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ステークホルダーに評価される“良いCSRコンテンツ”の4つのポイント

良いコンテンツとは

CSRにおける「良いコンテンツ」ってなんでしょうか。

私の中では明確に決まっていて「ステークホルダーに評価されるコンテンツ」です。ですので、良いコンテンツには、ステークホルダー・ファーストの視点が必ずあります。

ステークホルダーの、情報ニーズを満たしたり、価値共創したり、行動変容を起こしたり、評価されたり、というのができないコンテンツは意味がありません。むしろ、残念ながら、そんなレベルのコンテンツであれば、予算・時間を浪費する害悪でしかありません。

当然、ステークホルダーの考えや好み、置かれた状況、社会背景によっても「良いコンテンツ」は変わるため、仮に完成された「良いコンテンツ」があったとしても、時間が経てば陳腐化していくため、定期的なアップデートが必要になります。

インターネットによって、もっといえばスマートフォンの浸透によって、社会や人も情報にふれるスピードがどんどん変化しています。5年前、10年前では考えられない、CSRコミュニケーションは複雑さを増した無理難題な時代に入っています。とはいえ仕事なので、CSRコミュニケーションに関わる企業担当者は、日々“良いコンテンツとは何か”と模索していることでしょう。

そこで本記事では、CSRコンテンツにおける課題を4つにまとめて紹介します。これらの課題を振り返り、御社のCSRコンテンツ運用のヒントにしてみてください。

※ここでいう「コンテンツ」とは、ウェブサイトや報告書だけではなく、イベント開催、コミュニティ運営なども含め、広義の意味で定義しています。

CSRコンテンツの課題:戦略

CSRコンテンツにおける一番の課題は何か。それは「戦略がないこと」です。

そもそもCSRコンテンツの展開・運用に関する戦略がなぜないのか。

最近はCSR活動の戦略(マテリアリティなど)策定が進み、KGI/KPIの設定も大手企業を中心に広がっています。これは素晴らしいことだし、PDCAをまわす(マネジメントする)には定量評価が重要ですから、良い傾向と言えるでしょう。

一方、特に、CSRウェブコンテンツやCSR報告書の“運用”における、KGI/KPIおよびPDCAなどが明確になっていない企業が結構多いです。対外的なCSR評価が高い企業にヒアリングをしても、明確な基準を設けていることはほとんどありません。

例えば、ウェブコンテンツでいえば、「アクセス数/ユニークユーザー数」が指標になりがちですが、私がこの5年以上調査し続けている中では、その指標はゴールに結びつく(コンバージョンする)ものではないと断言できます。CSR担当者でもウェブ全般に詳しい方というのはほとんどいないと思うので、そういった運用になってしまうのでしょう。

本記事では詳細までふれませんが、「このコンテンツのゴール(成果、KGI)は何か」「そのゴールを達成するためのマイルストーン(指標、KPI)は何か」という、PDCAの基本中の基本を改めて確認することをおすすめします。

CSRコンテンツの課題:網羅性

基本的には、開示する情報量が増えれば増えるほど、網羅性が高くなる傾向にあります。ここで問題となるのが「網羅性はすべてのステークホルダーにとっての正義ではない」という点です。正義というか、メリットともいえます。

CSR/ESG全般をターゲットとする統合型インデックスおよびアワード/ランキングでは、項目が多岐にわたり網羅的に情報開示されているかという「チェックボックス回答方式」に留まりがちになります。その結果、情報開示のテクニックがうまい会社は評点が上がりやすく、CSR活動の“質”が高くても情報の網羅性がない企業は評価できないのです。

CSR情報開示において、GRIスタンダードを基本としてその指標に従って掲載しているうちに、報告がデータブックとなってしまい、会社の特性が見えなくなる(読み物としての価値が落ちる)という問題もあります。自社ビジネスに関連したマテリアルな項目こそ、企業のオリジナリティとして評価すべきポイントと感じるのは私だけではないはず。評価を気にするがあまり、事業活動で最も重要な価値創出の視点が弱くなるのが原因の1つでしょう。

網羅性は投資家・評価機関に評価されるには重要なファクターとなりますが、その他多くのステークホルダーにはあまり関係ないものでもあります。さて、どうしたものか。

CSRコンテンツの課題:エンゲージメント

ステークホルダー・エンゲージメントに関する「接点」や「活動」を開示している企業は増えています。統合報告書では少ないかもしれませんが、CSR報告書ではセオリーとなりつつあります。

しかし、ステークホルダー・エンゲージメントに明確な方針、つまり「ステークホルダー・エンゲージメント・ポリシー」を定め開示している企業はどれくらいあるかというと……日本であるんですかね?

ステークホルダー・エンゲージメントとは、ステークホルダー(利害関係者)とエンゲージメント(関係性構築)するという意味です。コンテンツの内容によっては、知識レベルの差がありすぎて読者(ステークホルダー)が「上から目線だ」と感じることもあるでしょう。例えば、カタカナ語や専門用語が多い点でしょうか。

CSRコンテンツを評価するのに「わかりやすさ」という項目がありますが、この「わかりやすさ」を「わかりやすく」説明するのも難しい。わかりやすく説明することは「“読者が何を知っているか”を知っている」という前提が必要です。

CSRコンテンツはエンゲージメントの起点です。CSRコンテンツが、ステークホルダーの興味を喚起できているか、常にチェックするようにしましょう。

CSRコンテンツの課題:効果測定

CSRなどの社会インパクトはフレームワークが急ピッチで開発されていますが、実は、CSR活動のすべてを定量化できればよい、というわけでもありません。

効果測定には、定量化しにくい事象を、代理指標や行動指標も一部含めて計測するのが良いと思います。定量指標とは、過去一定期間の数値であり、サステナブル志向と趣旨が変わってしまうこともあるからです。数値化することで、価値創造フローを過去に引き伸ばしすぎると、未来を描くのが難しくなる場合もあるでしょう。

コンテンツのバウンダリを把握し、予測をたて、どのステークホルダーに、どんなインパクトを与え、どのような行動変容を期待するのか。

このあたりのステークホルダーの行動プロセスを追っていくのが重要なのです。効果測定は課題を解決する手段にすぎないため、目的化しないようにPDCAをマネジメントする必要があります。つまり、効果測定できなくても、最終的なゴールに確実に向かっている、もしくは、課題を確実に解決しつつあるという進捗が確認できれば定性的な情報でもよいということです。

まとめ

結局、ステークホルダー・エンゲージメントも、入口と出口は“人と人”なんですね。ステークホルダー同士の繋がりなんですね。企業を間に挟もうが、エンゲージメントは人と人。

CSRコンテンツ運営は、ステークホルダー・エンゲージメントの最重要項目の1つです。確実に進めていきましょう。

最後に身も蓋もない結論で恐縮ですが「評価されるためのCSRコンテンツ」にゴールはありません。日々精進しましょう。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]