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統合報告書/統合レポートは何を統合すべきなのか

統合報告書/統合レポートのトレンド

2017年も中盤戦に入り、今年度発行分の統合報告書/統合レポートの最終段階にきている企業も多いでしょう。

そんな中で、2016年の統合報告書まわりの調査データなども出揃ってきたので紹介したいと思います。

あと、ここ数年の統合報告書の流れを見て、いろいろ思うところがあるのでそちらもまとめました。統合報告書の制作実務の担当者必見と思われます。

統合報告書のKPI

企業が発行する統合報告書で人材や環境など財務以外の内容が増えている。KPMGジャパンによると、2016年に発行された279社の報告書では企業が示すKPI(重要業績評価指数)のうち非財務の指数は29%と、2年間で3ポイント上昇した。企業統治や社会貢献を重視する投資家が増え、企業も開示を進めている。
統合報告書は経営戦略から社会貢献まで幅広い活動を1冊にまとめたもの。16年発行分では平均22個のKPIがあった。このうち7割は売上高や純利益など財務情報だったが、人材(10%)、環境(8%)などの非財務情報も目立ってきた。
KPMGジャパンの芝坂佳子パートナーは「欧米ではKPIのほぼ半数が非財務情報という企業も多い」と述べ、日本企業には改善の余地があるという。統合報告書の発行企業は年々増加し、16年は279社と前年比27%増えた。16年は味の素や日立製作所などが初めて発行した。
統合報告書、非財務情報3割近くに増加、KPMG調べ

KPIを数えるということをしたことがなかったので、そこ見てるのかよ、と素直に思いました。

先月、経産省から『「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」を策定しました-ESG・非財務情報開示と無形資産投資の促進-』というリリースがありました。このガイダンスでは「SDGsやCSVも考慮した経営戦略を考えるのも重要やで」としています。開示に注目が集まりますが、本当に重要なのはCSR/ESGに関する活動だということを忘れてはいけません。

参考情報
KPMG「日本企業の統合報告書に関する調査2016」
第24回 日本企業の統合報告書に関する調査2016
KPMG「日本企業の統合報告の取組みに関する意識調査2017」

統合報告書の考え方

そもそも論ですが、非財務情報の情報開示は「課題認識」と「対応施策」がセットです。どちらかだけの情報開示では、第三者には理解できない場合があります。企業経営における課題を認識し対応をまとめた戦略を作り、PDCAサイクルをまわして実践し、成果をレポートにまとめていく、と。

私はIRや投資関係が専門ではないので全てはわかりませんが、投資関係者が思う統合報告書というのが、CSR関係者のそれと認識ギャップがあるように感じています。

そもそも、なぜCSR関連情報の開示が重要かというと、経営戦略って情報の質としては非財務情報になるからですよね。将来の財務に影響しうる情報というか、方向性がわかるというか。

ここ数年、統合報告書制作のアドバイス業務をさせていただいており、その中で常にモヤモヤを感じていました。

もしかしたら、統合報告書はアニュアルレポートとCSR報告書の合本ではなく、ガバナンス報告書とCSR報告書の合本のほうが理想形に近いのでは、と思うようになってきました。もちろん、財務情報が重要なのは間違いないけど、財務情報を軸に見たい人は、統合報告書よりアニュアルレポートのほうが、見やすいなとも思うのです。

そうなると、統合報告書の制作実務では、メディアのポジショニングマップである「ツール・マップ」(コミュニケーション・マップ、メディア・マップ、ツール・マトリクス)などが、より重要になってくるのでしょうか。直近で1社、ツール・マップ作成を支援させていただいていますが、企業によって統合報告書のポジションが変わるので、議論をしながら整理していく必要があると改めて感じています。

ちなみにツールマップは↓のようなものです。(サンプルは富士通さんのです)

まとめ

CSRコミュニケーションの基本軸は、財務および非財務情報の業績を大々的にアピールすることではなく、読者となるステークホルダーとのエンゲージメント(対話)です。

統合報告書は財務資本提供者がメイン読者というのは理解できます。でも統合報告書があるからCSR報告書を発行しないという企業も相当います。他のステークホルダーで非財務情報を知りたい人はなんのメディア見たらよいのでしょうか。

論点がいろいろな方向に行ってしましたが、なんとなくでも私のモヤモヤが御社にヒントになれば幸いです。

統合報告書はCSR報告書以上に評価機関やガイドラインを見ている制作担当者が多いように感じますが、ステークホルダー視点が抜け落ちたレポートほど必要悪な存在はありませんので、御社もお気をつけくださいませ。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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