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CSRの目標管理(KGI/KPI)の考え方について

CSRの目標管理(KGI/KPI)

何年も前から、CSR活動のKGI/KPIを決めてPDCA回さなきゃダメだよ、という話を聞きますし、こちらから話を振ることもあります。

さて、2013年のGRI/G4発表以降、マテリアリティの概念の浸透により、このKPIという考え方がCSR界隈にも一気に広がりました。それは素晴らしいのですが、CSR活動のKPI設定の課題で「KGIを決めないこと」という新しい問題が顕在化し始めたのです。

ちなみにKGIとは最終的な目標数値、KPIとはKGIまでのプロセスにおけるマイルストーン(パフォーマンス指標)ですので混同しないようにしましょう。

では、CSR活動におけるKGI/KPIをどのように考えればよいのでしょうか。

指標自体の課題

CSR活動の指標となるインジケーターを決めるのはいいのですが、決めた指標が実はまったく無意味なものだったとしたらどうしますか?

例えば、CSRウェブコンテンツのKPIの一つに「アクセス数(PV/UU)」があります。もちろん、アクセス数はコンテンツ運営において重要な指標なのですが、残念ながらCSR活動の成果に直接影響しにくい成果指標でもあります。アクセス数が伸びてもKGIに影響しないとしたら、その指標を追いかける(向上させる)のは労力の無駄という側面もあります。

必ずしも定量化する必要はありませんが(意味のない数字を集めても意味がないから)、効果測定自体の必要がなくなることはありません。例えばここで重要な指標の考え方は「アクセス2倍よりコンバージョン2倍」理論なのですが、詳しく書くと長くなるので、これはまたどこかで書きます。

インパクト評価などもありますが、数値化したことで課題を発見できるけど、そもそも指標自体の設定がおかしかったという残念な結果も同時に知ることがあります。難しいですね。

PRは科学よりも芸術の要素が大きいと考えている。たとえば、クライアントが「ブルームバーグ(Bloomberg)」に載りたいと思っているなら、ブルームバーグの記事に取り上げられれば、たとえその記事があまり話題にならなかったとしても、やはり大成功なのだ。「PRが成功しているかどうかは、直感的にわかる」と、ゴーイング氏は語る。「実のところ、指標はそれほど重要ではない」。
広報・PR効果の指標化、いかに取り組むべきか?

例えば、上記の記事でもあるとおり、CSR活動で何かの目標に向かうとき、必ずしも科学的(定量化できる)である必要はないと思っています。そんなこといったら企業は特定のステークホルダーにしかエンゲージメントしないようになりますよ。

指標の量と質

KPIで難しいのは「質が抜け落ちやすい」ということもあります。

KPIとされた数値目標以外は、基本的に日々の業務で追う必要はありません。KPIが成果だと定められたら、KPIを最大化するのが優先業務になるのは当然です。

そうすると何が起きるのかというと、「量を追う」ことになり「質を考慮しない」ことになります。上層部からのプレッシャーが強ければ強いほど“水は低きに流れる”です。もっとも“簡単で手っ取り早い”方法で目標を達成しようとします。

上層部からのプレッシャーがとても大きい場合は、各種法令を超えるグレーな手法が取られることもあります。残念ながら営業会社などではよくありますし、昨今の大型不祥事でもこのようなことがありました。

KPIが明確であればあるほど、その目標さえ達成すれば褒められるし、そうでなければ上司に怒られるわけですから、その数値だけに意識が行くのです。質とかステークホルダーへの負荷とかどうでもいいんです。ステークホルダーに迷惑をかけようが、非倫理的行為であろうが、やらなければ自分が怒られてしまうからです。「こちらがやられる前にやれ」というビジネスの最も悪い面が顕在化してしまうのです。

これらの例は極端ですが大なり小なり“よくあること”です。量と質の2面のみで語ること自体が思考停止だと思っているものの、やはりこのあたりを整理しておかないと、のちのち軌道修正できなくなってしまうので気をつける必要があります。

まさにマテリアリティと同じ課題が出てくるわけです。重要な項目以外は本当にやる必要がないのか、と。ではこの課題を解決するにはどうしたらいいのかというと「バランスとロジック」です。CSR活動全体のセルフチェックシート活用や第三者評価を受けながらの微調整ができる仕組みがあれば、そこまで問題にならなかったります。

まとめ

本記事では「指標自体の課題」と「量と質の課題」の二つを紹介しました。

今、まさにこの課題に直面している企業も多いでしょう。本記事を読んで、モヤモヤしていた課題感がもっとモヤモヤした方もいると思いますが、メンター的な専門家にきちんと相談し、傷が大きくなる前に対処しましょう。

「木を見て森を見ず」になって、どうにもこうにもいかなくなってからではもう遅いのです。特に、全体最適と部分最適はKPI設定で重要な視点となるでしょう。

「マテリアリティ特定」と「KGI/KPI設定」はセットで考えて、整合性を確保し、新しいCSR戦略の土台にしていってください。(言うのは簡単、やるのは大変なのですが…。)

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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