コーポレートガバナンス

株式会社は誰のためにあるのか

「ファーム・コミットメント」(コリン・メイヤー、NTT出版)の読書メモです。

「株式会社は誰のためにあるのか」という帯文から、企業経営論的な香りがプンプンする本書。サブタイトルに「信頼できる株式会社をつくる」とあるのですが、まさに直球のコーポレート・ガバナンスの話の本です。

CSR的な話もなくはないけど、ほとんどコーポレートガバナンスやファイナンスの話でした。企業価値とは何か、ステークホルダーとは何か、そもそも株式会社は信頼される組織たりうるのか。そんな話が様々な事例や膨大な調査によってまとめられています。

僕は、できるだけコーポレートガバナンスを勉強しようと、この領域の本を読むようにしているのですが、情報量も多くて1回読んだくらいではなかなか理解が進まないよぉ…。

がんばって読み込みます。枠組みが国単位だったりして、話が大きいのも原因かも…。

個人的に興味深かったのは、前半の「株主価値原則の道徳的基礎」とか「“評判”がなぜ行動抑制につながらないのか」みたいな話です。

細かく言うと、法解釈や規制との戦いとかの話なので、CSRとは基本関係なくなるのですが、この「会社とはそもそも何か」みたいな話って、CSRを担当する人は一応押さえておいた方がいいのかなと感じました。

僕はCSRは「信頼される企業になるため」にするもの、と考えておりますが今回のコーポレートガバナンスやステーホルダー価値の考え方とか、特にグローバル企業のCSR担当者は理解していないと、本質的な議論ができないのかもしれません。

コーポレートガバナンス・コード施行前には読み切りたい!

ファーム・コミットメント

従来の株式会社の中心思想である株主優先の構造の限界を指摘。ステークホルダー(企業の利害関係者)への義務の確保や信頼できる多様なコミットメント(関与)を形成するためのメカニズムを考察。そのための具体的な企業統治の形態(=信頼に基づく企業)を提案し、その仕組みを解説。 原著は「フィナンシャル・タイムズ」の推奨文献にも挙げられた。