社畜でブラックな物語

『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(日野瑛太郎、東洋経済新報社)の読書メモを。

日野さんの「脱・社畜の働き方」(技術評論社)も面白かったのですが、こちらの本もCSRの勉強というよりは、読み物として「あるある」と思わせる面白い本でした。

本書で書かれている内容は、すごく「当たり前」の話です。何か特別なことが書かれているわけではありません。

しかし、このタイトルに釣られて(笑)購入してしまいましたが、この労働に関して当たり前の話がなぜ企業の中で実践されないのか、というサラリーマンの至上命題について、ズバズバ言っている所が痛快なのです。

CSRでも労務問題や雇用の領域は本流であり、ウェブや社長の書いた書籍でキレイなことばかり書かれていても、中の人(従業員)に過度の負荷をかけていては問題です。

社員が数人の中小企業のCSRとしても、植樹活動などをするのではなく、こういった自社の労働環境の改善などを行うべきなのかなとも、最近思います。

CSR部の人が本を書いたりするようなCSR推進企業と呼ばれる企業などでも、この労働問題を無視(もしくは軽視)している所もいくつもあるようですし、誰かの犠牲の上に成り立つ企業活動というのは、第三者から見ても喜ばしいことではない気がします。

ちょっとボリュームが少なく、普段から日野さんのブログを読んでいる人は、物足りない感があるかもしれません。読み物としては面白いので、アカデミックなブラック企業論は苦手、という人でも楽しく読めるでしょう。

あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。

みんな、「働くこと」に悩んでいます。「やりがい」って、そんなに必要なのでしょうか?「お金のために働く」って割り切ることは、そんなに悪いことなのでしょうか?本書では、大人気ブログ「脱社畜ブログ」の管理人が、みんなが心の中では「おかしい」と感じている働き方をぶった切り、日本人にかけられた「社畜」の呪いを解消します。「働くこと」に悩んでいるビジネスパーソンはもちろん、就活中の学生にもおすすめです。