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新任CSR担当者はカモにされず予算管理できるのか

新任CSR担当者の壁

なんか“カモ”にされているCSR担当者が多いんじゃないかな、感じることが連続であったのでメモしておきます。

CSR担当者といってもいわゆる“サラリーマン”ですので異動も多いです。私の印象では、特に20〜30代の方は2〜5年で異動をしているイメージです。9割の企業の場合、CSR担当者はCSRを大学院で学んだ人、NPOなどのソーシャルセクター出身、前職も別企業でCSR担当していた、などではありません。

この分野は非常にニッチで、CSRや社会貢献活動の前提知識がない方が着任されることがほとんどです。そのため、たとえば予算管理でいうと、CSR報告書/統合報告書などの相見積りをとってコスパがいいところを選びがちです。それはそれで問題はないのですが、コスパを優先しすぎると、組織全体から見たら「部分最適」となってしまい本来考えるべき「全体最適」なCSR活動および報告業務ではなくなってしまうこともあります。(このような現場からサポートのお声がけをいただくこともあります)

というわけで、本記事では、ダラダラと私が最近思うCSR担当者の課題をまとめます。(ちなみにCSR支援で優秀な人はたくさんいますので、すべての支援会社がダメという話ではありません。)

CSR担当者の属性

前々から思っているのですが、なぜCSR関連部門は“素人”が担当にまわされるのでしょうか。

私は毎年「CSR関連部門が今年から新設され担当に着任しました」という方と数十人は名刺交換しています。素人という表現はよくも悪くもその通りで、CSR関連業務は前提知識なしでは無理です。はっきりいって無理です。

まず業務の前提となる知識が膨大すぎるのも問題です。時間軸も他の業務とは異なり超長期視点が必要で、活動の対象が地球と全人類です。あらゆる範囲がとても大きく、基本的にどうしよもありません。CSR報告書を作るだけならなんとかなりそうですが品質管理までというと…。

CSR担当者は知識をつけなければなりません。良事例を自分で調べなければなりません。そうでないと、社内外からの信頼は得られませんし、CSR報告書制作会社からもCSRコンサルティング会社からも“カモ”にされます。素人を配置することのリスクを経営者は考えないでのしょうか?

CSR支援の内容は当然として相場を知らなければなりません。適切な予算を知ることで初めて適切なアウトプットが出せるものです。私のフィーは安くも高くもないと思っていますが、内容のわりに高い値段で提案する企業もそれなりにいます。

実際にCSRコンサルティング業務を発注したのに想像と異なる結果となるらしく、翌年からは別の支援会社に鞍替えする企業もたくさんあります。失敗することは勉強なのですが、できれば一回目から成功させたいですよね。ちなみに、私はその2ターン目のご発注でご相談を受けることが増えています。

たとえ特に望まない異動によりCSR部門の配属・兼任となったとしても、社内外からは専門職として見られるでしょう。「初級者だから」はステークホルダーからしたら言い訳以外の何物でもないのです。最近は新入社員研修などでCSRの話をすることも増えているような気がしますが、座学での研修は何年かたてば忘れてしまうものでして…。

社内のCSR担当者を研修やら実務OJTで教育し一人前にするのは時間もかかるし成果が伴う補償もありません。また、一部の企業を除き、知識や実績ができたころにジョブローテーションでCSRから別部門に異動となりますので余計に成果が遠くなります。CSR担当を10年以上しているという方って、日本に何十人もいないです。(社会貢献や環境部門からCSRとなればボチボチいます)

ベテランで優秀な人材に育てたらそれはそれで、今度は担当者から支援側の企業に転職する人もいます。CSRコンサルタントで“元・企業のCSR担当者”という人は一定数います。人材育成って難しいっす。

そういう意味では、専門家に設計の部分だけでもアウトソースするとより成果につながりやすいCSR活動ができるのは間違いありません。できれば、社内で悪戦苦闘しながらでも地道に社内リソースで対応するのがベストですが、ノウハウがなく“成果”を求めるならば外部リソースの活用は必須です。

CSRコンサルタントの価値

では支援側となるコンサルティングはどのようなものがあるでしょうか。

私自身の例だと、CSRコンサルタントとしてお客様に提供するものの多くは「知識」です。納品物でいえば「レポート」が多いです。当然、戦略構築であればそこまでのプロセスをまとめるのも重要な仕事です。

ではその知識の源泉は何でしょうか。私は2点あると考えています。「日々の情報収集と訓練から得られた専門性/視点」と「実務を積み重ねた経験/実績」です。

私は、毎日幅広くビジネス全般の数千記事をチェックし、毎月10冊以上のCSR関連書を中心にビジネス全般の書籍を読み、定期的な、CSR担当者のヒアリング、CSR/IR支援側の企業担当者との情報交換、大学教授やシンクタンクなどの研究者サイドとの意見交換、広報やマーケティングの学会での勉強、をします。そうした過程で得た膨大な情報を元に自身の知識や専門性に磨きをかけています。

当然、業界のトップコンサルタントは50〜60代の大先輩がメインなので、30代半ばの私(独立10年目)では大先輩たちとの20年の実績差はなかなか埋められません。ただ、現状において、国内トップクラスのCSR関連情報を持っていると自負しておりますし、そうなるために努力してます。

CSRコンサルタントというと、CSRの何を支援してくれる人なのかわからないというご質問もいただきますが、コンサルタントや企業ごとにも得意分野などがありますので一概には言えませんが、「考える部分をサポートする」ということです。

このあたりをご理解いただき、報告書制作会社を含めて、CSR支援をする会社・人などのアウトソースを活用していきましょう。すべて自前でやったほうがいいという人もいますが、自前のほうが高コストでしかも成果も出ない、なんてことは山ほどあるのも事実です。支援側の担当者に聞くと一発で知識・実績レベルがわかる“魔法の質問”があるのですが(私もされたくない!?)、それを知っているかどうかはコスパに大きく影響するでしょう。

(何度もいいますが、優秀でコスパの良いCSR支援企業もたくさんあります。そうではない会社が多い事実が悩ましい課題ということです。)

まとめ

お前がCSRの現場の何を知っているのか、とベテランの先輩方に怒られそうですが、この「投資コスト最適化問題」は、ケースバイケースすぎるため、なかなか語られることもありません。

私はCSRやサステナビリティという概念は企業経営において非常に重要なファクターだと思っています。モヤモヤがなくなることはないのかもしれませんが、日々情報発信し、何かの形で担当者の方の活動のきっかけを提供してまいります。その中でタイミングが合えば一人のCSRの専門家としてお手伝いさせていただく所存です。

愚痴のつもりが自身の宣言みたいになってしまいましたので、オチはありませんが今回はこのへんで。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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