|カテゴリ:企業価値向上 , 目標設定

CSRにおいて信頼獲得と企業価値向上はどちらが先か

CSRと信頼性

CSR活動の最終目的は「信頼される企業になるため」とよく言っています。この趣旨に反対する人はいないでしょう。

ただ、ステークホルダーからの信頼を獲得するってすごく大変です。お金で信用・信頼が買えるならどれだけ楽か。信用は直接買えず行動した成果としてしか生まれません。

私の言う通り、CSR活動は「信頼される企業になるため」なのであれば、CSR活動とは「ステークホルダーからの信用を具現化しマネジメントしていく取り組み」とも定義できます。「信用を積み上げる」はとても価値あることですね。

ここまで書くと「では具体的にどうしたらいいのか」と絶対聞かれるので、本記事では「信頼」と「企業価値向上」を考える上で非常に重要となるフレームワークを中心にまとめていきます。

目的志向

CSRや企業経営など大きな概念を具体的に考えるときには、目的やゴールから情報整理をする考え方を使うのがセオリーです。例えば、以下のようなものです。

信頼される企業になる(Purpose、ゴール)

競争優位のため(Why、なぜやるのか)

ステークホルダー価値の創造(What、何をやるのか)

CSR活動の積極的な推進(How、どうやるのか)

CSR界隈では耳にタコができるほど言われている、企業の「Purpose」(目的、ゴール、ミッション)から「How」(具体的な活動)を導く考えかたを、私は「行動落とし込み思考」と呼んでいます。矢印の向きが逆になり、具体的な行動から活動の意義や目的を導き出す考え方を「目的さかのぼり思考」と呼んでいます。

この2つの考え方ですが、CSR担当者レベルでいうと、圧倒的に足りてません。CSR活動は、企業の目的(あり方)を達成するための手段でしかありません。ですので、ゴールが明確でないのに走り始める人たちが多く不思議に感じるくらいです。

私はこの企業の目的を最上段にする考え方を「パーパス・オリエンテッド・アプローチ」と呼んでいます。文字どおり、パーパス(目的)を最重要視した方法論という意味です。

大抵、ゴールから考えると、現実と理想(ゴール)とのギャップの大きさに「そんなの無理に決まってるよ…」となりがちです。それはごもっともなのですが、このプロセスがないとCSR活動の“軸”が作れないので、担当者が3〜5年で変わるたびに振り出しに戻る的な…。

ちなみに、達成できればベストですが、ゴールは100%達成する必要もありません。でもゴールは100%決めなければなりません。

企業価値向上は目的か

IR界隈ではなくCSR界隈でも「企業価値向上」という単語を良く見聞きするようになりました。(私もよく使うようになりました)

CSR担当者でも「企業価値向上」というワードを使う方が増えているのですが、しかしながら「企業価値向上」でさえも、企業の存在意義を果たすための手段でしかありません。

CSR活動推進(How)

企業価値向上(What)

競争優位のため(Why)

信頼される企業になる(Purpose)

ざっくりいうと上記のようなフローでしょうか。(本当はもっと細かいですが)

「企業価値向上」のように、一見するとゴールのようなことでも、突き詰めて考えると、実はかなり下層の概念だったりします。目的やゴールが不明瞭では、いつまでたってもたどり着くことができません。

ある会社では「5Why」といって、課題分析で「“なぜ”を5回繰り返す」ということをしているというのが有名ですが、それと同じで、「なぜCSR活動をするのか」から始まり、5回以上繰り返し、根本まで突き詰めると、より明確な答えにたどり着くことができるでしょう。

なぜ、CSR活動をする必要があるのか

企業価値向上のため

なぜ、企業価値を向上させる必要があるのか

競争優位のため

……

となるイメージです。これは理論武装というより、自分自身の考えの整理に役立ちます。

CSR戦略立案というと、かなり大掛かりになりがちですが、まずはこういったストレートなフレームワークからスタートすると、結構スムーズにいけたりします。

「行動落とし込み思考」「目的さかのぼり思考」のフレームワークは、CSR担当者でも簡単に使るシンプルでパワフルなものです。(使いこなすには相当の知識が必要ですが)、次のCSR報告書作成や、CSR戦略立案の時に、社内のディスカッションで使ってみてください。

まとめ

CSRは、時間軸(超長期的)・地域軸(地球全体)ともに、とてつもなく広い概念です。SDGsで「誰ひとり取り残さない」と言われても、それを実行するには年間400兆円が必要という話もあるようだし、70億人に対してのバウンダリなんて、考えるだけでも卒倒してしまいます…。

CSRは「やみくも、いきあたりばったり、ノリ(鶴の一声)」でいけるほど甘くはないってことです。だからこそ、成果を出したいのであれば、マテリアリティとバウンダリをきっち決めて(調べて)、「行動落とし込み思考」と「目的さかのぼり思考」を使って、CSR活動の全体像を明確にする必要があるのです。マテリアリティって、評価機関によるCSR評価を上げるためだけにやってるわけじゃないんですから。

CSR活動において「信頼」が先か「企業価値向上」が先か。どちらのパターンもあるとは思いますが、企業の最終的な「ありたい姿」を考えると、「信頼される」が目的に近い気がしています。

来年の2018年は、私の独立10周年であり、CSR元年より15年という節目でもあるので、もう少し整理して、セミナー等でも紹介をしていきたいと思います。(講師の仕事がくればオープンな場でも話ます)

関連記事
最近のCSRコミュニケーションの参考になる記事10選
新任CSR担当者はカモにされず予算管理できるのか
マテリアリティ特定は企業のウォンツで決まる



セミナー案内:更新済み2017年11〜12月のCSRセミナー[→詳細]

執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]