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政府も進めるSDGsはCSRとして成り立つのか

SDGs実施指針

2016年12月、内閣のSDGs推進本部は「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」を決定し発表しました。

『本実施指針は、SDGsの実施のため政府が関係府省庁と一体となり、あらゆる分野のステークホルダーと連携しつつ、広範な施策や資源を効果的かつ一貫した形で動員することを可能とすることを目的に策定された。』とのことです。

ご存知の方も多いと思いますが、SDGsは「推進本部」やら「首相官邸」やら「政策会議」などで日本国として積極的および主体的に対応をしている枠組みです。

CSRの国際的な枠組みの多くは、そうはいっても民間組織が主導しているものであり、200カ国近くの世界中の国家レベルを巻き込んだものは初めてなのです(厳密にはMDGsもそうだったかもしれませんが…。)

というわけで、本記事では「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」について、私の考えをまとめます。

持続可能な開発目標(SDGs)推進本部

上記のインデックスページには「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表)」という資料もあり、官公庁や課題ベースで様々な具体例がありますので、SDGsに興味がある担当者は必ずチェックすることをおすすめします。

実施指針

SDGsの達成のためには、公的セクターのみならず、民間セクターが公的課題の解決に貢献することが決定的に重要であり、民間企業(個人事業者も含む)が有する資金や技術を社会課題の解決に効果的に役立てていくことはSDGsの達成に向けた鍵でもある。

既に一部の民間企業がSDGsに社会貢献活動の一環として取り組むのみならず、SDGsを自らの本業に取り込み、ビジネスを通じて社会的課題の解決に貢献することに取り組んでおり、政府としてこうした動きを歓迎する。

また、今後の2030アジェンダの実施に際して、先進的な取組を行っている民間企業等のグッド・プラクティスの共有や表彰等による奨励策の検討を進め、民間企業との更なる連携の強化を図り、さらに、民間企業がイノベーションを生み出すための支援や環境整備に取り組む。

(「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」より引用)

政府サイドの取り組み

これはつまり…SDGsの政府主催のアワードが実施されるということでしょうか。現状では、SDGs推進にビジネスセクターの関わりは少なく、一部の関係者が盛り上がっている以上に何も起きていないのが現状でしょう。

あと私としては『ビジネスと人権の観点に基づく取組やESG投資、社会貢献債等の民間セクターにおける持続可能性に配慮した取組は、環境、社会、ガバナンス、 人権といった分野での公的課題の解決に民間セクターが積極的に関与する上で重要であるのみならず、こうした分野での取組を重視しつつあるグローバルな投資家の評価基準に対し、日本企業が遅れをとらずに国際的な市場における地位を維持するためにも極めて重要である。』という記述が気になりました。

SDGs対応によるESG投資の評価レベル向上を期待している、というふうに読めます。また『民間企業がSDGsに社会貢献活動の一環として取り組むのみならず、SDGsを自らの本業に取り込み、ビジネスを通じて社会的課題の解決に貢献することに取り組んでおり』は、いわゆるマテリアリティ設定やCSVやソーシャルビジネス的な方面も政府として期待してるぜ!ということなのでしょうか。

日本はCSR関連の法令はピンポイントではあるものの、今後は実質的な法律として、例えば“コンプライ・オア・エクスプライン”のように、CSRやらなくてもいいけどやってない理由を聞かせてくれない?という社会の流れになるのであれば、支援側の人間として大賛成するところであります。

大切なので2度言いますが「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表)」という資料も合わせて確認しておきましょう。日本政府の動きをSDGs対照表としてまとめたものです。企業サイドの開示資料としても参考になると思います。

まとめ

政府や官公庁がSDGsを推し進めている様子はご理解いただけたかと思います。

科学的・論理的に合理性があっても、必ずしも社会的に合理性があるとは限らない。逆もまたしかり。

特にドメスティックな企業では、17の目標がバウンダリ外であるパターンも多いかと思います。バウンダリでもマテリアリティでもない枠組みに積極関与する意味はなんでしょうか。(じゃあマテリアリティに組み込め!と言われるとは思いますが…)

また、それをCSR報告書/CSRレポートを読むようなステークホルダーに対してどのようにメリットを説明したらいいのでしょうか。ESGやCSVといった考え方に、無理やり関連付けている専門家も多いですが、それは、自社のステークホルダーに対して本当に有益なことなのでしょうか。

全世界的な、強大な枠組みとして国連・日本国政府の動向に参加するのは大切ですが、今一度、自社のステークホルダーと対峙し、2030年までの社会的責任を考えなおしてみてはいかがでしょうか。もちろん、グローバルな視点はもちつつも、ローカルな対応も同じように重要なのは言うまでもありません。

まぁ、本気で対応しようとするならグローバルコンパクトに加盟して一次情報を集めるしかないと思います。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]