コンサルタントも陥る企業の罠「SDGsウォッシュ」とは

SDGsがグリーンウォッシュ?

CSR関係者であれば「グリーンウォッシュ」というワードを聞いたことがある方も多いでしょう。

グリーンウォッシュとは、環境配慮がない商品・サービス・事業活動などをまるで環境に配慮しているように見せかけることです。環境意識が高いステークホルダーが評価してくれることを期待して、誤解を与えるような訴求を行う企業行動のこととも言えます。

最近、CSR関係者で話題になるのが「SDGsウォッシュ」です。つまり「レポーティング等でSDGsに対応しているように“見せかけている”けど、実際はなんの成果も出ておらずゴール達成に貢献していない」ことを指すと考えればよいでしょう。

CSR関係者は、SDGsのネガティブな側面や課題についてほとんど話をしません。(推進することでお金を稼いでいるので当然ですが…)とはいえ、企業のレピュテーションリスクにもつながることですので、本記事ではこのあたりの課題についてまとめたいと思います。

経営戦略としてのSDGs

ここ1年程度はSDGsが大手企業を中心に浸透し始めたとはいえ、成果をベースとした取り組みに関して現在の活動がどのような形でSDGsと関連しているかを整理できている企業は、まだまだ少ないのが現状です。

多くの企業のSDGs対応とは、すでにある戦略・方針・マテリアリティとどのように関連しているかなど既存活動とSDGsとの紐づけが中心であり、新たな成果や価値を創出するというものでもないです。有名企業のCSR関連報告書を読めばのこの傾向は一目瞭然です。既にSDGsを経営指標として掲げている企業の一部では単なる掛け声やスローガンに留まってしまっているのです。

これでは期待される成果が生まれないだけではなく、SDGsウォッシングとステークホルダーから批判されてもしょうがいないですね。開示情報をこねくり回すことで“新たな価値が生まれている”ように見せることはできますが、本質的ではありません。

さて、SDGs対応ですが、大きく2つの方向性があります。これはCSR関係者の中でよく言われる「リスクと機会」そのものですが、SDGsのフレームワークによる事業機会創出、バリューチェーン・マッピングによるダウンサイドリスク軽減(リスクマネジメント)です。

SDGsに向けたマテリアリティ特定をした上で、経営ビジョン、中期経営計画、事業戦略、コーポレートブランド戦略などの各種戦略の中でKPIを設定し、機能的な経営サイクルに概念を落とし込む必要があります。そういうプロセスがあってはじめて、SDGsがリスクと機会を浮き彫りにさせる効果を発揮します。上辺だけの対応では経営に与える影響は皆無なのです。

企業はなぜ対応が難しいのか

グローバルな視点でみるとSDGs達成のプロセスにそれぞれの企業の事業戦略が組み込まれることはありません。企業単位でどうにかなるゴールではないという意味で、です。企業は対処療法はできても根本的治療はできません。根本的治療は各国政府やもっと大きな枠組みの役割になるからです。

SDGsは文字通り“ゴール”を示しているだけで、そのものが投資フレームワークや企業戦略、ローカライズされたCSR実務でもなんでもないのです。これはCSVの時もそうでしたが、概念が普及しはじめるとコンサルティング会社が「CSRからCSVへ」と煽るから「CSVウォッシュ」(見せかけだけのCSV)が広く普及してしまうのです。いまはSDGsウォッシュともいうべき現象が確認できるようになったので、また2012〜2013年の「CSVウォッシュの再来」が一部で懸念されています。2014年に発表された「CSRとCSVに関する原則」みたいな警鐘的アクションがSDGsでも起きたりして。

今の世の中では企業がSDGsにどのように貢献しているか成果を示せとなっています。しかし、SDGs達成が仮にできたところで、世界の様々な企業ごとにどれだけの評価が加わるということはないのです。自分たちが誰かを救えても、誰かが自分たちを救ってくれるわけでないという、かなり厳しいロジックの中で、みんな試行錯誤しているにすぎません。要はSDGsを“過大評価”している、というわけです。

適切な課題対応

まずは一旦冷静になって、長期ビジョンを今一度見直したほうがいいと思います。SDGsは、企業の特定のステークホルダーのためのに設計されたフレームワークではないのです。私はCSR活動は「ステークホルダー・ファーストであるべき」と常々言っていますが、CSRはあくまでも企業とステークホルダーの関係性構築の話であり、適当な情報を並べてどうにか競合と横並びになるというレベルの話ではないと思うのです。

今後は「SDGsコンサルタント」と名乗る人たちも出てくるでしょう。そういう職種を否定しているわけではありませんが、すごい能力も成果も出せる人がいる一方、まさにSDGsウォッシングを進めてしまうコンサルタントがいるのも事実。人のふり見て我がふり直せ、ですね。大手企業をコンサルするだけでSDGsに順応できるというのなら、それは私にはできないことなのでどんどん進めていただきたいし、企業側もコンサルティングをうまく活用すれば良いと思います。しかしSDGsの内容をみれば、具体的なオペレーションはいわゆるCSRです。戦略だけで終わっている会社が多いので。もう少し、実務的なSDGsの議論も企業内で進めばいいのですが…。

SDGs達成に向かうミッションの価値とは、文章や図表の美しさにあるのではありません。より正しいであろう事業活動をもたらし、より成果創出に貢献することこそがミッションの価値なのです。ここを勘違いしている担当者の方が多すぎます。このあたりの背景を知っているのと知らないのでは、成果までの道筋が大きく変わると思いますので、あなたはそうならないよう知っておいてください。

まとめ

SDGsは普遍的でグローバルでセクターを超えた、まさに人類の共通言語であります。現代社会を生きる私たちにとって、もはや対応しないという選択肢はなく、どのように対応するかだけでが求められています。

様々な課題やSDGsウォッシングが起きてしまっている昨今ですが、普及に伴う過渡期の一時的な現象の一つだと思いますので、美辞麗句に踊らされることないよう、地に足をついた活動をしていきましょう。

そのためには特定のネットワークや派閥だけに関わるのではなく、いわゆるダイバーシティがあるコミュニティの中で情報収集をする必要があるでしょう。私も上辺だけの活動にならないように気をつけます。みんなでSDGsを盛り上げましょう!

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