企業不祥事とレピュテーションマネジメントの関係

レピュテーションリスク

レピュテーションリスクマネジメント

企業で不祥事が起こると、レピュテーション(評判)が下がる。当たり前の論理に見えますが、本当にそうなのでしょうか?

不祥事は、「コーポレートガバナンスの不備」と「サプライチェーンマネジメントの不備」が多いですね。ガバナンスとは、会計監査や業務監査などの監査体制が甘いから事件は起きるということです。

サプライチェーン上では“取引先の不祥事”です。自社が悪くなくても、最終的に商品・サービスを提供していれば叩かれるのは…言わなくてもわかりますよね。CSRにおけるリスクマネジメントではこちらのほうが多いのかな。

で今回は、社内で起きた不祥事について言及します。問題は「監査」です。

東芝の事例

東芝の粉飾決算疑惑に見る監査制度の闇

先週の記事ですが、どえらい大きな問題になってきているようで、CSRにおいて日本でトップクラスであった東芝の信頼性が大きく揺らいでいます。

ウェブサイトなどのCSR報告でもISO26000の枠組みを使い積極的に情報開示をしておりますが、もしかすると、「コンプライアンス」と「コーポレートガバナンス」の項目が“嘘だった”となってしまうのかもしれません。できないならコミットメントしちゃダメだって、みたいな。

現在も調査中の事案のため、最終的にどうなるのかわかりませんが、マルハニチロの不祥事をフィーチャーしたCSR報告書・特別版のように、世間を騒がせた原因とプロセスの情報開示をしていただきたいものです。

僕は、いくつかのツールでは東芝ユーザーなので、消費者の1人としても今後の動向に注目しています。

日本ハムの事例

日本ハムは29日、「豚の免疫機能を顕著に高める」として開発した家畜飼料用の乳酸菌について、実際には効果がないことを知りながら特許を取得していたと発表した。既に特許取り下げの手続きを開始した。乳酸菌は豚の腸内菌から抽出したもので、安全上の問題はないという。
日本ハム、乳酸菌の効果偽り特許取得 豚の飼料用

この事件もけっこうえげつない感じですよね。東洋ゴム工業みたいに、特許やら許可を不正に取得していたということですよね?これは非常によろしくない。しかも、特許取得から5年たって内部通報があって発覚したとか…。もし内部通報がなければ…。

食品企業の不祥事に日本人は敏感だって知っているでしょうに、“嘘”ついたらダメですよね。何かをミスったのなら最悪、次は絶対にしないように、で終わるけど、嘘ついたってことは、他の部門で同じ事してるんじゃないの?ってなりますよね。「安全上の問題は全くございません」って言われてもなぁ。

「シャウエッセン」は大好きなブランドでしたが、ちょっとイメージが変わりましたね。東洋経済のCSRランキングでも上昇してたから、消費者として応援してたのに。でも美味しいからまた買ってしまう気がしますが。

過去の不祥事

実際の所、該当業務にあたっていた従業員がいけないとは思いますが、責任は経営陣にあるわけだし“トカゲの尻尾きり”をしても何も解決はしません。以下の記事もぜひチェックして、不祥事が起きないように、また起きても適切な対応ができるようにしておきましょう。

CSRで評判を作る? レピュテーションリスクマネジメント4事例
不祥事で注目のレピュテーションリスクマネジメント
サプライチェーンマネジメント・CSR調達事例から学ぶ、リスクと機会
マルハニチロのCSR報告書が示した、不祥事後の情報開示の意味20
企業倫理問題事例からみる、CSRと倫理の関係

不祥事とレピュテーション

で、冒頭でも申し上げましたが、企業で不祥事が起こると、レピュテーションが下がる。当たり前の論理に見えますが、本当にそうなのでしょうか?

例えば、世界トップ企業でもあるApple社でも、ここ数年、委託工場での労働問題がメディアで叩かれていました。露出量は世界中で相当だったと思います。

で、Appleって評判落ちました? 株価落ちました? 製品を手放す人増えました? 2015年のブランドランキング等を見ても、Appleの評判は落ちるどころか上がっているようにも見えます。ユニクロとかもそうですよね、めっちゃ世界で戦っていますけど、NGOから労働問題とかで叩かれてましたよね。で、評判ガタ落ちで株価ガタ落ちになっていますでしょうか?

この差ってなんなのでしょうね。不祥事やCSR的な課題で叩かれても、顧客や評判が離れない理由って何でしょう。

理由の一つとしてブランディングが成功しているというのはあるでしょう。他にも理由があるとすると「トップの顔」が挙げられるかもしれません。

社長がメディアに出て、誠意を見せること、問題があったら言い訳をせず真摯に対応すること。これができている企業はレピュテーションリスク耐性やブランド価値毀損に強いのかもしれません。社長が謝罪会見をして、「私たちは取引先の不祥事に巻き込まれた被害者です」なんて言った日には・・・。

まとめ

不祥事に正面から対峙できる“気概のある”企業は、案外、レピュテーションリスクにさらされにくいのかもしれませんね。

これは事業規模に関係なく、どの企業にも起こりうる話です。「未来は予想できないことが起きる」という当たり前のことを、再度認識し、スピーディーに真摯に情報開示対応する体制を整えておきましょう。


執筆者安藤光展/CSRコンサルタント
1981年長野県生まれ。CSR/SDGs経営の専門家。著書は『創発型責任経営-新しいつながりの経営モデル』(日本経済新聞出版社、共著)ほか多数。日本最大級のCSR担当者コミュニティ「サスネット」主宰。

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CSR/サステナビリティ情報開示を専門分野とし、経営戦略まで踏み込んだコンサル型の開示支援を行なっています。成果にこだわる情報開示をお望みの方、良いCSR報告書・CSRウェブサイトの制作会社がいないとお困りの方は、是非ご相談ください。

安藤光展のプロフィール
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