AppleのCSRレポート
ご存知の通り(?)AppleはCSRレポートを発行していません。
先週、そのかわりというか、毎年発行されているサプライチェーンに関する報告書が開示されました。
もちろん、報告書の日本語ローカライズなし!英語読めない人は残念でした……え?僕もじゃん…。
概要はウェブにて日本語でまとめられてますけど、2013年版が日本語になるのはいつになるのやら…。
とりあえず、ハイライトを6つにまとめました。また、2012年の概要は以下の記事を参考にどうぞ。
必読
Apple社から学ぶ、WebにおけるCSRコミュニケーション
追記
日本語版(2013)出ました。
▶アップル|サプライヤー責任報告書2013
日本語版(2014)出ました。
▶Apple社の最新CSRレポート「サプライヤー責任報告書2014」
2013レポートハイライト
1、A 72 percent increase over 2011
We conducted 393 audits at all levels of our supply chain — a 72 percent increase over 2011 — covering facilities where more than 1.5 million workers make Apple products. This total includes 55 focused environmental audits and 40 specialized process safety assessments to evaluate suppliers’ operations and business practices. In addition, we conducted 27 targeted bonded labor audits to protect workers from excessive recruitment fees.
2011年の72パーセントの増加 – – 150万人以上の労働者がアップルの製品を作る施設で働いており、今回サプライチェーンのすべてのレベルで393もの監査を実施しました。また、この監査の合計にはサプライヤーの業務およびビジネス慣行を評価するための55の環境監査と、40もの特殊プロセスにおける安全性評価が含まれています。我々は労働者を保護するために27の労働監査を実施しました。
つまり、監査の項目も内容もパワーアップさせてますよってことです。
世界で最もイノベーティブな企業の一つなのですから、去年と同じアクションであるはずがないですよね。
2、Achieved an average of 92 percent compliance
Taking on the industrywide problem of excessive work hours, we achieved an average of 92 percent compliance with a maximum 60-hour work week. We are now tracking more than 1 million workers weekly and publishing the results monthly on our website.
過剰労働の業界全体の問題で考えると、我々は、最大60時間/週の労働と、92パーセントのコンプライアンス平均を達成しました。毎週100万人以上の労働者を追跡したり、当社のウェブサイト上で毎月の結果を公開している。
つまり、業界水準からみても、ウチは優良企業できすよってこと。労働時間管理も常にしてるよってさ。
3、Apple became the first technology company
In 2012, Apple became the first technology company to join the Fair Labor Association (FLA). At our request, the FLA conducted the largest-scale independent audit in its history, covering an estimated 178,000 workers at our largest final assembly supplier, Foxconn. The FLA’s independent findings and progress reports have been published on its website.
2012年に、Appleは公正労働協会(FLA)に参加した最初のテクノロジー系企業となりました。私たちの要求においてFLAは、私たちの最大の最終組立サプライヤー、Foxconnので推定178,000人の労働者をカバーし、その歴史の中で最大規模の独立した監査を実施しました。 FLAの独立した調査結果と進捗状況の報告は、そのウェブサイト上で公開されています。
つまり、第三者の監査を大規模で実施しましたよってこと。2012年にFLAに参加って、今までどれだけ関心なかったんだよって。
まぁ、Appleさんも改心したようなので、今後のアクションに期待ということでしょう。
4、Empowerment training programs
We extended our worker empowerment training programs to more workers and more managers. In 2012, 1.3 million workers and managers received Apple-designed training about local laws, their rights as workers, occupational health and safety, and Apple’s Supplier Code of Conduct. That’s nearly double the number of workers trained by this program since 2008.
我々は、より多くの労働者や、その他の管理職に労働に関する研修プログラムを実施しました。 2012年には、1.3万人の労働者や管理者は、現地の法律、労働者としての権利、労働安全衛生、および行動のAppleのサプライヤーコードについてAppleデザインの研修を受けました。ほぼ2008年以来、この研修プログラムに参加した労働者の数は倍増しました。
労働に関するCSR研修プログラムをたくさんしましたよってこと。
CSR研修プログラムは日本でもそうですが、まだまだ導入していない企業が多いですよねぇ。
グローバル・リスクの大きな要素なのに無視し続け、何か問題が起きたらCSR研修を推進する企業。
そういや、日本の某メーカー系大手企業も大不祥事をやらかしてから、CSR研修の数がものすごく増えたって、中の人から聞いたなぁ。
5、Education and Development program
We increased our investment in our Supplier Employee Education and Development program — which offers workers the opportunity to study business, computer skills, languages, and other subjects at no charge — expanding from four facilities to nine. More than 200,000 workers have now participated in the program.
無償で、コンピュータスキル、言語、および他の科目などの学びの機会を提供しています。そして、サプライヤーの従業員教育プログラムへの投資が4から9施設に拡大しました。また20万人以上の労働者が本プログラムに参加しました。
従業員のスキルアップ・トレーニングも積極的にしてますよって。人材教育は大切です。自社スタッフじゃなくてもね。
6、Protect the rights of workers
Continuing our efforts to protect the rights of workers who move from their home country to work in our suppliers’ factories, we required suppliers to reimburse US$6.4 million in excess foreign contract worker fees in 2012. That brings the total repaid to workers to US$13.1 million since 2008.
サプライヤーの工場で働く、移民労働者の権利を保護するための努力を継続しています。また、2012年に米国の過剰外国人契約労働者報酬の640万ドルを返済する必要がありました。それは2008年以来、1,310万ドルに労働者に返済総額をもたらします。
人権にも配慮してますよって。このあたりは詳しくわからないので、もっと調べてみます。
※日本語訳は僕の意訳なので注意してください。てへ。
Appleの労働問題への対処
Appleは同社の製造パートナーの製造施設における従業員の安全性と労働環境の改善に取り組んでおり、その年次報告でこの事実が明らかになった。エレクトロニクス業界ではここ数カ月、労働環境に大きな注目が集まり、その結果Appleやサムスンなどの企業は不正行為を防止するために一層努力すると約束してきた。Appleのオペレーション担当シニアバイスプレジデントを務めるJeff Williams氏はBloombergの取材に対し、「児童労働問題はどの企業も関わりたくない問題であるため、しかるべき注目を集めているとは思えない。その結果、本来あるべき姿に是正されていない」と述べた。
(アップル、児童就労が発覚した中国のサプライヤーと関係を解消していたより)
今まではAppleも「環境活動>児童労働」という問題意識だった。しかし労働問題が各国のメディアに取り上げられ、その問題の大きさに態度を改めていました。
製造プロセスにおいて、自殺者を何人もだして、児童労働もさせて、AppleのiPhoneは悪魔のプロダクツだと非難もされましたしね。
僕も嫌ですよ。僕がiPhoneやMacを買ったために、誰かが死んだり苦しんだりするのは。
グローバル・リスクである以上、リスクの回避をしなければ、全世界において「犯罪企業」のレッテルを貼られます。
その定義はなんでもいいですけど、CSR的概念を無視するとえらい目に遭うって好事例です。
ユニクロの柳井氏もインタビューで語ってましたが、もうグローバルなビジネスをする上で、CSRやソーシャルグッドの潮流を無視することはできないですね。
参照:社会貢献はビジネスなのか?社会貢献が“儲かる”のか考えてみた
まとめ
いかがでしたでしょうか。
Apple歴11年の僕です。
10年以上ファンをしている僕としては、無印良品とAppleには相当愛着があります。
NGOとの戦いが激化する中(特に環境系)、ウェブでの情報発信を積極的におこなっているApple。
環境活動だけなく、労働問題は2012年に相当問題になりましたが、Appleとしてもちゃんと動いてますよって話しです。
iPhoneユーザーのそこのあなた!
ステークホルダーの1人なんだから、動向をちゃんと追ったほうがいいですよ。
児童労働を放置する企業の商品なんか使いたくないじゃないですか。犯罪に加担する消費者なんてレッテル貼られたら嫌じゃないですか。
ふっふっふ、僕は知ってます。毎月何千人もApple製品で僕のブログにアクセスしていることを。
というわけで、Appleの今後のCSRアクションに注目していきましょう!
Appleのサプライヤー責任
Apple Supplier Responsibility|2013 Progress Report(PDF)
追記
日本語版(2013)出ました。
▶アップル|サプライヤー責任報告書2013
日本語版(2014)出ました。
▶Apple社の最新CSRレポート「サプライヤー責任報告書2014」