|カテゴリ:企業価値向上 , 推進戦略構築

CSRはどんな企業価値に貢献できるのか

CSRと企業価値の関係

CSRは、どんな「企業価値(事業価値・ビジネス価値)」に貢献できるのでしょうか。

CSRは、なぜしなければならないのでしょうか。

CSRは、どのステークホルダーにとっての価値となっているのでしょうか。

私は、CSR活動は「宣言する(コミットメント)→実行する(PDCA)→成果を出す(価値創造)」のプロセスを通じてすることで企業価値を生み出し、最終的なアウトカム(インパクト)として経済価値に貢献できるものと考えています。CSRは、経済価値ですべてを語れないからこそ定性的なものも含めて企業価値を指標にを語るべきなのでは、と。そういう経済価値に換算しにくかった事業活動の“価値の見える化”をすることが、CSR活動なのではないかとも思うくらいです。

そこで本記事では、CSRを企業価値向上に貢献する枠組みに当てはめられるフレームワークと考え方を紹介したいと思います。今回は、ステークホルダーや社会の課題解決が、なぜ企業価値に貢献できるのかを簡単にまとめました。一部、思考実験的な箇所もありますが、ご参考までに。

※「企業価値」とは、文字通り企業にとって価値のあること、つまり「売上・利益の増大」「コスト/リスクの削減」とします。

ビジネス価値の創出

ビジネスとは「自社が持っていて他社が持っていない商品・サービスで、ステークホルダーや社会の課題を解決できること(≒顧客や社会から必要とされること)」です。ビジネス価値とは「誰かの課題解決する商品・サービスを提供すること」とも言えるでしょう。課題解決ができるからこそ“価値がある”のです。だからその“課題を解決する体験”に対して人は対価を払うのです。

当然、自社にあって他社にはない独自性の高い商品・サービスがあったとしても、ステークホルダー(特にエンドユーザー)や社会のためにならない、もしくは社会に著しく負荷をかけるものであったら、これは「必要悪」と言われ、存在しないほうが世のためになるという寂しいことになってしまいます。

この考え方を軸にすれば、マーケティング的に考えても「他社にはない、ステークホルダー・社会に必要とされる、自社の特徴となる独自価値を発掘し提供すること」が、企業価値となり、それをブラッシュアップし続けることで、ビジネスのサステナビリティを継続できると。

自社の“特徴となる価値”で“どのステークホルダー”の“どの課題解決に貢献できる”のか。この考え方が、ビジネスとして基本中の基本であり、CSRを経営に組み込むための超重要概念になります。逆にいえば、ステークホルダーへの価値を明確にできない会社に未来はない(可能性が高い)ということです。

昨今のCSRは経済価値の概念が先行しており、経済価値の前後にある企業価値の枠組みが無視されがちのように感じています。社会と経済という二項対立ではない概念はないものか。というわけで、次でその解決のヒントになるかもしれない「目的志向」の考え方を紹介します。

目的から考えるCSR

CSR活動はとても大きな概念なので、すべての戦略のスタート地点も大きな枠組みから始めないと本質を見誤ることになります。例えば、以下のようなものです。

信頼される企業になる(Purpose、ゴール)

競争優位のため(Why、なぜやるのか)

ステークホルダー価値の創出(What、何をやるのか)

CSR活動の積極的な推進(How、どうやるのか)

企業の「Purpose」から「How」を導く考えかたを、私は「行動落とし込み思考」と呼んでいます。矢印の向きが逆になり、具体的な行動から活動の意義や目的を導き出す考え方を「目的さかのぼり思考」と呼んでいます。またこれらの目的を最重要視する考え方を「パーパス・オリエンテッド・アプローチ」と呼んでいます。(詳しくは「CSRにおいて信頼と企業価値向上はどちらが先か」の記事で)

今、「価値(バリュー)」をより重要視したCSRの概念に整理できないか色々考えています。CSV的な発想はそのままに、経済(財務)と社会(非財務)という枠ではない、CSRだからできる価値創出の枠組みはないのか、と。

ここで「CSRは企業価値に貢献する活動である」と論理的にまとめられれば、CSRは企業価値を生み出す活動だと社内で認識され、トップもCSR活動に本腰を入れざるをえない、となるのではという妄想ができあがります。価値があれば誰だって実施するわけで、CSRが積極的に行われていない企業では「CSR=事業活動として価値がある」となっていないということでしょう。

多くの企業のCSR担当者のお話を聞くと、CSRの課題とされているのは顕在化したものでしかなく、本質的な「理想(将来)と現実(現在)のギャップ」を捉えているのでもなく、ただの「現状の不満」を課題としているケースもしばしば見受けられます。顕在化した課題が本質的な問題原因ではない場合もあるのでこのあたりは注意が必要です。

まとめ

すべての概念の整理がまだできていませんが、近々、CSRを企業価値に貢献させるためにフレームワークを発表したいと考えています。

実はこの作業は少し前から少しずつ進めていたのですが、共同で作業をしてくださるパートナーも決まり、急ピッチでフレームワークを作成を進めています。目新しいというよりは、よりCSRの本質となる価値にフォーカスした概念にしていく予定です。来年でCSR元年(2003年)より15年となり、日本のCSRの進捗フェーズも次のステージに進もうとしています。混沌としているCSRですが、その羅針盤となるようなものを目指します。

本記事が、御社の戦略策定のヒントになれば幸いです。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]