CSR/SDGs活動の失敗から学ぶ「失敗しない方法」

CSR/SDGs失敗

CSR/SDGs活動の失敗

CSR推進活動は2種類しかない。成功事例か失敗事例かである。(当たり前!)

というのは冗談でですが、特に大企業の担当者の方は、「成功したい!」より「失敗したくない!」というモチベーションが強いですよね。この10年ほどCSR界隈をウォッチしていますが、例えば「CSR 失敗」という検索数ってかなりあるんですよ。「CSR 成功」の数倍〜数十倍はあるかもしれません。

それはさておき、この10年で見えてきたのは「失敗しやすいCSRはパターン化できる」です。失敗しがちなパターンを把握することで、失敗しにくい施策を選択できるようになるでしょう。

そこで本記事では「CSR/SDGsの失敗から学ぶ失敗しない方法」をお伝えします。

CSRの失敗パターン

・社長が“勢い”で始めてしまう
・ステークホルダーの意見を“聞いたつもり”になっている
・ステークホルダーの課題を明確にできていない
・CSR活動の価値を簡潔に説明できない
・CSR活動の優先順位が不明瞭
・方針、戦略、が数年ごとに変わってしまう
・担当者がジョブローテですぐ変わってしまう
・シナリオ分析はするが戦略に反映されない
・CSR活動が競争優位性とリンクしていない
・効果検証をしない(できない)
・競合他社やメディアの情報に流されてしまう
・目標が「高すぎる」か「低すぎる」か「そもそもない」
・CSRの成果が経営層の報酬と連動していない
・CSRの目的/世界観の軽視している

他にもありますが、こういう事例はいくつもあります。CSR先進企業と言われている企業でさえ、上記の何かで引っかかっていることが多いです。ちなみに、ここではCSRとしていますが、ESGでもSDGsでもCSVでもサステナビリティでもほぼ同じだと思ってください。

これらの失敗をPDCAサイクルの中で改善できれば問題ないのですが、大抵つまずいたら、そこから進めなくなってしまうので問題なのです。「失敗は失敗のままにしなければ、それは失敗ではない」と誰か偉い人が言っていたような、いないような。

なぜCSRは進まないのか

失敗の定義を少し広げると「CSR活動が思うように進まない」という課題もあります。ただ、多くの企業でCSRが進まない理由は単純です。なぜCSRをするのか、という理由が明確でないからです。経営層で腹落ちしていない、とも言えます。何のためにやるのかという議論もないままに、「それが社会のトレンドになってきているから」という程度の認識で取り組んだのではCSRは進みません。

世の中に流される形でCSRを進めてしまうと、結局は経営層が「今は1円でも多く儲けなければいけないので、(CSRはコストでしかないから)余裕が出たらやろう」というスタンスになってしまい、掛け声倒れに終わってしまうのです。大切なのは「何のためにやるのか」ということが腹落ちしているかどうかなのです。「何のため」というのは、要は、CSRをコストとして捉えるか、事業機会としてとらえるか、という差につながってきます。

もちろん、CSR活動とはいえ倒産してまでするものではないですから、事業環境が厳しければコストの兼ね合いで縮小させることもあるでしょう。要は程度の問題です。逆にコスト削減につながるCSR活動もたくさんあるので、本当はそういう所に注力するればいいのですが、そんなのは誰もタダで教えてくれないので…。とにかくCSRの意味を今一度明確にして、社内のコンセンサスを取りましょう。

CSRの成果をどこでみるか

他には、失敗例として「時間軸を読み間違える」があります。短期的にうまくいく方法と、長期的にうまくいく方法は、違う場合が多いです。失敗するパターンとして逆の方法論を行う企業が多いのです。理想は同時に短期と長期の施策をまわすことですが、実際は交互にやるようなオペレーションになるかと思います。

この落とし穴を避けるには、成果とするKPIとKGIの設定が重要なポイントになります。たとえば、SDGs推進といいながら、1年に満たないスパンの活動をKPIとしたり、なんてこともあります。その短期KPIが2030年に成果が最大化できるのであれば良いのですが、大抵はアウトカム/インパクトが設定されておらず、たいした成果に貢献しない指標になってしまうと。

CSR活動は、3年後、5年後、10年後に、成果を最大化すればいいので、1年目にくらべて2年目で成果がでなくても本来は問題ないのです。次につながる失敗ならば、問題ないどころか成功でもあります。しかし、失敗をおそれて多くの企業でチャレンジができず、1年目も5年目も同じことをして同じような成果で満足するのです。ですので、次にはマネジメントをどうするのか、というのは議題になってきます。

しかしKPIによるCSRマネジメントも、これが正しいのかというと、実はそうでもないのかもしれないと思うようになりました。つまり、CSRのオペレーションは「KGI/KPI」よりも「OKR」の方が向いている気がしてます。CSR活動をKPIで管理するようになって、本来の意義が失われ衰退したのではないか、と思うくらいです。

OKR(Objectives and Key Results)とは、目標の設定・管理方法であり「目標と主要な結果」を指します。表現が難しいのですが、KPIの目的は「業績を可視化すること」であるのに対し、OKRの目的は「業務プロセスの目的/ゴールを明確にすること」です。OKRは目的志向というか。詳しくはググってみてください。書籍も色々でてます。

そもそも定性的な指標も多いCSR領域では、KPIとKGIが設定しにくい側面もあります。CSRは社会の変化を起こす取り組みでもあり、自分たちですべての効果計測ができないんです。人は、自分の見える範囲でしか物事をみることができない。そういう状況では、ミクロな視点よりもマクロな視点のほうが、プロジェクトの失敗は少なくなるのかもしれません。

成功しうるCSR

とはいえ、大きな経営資源をよくわからない施策に投下するのは経営としてリスクがあるので、失敗しても痛くない程度の施策でいくつか実践してみて、うまくいったケースを拾ってきて大きくするというのも、一つの考え方です。失敗をできるだけ多くすることで、成功が見えてくると。

たくさん実行するとたくさん失敗もします。失敗すれば担当者は上司に謝るしかありません。全部失敗したらまずいですが、全体として成功させていればいいんです。部分最適ではなく全体最適の考え方です。CSR推進活動が失敗する原因は「選択を間違える」ではなく、そもそも「成功しうる方法を知らない」ことがほとんどです。他には、CSRが失敗する大きな理由として「社会も現場も日々変わるので想定外は必ず起きる」があります。つまり、失敗や変化を計画に織り込まないから失敗する、と。どうやっても失敗することをゼロにはできませんから。

それに、長期でみたら、もし現時点でうまくいっても、来年失敗すれば最終結果は不成功です。だから企業経営は中長期の目線が必要なのです。直近の数字を真摯に受け止める覚悟は必要ですが、悲観してはならないのです。

失敗に条件はないのか

いままで何百社ものCSR担当者の方と話をしてきましたが、「それ前にやったけど効果ありませんでした」という施策を、ちょっと角度を変えてやったら上手くいく場合が結構あるということを知りました。失敗と成功を分けるのは「視点の差」だったりするので、明確に失敗の要因がわかっていること以外は挑戦する価値があるんじゃないかと。

あと多いのが「1回やってダメだったらからやめる」みたいなパターン。新しいことは周知(認知)されるまでに時間がかかるので、最低そこまでやり続けないといけないんですが、そこにたどり着く一歩手前でやめてしまうケースがとても多気がします。だから経営側に覚悟が必要なんですよね。

他の視点でいうと「同業他社がやってることを真似すれば自分たちもうまくいく」とは限らない、ということでしょうか。資金力、人的リソース、業界シェア、認知、ブランドイメージ、既存顧客の特性など、どれか一つ条件が違うだけで、同じことを真似しても全然効果でない、というのはよくあることです。だからケーススタディで事例収集しすぎると、視点が狭まってしまうので、私は講演でも事例は最小限にしています。成功例を真似して成功する保証などなにもない。そもそも施策の失敗事例は企業側から開示されることはあまりないので、成功事例をまなべても失敗事例を学べないハンデは大きいです。

まとめ

CSRを失敗という視点でまとめてみました。物事の失敗や課題には複数の原因が絡んでいます。ですでの課題解決に唯一の解はないというのが本質と思いますが、少しでも失敗に足を突っ込まないようにと、いつくか考え方を紹介しました。

私は、「他社の成功を学んで、成功する確率」は限りなくゼロに近いと考えていますが、「他社の失敗を学んで、失敗を減らせる確率」は結構高いと踏んでいます。

では、なぜ多くの企業が、他の企業が失敗したり課題と感じていることを乗り越えられないのか。これは「成功事例」はコンサルがよくシェアしていますが、「失敗事例」は基本的に表に出ないし出さないから、ほとんどシェアされることがないからでしょう。

簡単な話ではないとは思うものの、「成功したケース」「評価の高いケース」ばかりを追うのではなく「直前にあって皆が気づかずにはまる落とし穴」みたいなものを探したほうが、現実的には役立つノウハウとなるかもよ、という話でした。

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