挑戦のマインドがなくなった日本企業のCSRとは–コストとリスクの天秤

CSRとは

挑戦のマインドがなくなった日本企業

日本のCSRも1990年代はたしかにコスト(サンクコスト)にしかならないCSR・環境活動も多かったと思います。

しかし2000年代に入り、コンプライアンスやコーポレートガバナンスの重要性が認知され始めて、先進的な企業から戦略的にCSRへの投資が広がり始めました。2010年代、特に2011年の東日本大震災以降、企業の多くは改めて「CSRとは何か」と自身のあり方を問うようになり、一気にCSRの考え方が中小・中堅も含めて広がりました。

しかしまだまだ一部の企業だけで、例えば、日本最高峰の企業群でもある上場会社でも、CSRに取り組む企業は半分程度とも言われています。でも今より“上に行く”には、ステークホルダーを巻き込み前に進む必要があるという現実もあります。

ということで、取組みの実践に対する考え方について、思う所を書きたいと思います。

未来を待つのか、未来を創るのか

日本はさまざまな市場で一度トップになってしまったので、リスク回避思考がはたらいて、「率先して挑戦するよりは、先行者が試行してその分野や技術がこなれるまで待ってから取り入れる方が良い」という発想が強いのではないか、とプロジェクト現場での議論や提案活動からも感じます。
新しいことに対して貪欲なつもりかもしれませんが、情報を収集するだけ収集して一向に実行に移そうとせず、批判的に、斜に構えて眺めているように見うけられることに度々遭遇します。データの蓄積に関する考え方がまさにそうです。
アメリカの場合は「今はまだ儲からないけど、将来これがお金になるんだから溜めておこう、そのための基盤整備をしよう」と割り切った考え方でまず始めようとしますが、日本では「儲かることがはっきりしてからやればいい」と一向に腰をあげないか、やりたい現場と効果を先に説明しろという経営との間で担当者が困っているといったことが多々あります。
IoT時代のナンバーワンを目指すために、日本は本気でチャレンジャーに戻る必要がある

これ、CSRとは全く別の業界の話ですが、CSR界隈でもすごく遭遇する話です。

「結果が見えないと投資できない」、「同業他社がやり始めたらやる」みたいな“ザ・日本人”的な発想がわからなくもない。

でも、経営とはリスクをマネジメントすることでもあるので、グローバル・ローカル問わず、数多ある社会課題やステークホルダー間のリスクに対応すべきなんですね。特にCSR領域では「情報収集はするけど、実行はしない企業」をよく見かけます。

日本では、経団連をはじめ様々な官公庁も「CSRとは何か」みたいな問いに答えていますが、著名なイニシアティブが言っているけど今はやらなくていい、という思考停止に陥っているように思えてなりません。

ポジショニング戦略でもケイパビリティ戦略でも、CSRは事業の基幹を司る概念だと思ってまして、ステークホルダーを無視した経営って成り立たなくなってきてるのではないでしょうか。

未来を誰かが作ってくれるのを待ちフォロワーとして生きていくのか、未来に積極的に関与し想像するパイオニアになるのか。ステークホルダーは、御社にどちらの姿勢を望んでいると思いますか?

まとめ

結論、CSR推進体制を“コスト”ととしてしか見ない経営層は、所詮その程度のレベルと判断せざるをえません。コンプライアンスやコーポレートガバナンスなどは特に戦略的にコストをかける所だと思うんですけど。

そもそも、コストをかけない(人件費は多少かかるけど)CSR活動だってたくさんあるし、こういう“守りの思考”自体がサンクコストなんだなぁ、と第三者として感じる所です。

中途半端な取組みが、時間・予算ともに一番もったいない。どのステークホルダーも幸せになれませんよ。やるんなら、ちゃんとステークホルダーと向き合いましょうよ。

コストがゼロでできる事業活動なんてないわけだし、戦略的にCSRに取り組む企業が増えてほしいと思う、今日この頃でございます。ぜひ、以下の記事もお読みください。

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