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SDGコンパスより使いやすい!? 「SDG Industry Matrix 日本語版」

SDGインダストリーマトリクス

先月末に、国連グローバルコンパクトより「SDG Industry Matrix 日本語版」が発表されましたのでシェアします。

グローバルコンパクト|SDG Industry Matrix日本語版

「Industry Matrix」(産業別手引き)は、SDGコンパスよりも具体的な指示・指摘があるのでわかりやすいです。現時点では「食品・飲料・消費財」「製造業」「気候変動対策」「金融サービス」の4つのファイルが公開されています。

これらの前提としてCSR活動は業種・業態によってリスクと機会が異なる点があります。だからちゃんと分けて考えようよ、ということのようです。なぜ今まで画一的だったという疑問はありますが、これで業界格差は少なくなりそうです。

IT系と自動車メーカーが同じ課題と機会を持っているわけないですよね。今までのISO26000などでは業種で分けられてはいなかったので、最初は戸惑う方もいると思いますが、より実務的なイメージがしやすいかと思います。

SDG|製造業

例として「製造業」バージョンの総評を。

冒頭からいきなり「共有価値創造の機会」という話がでてきます。マジかよ、と思って英語版を再確認しましたが「Opportunities for shared value」って書いてありました。CSV推進派には大満足なツールのようです。

で、17のゴールごとに事例や「共有価値創造の機会」が紹介されています。日本企業事例も紹介されており、富士通、日立、丸紅、伊藤忠商事、住友商事、富士ゼロックス、三井物産などが紹介されています。(メインは海外事例)

セミナーで海外のCSR事例の紹介ばかりしている方もいらっしゃいますが(タイムマシーン・ビジネス)、こういうツールが公式ででてくると価値暴落しそうです。当ブログの読者の方は早めに知ることができてよかったですね。

ちなみに東洋経済新報社『「第12回CSR調査」業種別集計結果』(2016)によれば、SDGsを参考にしている企業は全体の「37.5%」(206社)、検討中は「18.4%」(101社)だったそうです。CSR評価の高い国内のトップ200社程度は参考にしている、ということでしょうか。これだけSDGsが話題になれば、検討中の100社も2017年発行分の各種レポートで言及してきそうです。

英語版は4つ以上ツールがあるので確認したい方は以下のURLからチェックしてみてください。

SDG Industry Matrix(英語版)

SDGsのインパクト

SDGsへの対応を本気で考えるならば、本来はインパクト評価までできてないければいけません。理由は簡単で「計測できないものは管理できない」からです。

企業がどんなに綺麗なCSR活動の「SDGs対照表」を作ったとしても、それは表現上/戦略上の話であって、実際のインパクトが起きていることとの因果関係はありません。SDGsに対応しているのであれば、どれだけ貢献できているか成果(インパクト)を求めるべきです。コンプライアンスやコーポレートガバナンスの対応と同じく、言うだけなら誰でも(不祥事企業でも)できる。で、実際どうなの?ということです。

逆に言えば、残念ですがインパクトを開示しない企業のSDGs対照表は飾りでしかない、ということでもあります。結果にコミットメントしない無責任な経営と情報開示で、ステークホルダーの誰が幸せになれるのですか、と問いたいです。

CSR実務の根本的なものですが“課題解決より問題発生を防ぐ”ことが重要視されます。残念ながら、社会課題を解決しなくてもビジネスはできますが、オペレーション上の問題が起き続けると企業は存続ができなくなる、という絶対的な事実があるため優先順位が違うのです。

安倍首相だけではなく、東京都知事の小池氏もイベント等で企業の経済的インパクトも含めてSDGs推進を含めた発言もしていますし、MDGsのころとは違い、SDGsの広がりというか、行政首長の発言に入ってきている事実などもかなり大きな影響があります。「開示フレームワーク」以上に活用したいものです。

まとめ

ここ5年の中で登場したイニシアティブやガイドラインの中では、一番話題なSDGs。2016年1月施行から丸1年がたち「SDGコンパス」を含めて、企業サイドの対応支援ツール(日本語版)が揃い始めてきました。

ただ日本全体でみたら、CSR報告書を発行している企業なんて2,000社あるのか?というレベルなので、「CSR報告書もCSR活動そのものもあまり興味がない企業」に、どのようにSDGs対応の有用性を伝えるべきなのか悩みます。CSRと同じく社会全体への普及で5〜10年とかかかるのかな?来年はまったくどうなるかわかりませんが、この感じだと、今年は国内の300〜500社くらいがCSR報告で言及して終わり、なのかもしれませんね。

私はCSR支援をさせていただく立場としてSDGs普及の草の根活動をしていきますが、私一人でどうにかなるものでもありません。推進派にも派閥があるのは重々承知ですが、グローバルコンパクト・政府・大手コンサルファームなどの包括的な対応の枠組み作りの手腕にも期待しています。

正直、今のままだと日本では囲い込み支援ビジネスで身内だけ盛り上がって終わりそうで怖いです。さてどうなるでしょうか。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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