|カテゴリ:CSRマーケティング , CSV/共有価値創造

CSV/シェアード・バリューの事例からみるインパクトの重要性

CSVのインパクトとは

2011年に登場したCSVという概念は、時間の経過とともに随分社会に浸透してきました。

日本企業が、CSVの概念の導入検討する段階から、実務的(戦略構築)レベルになってきていると感じています。また、部分的でもCSVを進めている企業では、より“インパクト”を求めるようになってきています。

概念の理解という初期ステップから次のステップに進むには、先進的な事例の確認も重要なタスクとなります。そこで今回は「Change The World リスト」を紹介します。

「Change The World リスト」とは、ビジネス誌のフォーチュンが、毎年CSVを通じて社会的インパクトを実現しているグローバル企業のトップ50を発表しているものです。CSV推進の本家本元が作るリストなので、へんな勘違いをすることなくCSVを学べるでしょう。

ということで、本記事ではChange The World リストの企業紹介、CSVに関するマイケル・ポーター氏らのコラム、などをまとめます。

Change The World 2016

2016年8月発表のリストでは以下のような企業がランクインしていました。

ゼネラル・エレクトリック、ネスレ、ナイキ、マスターカード、コカコーラ、インテル、伊藤園、マクドナルド、セールスフォース、ユニリーバ、アクセンチュア、ジョンソン&ジョンソン、リンクトイン、パナソニック、ギャップ、スターバックス、IBMなど、日本でも有名な企業がトップ50に入っています。

日本企業では伊藤園とパナソニックがランクイン。伊藤園は「茶産地育成事業」など、パナソニックは、「藤沢スマート・タウンプロジェクト」などが評価されたようです。

以下の公式サイトにはランクインの理由が解説されているので、詳細を知りたい方は確認してみてください。

Change-The-World(英語)

シェアード・バリュー思考

Change the World リストに関連するコラムで、マイケル・ポーター、マーク・クラマー両氏が「シェアード・バリュー思考」が重要だということを言っています。ポイントは以下の4点です。

1、社会的インパクトの追求によりCSVを企業戦略へと変化させ産業構造の変革を促している。
2、社会的インパクト志向によりミッション・ビジョンの再定義を促している。
3、CSVはNPOと企業とのパートナーシップを推し進める。企業にとってNPOは対立するステークホルダーではなく協働パートナーとなる。
4、CSVは投資家サイドの意識・視点をも変え始めている。

上記の4点はまさに重要なポイントになりそうです。日本の場合は「3」はないですね。元々、活動家的なNPOは少なく、NPO自身も企業はパートナーという認識が強いと思います。

定量化という文脈では、「4」はありうるのですが、現状においては難しいかもしれません。ソーシャルビジネスと言われるモデルでもたいした売上を出せていない例のほうが残念ながら多いからです。単純に投資家の評価上げたいなら、CSVよりガバナンス強化じゃないでしょうか。

参考:The Lesson Behind Fortune’s ‘Change the World’ List

金融庁におけるCSV

資産運用の分野でも、お金を預けてくれた人の資産形成に役立つ金融商品・サービスを提供し、顧客に成功体験を与え続けることが、商品・サービスの提供者たる金融機関の評価を高め、その中長期的な発展につながることは当然のことです。マイケル・ポーターは、これを Creating Shared Value(共通価値の創造)と呼びましたが、金融機関による共通価値の創造は、顧客と金融機関の価値創造に留まらず、経済や市場の発展にもつながるものと考えます。
『「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」における森金融庁長官基調講演』(2017年4月7日)

余談ですが、上記の話を耳にしたのでメモも兼ねて紹介します。最近ではこういったCSVの考え方も広がっています。多くの人は、経済価値と社会価値という相反する価値創造について考えるので、実行が難しいとして“口だけ”になるのだと思いますが、社会価値は属するマーケット(業種・業界)の繁栄も当然含まれます。

社会の発展というとフワっとしていますが、業界の発展といえば価値創造のバウンダリ(範囲)が明確になりわかりやすいのではないでしょうか。少し範囲が広いですが「産業クラスタ」のCSVという見方もできるかもしれません。前述の4つのポイントで考えると、「1」「2」あたりでしょうか。

まとめ

CSRとしては、CSVが作り出すステークホルダーへのポジティブなインパクトが最も期待するところだと思います。社会的インパクトの定量化はいうほど簡単なことではありませんが「成果を重視する」という考え方がCSRに持ち込まれたことはまさに革命的なことでした。

というわけで、御社がしている活動がCSRでもCSVでもどっちでもいいので、きっちり社会にインパクトを出していきましょう。それができなければCSRだろうがCSVだろうが“絵に描いた餅”でしかありませんから。

Change The World リストは、世界の最先端のCSV事例を知ることができるよい資料です。まだ確認していない方はチェックしてみてください。今年も夏の終わりに発表があるのでしょうか。今から楽しみです。

Change-The-World(英語)

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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