2012年版]

まとめ

いかがでしたでしょうか。

東日本大震災以降、社会貢献に興味がある、実際アクションしているという人が増えたのは、あなたもイメージができると思います。しかし、性別・年齢問わず、7割近い人々が社会貢献消費に興味があるとなると、そこを無視したマーケティングはもう考えられませんね。

社会貢献マーケティング(社会貢献ビジネス)もそうですが、企業の社会貢献活動の企業・会社に与える意義・意味はかなりあるという、エビデンスになるかと思います。

日本企業が社会貢献活動をする理由って、素直に「儲かるから」でもいいような気がしますけどね。