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サプライチェーンマネジメントにおける、CSR調達のリスク・オポチュニティ

サプライチェーンマネジメント

CSR調達のリスク・オポチュニティ

最近は情報セキュリティのサプライチェーンマネジメントも重要になってきました。

もちろん以前から顧客・取引先の情報を外部に漏洩させないのは超重要なことですが、残念ながら自社はよくても、ウェブサービスなどの委託先で情報管理の不備があり、情報漏洩につながる事例が後を絶ちません。

情報漏洩問題がCSRの問題かというと、コンプライアンスやコーポレートガバナンスともつながるし、十分範囲内の話かと思います。詳しくは『情報漏洩は誰のせい? コンプライアンス違反7事例』という記事にまとめています。

さて、情報漏洩は誰にでも起きる可能性のある“身近なリスク”ですが、ある程度の規模感でグローバル調達を行なう企業には、“身近ではない”、むしろ調達活動の裏側で見えにくいリスクへの対応が必須となっています。

以下で、サプライチェーンマネジメントの本丸である「グローバルリスク対応」についてまとめます。

児童労働と強制労働

大手食品業者ネスレ社は8月31日、世界各地のキットカット製品に使用されている全てのカカオが来年上旬までには独立第三者機関により認定される予定だと発表した。ネスレ社はキットカットが、児童労働を使わないサステナブルなカカオを使用する、初めての世界的チョコレートブランドとなる。
キットカット、児童労働によって収穫されたチョコレートを使用中止に

「強制労働・児童労働をさせない」。これは世界共通のリスク対応意識です。サプライチェーン上で起こる問題で「人権・労働慣行・環境」は3大リスクといえるかもしれません。

ネスレだけが悪者というわけではありませんが、世界のCSR先進企業の多くは、過去に活動家(アクティビスト、NGO)に叩かれて今のポジションにいます。ネスレも過去散々叩かれて、今は世界トップクラスのソーシャルマインドを持つ企業へと転換しています。

大手企業のサプライチェーンは、社会に大きな影響を与えるだけに活動家からの批判が集中しがちです。これは日本企業にも例外はありませんので、気をつけたい所です。

インクルーシブビジネスへの統合

企業の競争力を高めつつ、コミュニティの経済・環境・社会的な状況を改善させるインクルーシブ・ビジネス・モデルによりバリューチェーンに貧困層を統合させる企業が増えている。
貧困撲滅におけるインクルーシブ・ビジネスの役割

CSRアジアの記事ですが、サプライチェーンとの関わりについて「地域や小規模サプライヤーとの協働を図り、小規模農家を支援することで能力向上や製品の品質向上を目指す。」としています。記事内では、ユニリーバ、インターフェイス、オニキス・ホスピタリティ・グループの例が挙げられています。

サプライヤーのビジネスの中に入り、自社のサプライチェーンとして取り込み(協業し)、リスク低減のためのアクションはもちろん、競争力の向上を一緒に行なっていく。厳密にいうと、リスクマネジメントではないのですが、ステークホルダーとの関わりを強めることで、リスク発見と予測ができる部分はありますよね。

フェアトレード

NTTデータは、「フェアな社会の実現に向けた貢献」をCSRの重点項目に掲げ、2007年からフェアトレード活用への取り組みを開始した。
社員や来訪者へは喫茶コーナーのコーヒーをフェアトレードに置き換え、株主総会に出席した株主へは、フェアトレード認証を得た材料を使用して作ったオリジナルケーキを配り、ステークホルダー(利害関係者)に対するフェアトレード啓発活動へとつなげている。
企業CSRとフェアトレードの取り組み インド綿農家の生活向上を支援

NTTデータの事例。長期的に取り組んでいるし、素晴らしい活動だと思います。記事で『これまで職場や社内カフェで購入していたコーヒーなどを置き換えるだけで、スモールスタートができる導入しやすさもある。寄付ではなく、購入することで継続した日常的な社会貢献につながる仕組みを、社内で浸透させていきたい。』と社会貢献推進室の方の発言があります。

フェアトレードはサプライチェーンマネジメントでも重要な要素ですが、NTTデータの事業上のリスクマネジメントではなく(本業とは別)、社内の社会貢献意識の向上という、インナーコミュニケーションの要素が強いように思います。社内浸透にはとても良い事例かと思います。

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まとめ

フェアトレードなどの概念の浸透により、サプライチェーンマネジメントによる調達行為による差別化(マーケティング)も一部では進んでいます。

サプライチェーンマネジメントはリスク対応であるし、やり方・見せ方によっては事業オポチュニティともなります。ツッコミ所ばかりのなんちゃってフェアトレードも多いですが、リスクマネジメントの壁を超えて、経営効果につながる展開をしていきたいですね。



執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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