CSRで企業ブランドは強化できるのか-ブランドランキングから見る価値形成プロセス

CSRブランディング

CSRで企業ブランドは強化できるのか

CSRがブランディングにつながると、まことしやかに、都市伝説のように語られていますが、それは本当なのでしょうか。

CSR活動における分類としてもブランディングというのはあるのですが、実際どこまで貢献しているか、というのは未知数な部分多くないですか?

もし計測できるとすれば、例えば、CSRがブランドに及ぼす価値・イメージは計測しにくくとも、社会的責任領域も評価される企業ブランドランキングであれば、その一端を知ることはできると思います。

経営戦略のブランド施策実行上、CSRによって「ブランド価値」や「ブランドイメージ」が向上するのは少なからずあるでしょう。ただ、社会貢献やCSR単体でコーポレートブランドに貢献できるかというと不明です。

というわけで、企業ブランドランキングやブランド強化の事例から、CSRがブランドにもたらす価値についてまとめてみます。

世界で最も賞賛される企業2015

World’s Most Admired Companies 2015

フォーチュンの有名なブランド評価ランキングです。評価基準は、革新性、人材活用、企業資産の活用、社会的責任、経営陣の質、財務健全性、長期投資の価値、製品・サービスの品質、国際競争力です。「Social responsibility」という社会性評価項目が注目です。

今年も1位のAppleは、9つの評価基準のすべてで1位の評価を受けています。昨年のAppleの「社会的責任」の項目が5位だったのですが、今年は1位、と。トップが変わってからCSRを積極的にするようになり、評価もかなり上がってきているので妥当と言えるでしょう。

AppleのCSR推進とティム・クックCEOの「100人のもっとも影響力のある人々」
Appleの最新CSR報告書「サプライヤー責任報告書2015」がハイレベルで驚いた件
AppleのCSR! 世界エイズデーのコーズマーケティング事例

企業ブランドをはかる時、世界では社会的責任が“賞賛されるべき項目”と認識されていると言えるでしょう。日本ではこういう項目が少ないんですよね。絶対重要だと思うのですが。

ブランディングにおいてCSRが大きな影響をもつか、という点でいえば「少なからず影響する」ということですかね。すごく影響するってものでもなさそうですけど。

CSRアワード・ランキング

財務評価も含めたCSR企業評価ランキングがあります。ブランディングという視点で参考なるかもしれません。以下まとめ記事ですのでご参考までに。

CSR企業評価の決定版「東洋経済CSR企業ランキング」(2015)
日経ビジネスCSRランキング? 「善い会社ランキング」(2015)
ダボス注目の世界的CSR企業ランキング「世界で最も持続可能な100社」(2015)

創業者・経営者の寄付

シリコンバレーの起業家の間で最近、病院や学校、NPO(非営利活動法人)などに私財の一部を寄付する動きが相次いでいる。米専門誌クロニクル・オブ・フィランソロピーがまとめた2014年の米慈善家ランキングによると、寄付金額上位50人のうちIT(情報技術)業界の出身者は12人と13年から倍増。金額ベースでは全体の47%を占めた。
「寄付はクールだと考える人が増えている」。シリコンバレーを代表する慈善家としてU40世代に多大な影響を与えてきたセールスフォースのベニオフ氏は米誌のインタビューでこう語っている。ベニオフ氏は個人として多額の寄付をするだけにとどまらず、自らが創業したセールスフォースを通じて企業の社会貢献活動の「お手本」も示してきた。
「寄付はクール」 シリコンバレーに慈善ブーム

記事はシリコンバレーの著名人の寄付ですが、例えば、企業の寄付アメリカの個人(セレブリティ)が寄付することで、企業のブランド価値は上がるのか、という疑問があります。

個人の場合はそこまで自社企業のブランディングまで考えないということもあるでしょう。また、寄付大国のアメリカだからフォーカスされる、という点もあるかもしれません。

日本企業でも東日本大震災の時に、企業からではなく社長個人名義で寄付をした事例もあります。節税とか偽善とか色々な意見がありましたが、その行為自体は賞賛されるべきものだと思います。

寄付を通じた広報戦略の中で、ブランド強化をはかるのはセオリーです。現状の日本ではいうほど企業評価にはつながらないかもしれません。

まとめ

CSRでマーケティングやブランディングに貢献する。効果はなくはないですが、明快な効果があるとはいいにくい気もします。

「自分たちは何者で、社会のために何ができるのか」を丁寧に突き詰めるのが、CSRにおける根本概念となりますが、この思考プロセスそのものがブランディング構築のプロセスと同じ、ということはあるでしょう。

「CSRでブランディングを!」ではなく、ブランディング戦略そのものがCSRであるべきでしょう。極端な話、そもそも社会的価値がないとみなされる企業(≒ブランド力が低い企業)は、社会に必要とされないし、淘汰されて当然とするほうが自然でしょう。これは大企業だけではなく、中小・小規模企業も同じです。

もしかしたら、CSRとブランディング活動は別物ではなく、同じカテゴリーの経営戦略なのかもしれませんね。



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