企業理念

今回は企業理念の社会性(CSR的観点)を考えてみる。

辞書の類いを紐解けば、
企業理念とは「組織自体の目的(この企業は何のために存在するのか)と、
行動の規範(経営層、従業員の行動についての基本的考え方)が表されたもの」
といったような解説が載っていると思います。

とても正論で間違い解説だと思いますが、
この企業理念が実は正論過ぎて、
従業員の日々の活動に落とし込めないなんて事態が日本各所で起きている。

例えば「私たちは、○○で社会に貢献します」のような理念。
CM用企業広告のキャッチコピーの場合もあるけど、抽象的すぎる。

そして、○○には本業や主に扱うサービスが入るのだが、
事務系従業員はどう行動に落とし込めというのでしょうか?
理念を体現するはずの従業員の価値判断になり得るのでしょうか?

3年前、デザイン会社を立ち上げた時、
上場会社の企業理念(経営理念と同義語とする)
について調べたので共有させていただきます。

よく使われるワードトップ30

■1〜10位
企業、社会、人、私たち、サービス、お客様、事業、提供、グループ、価値

■11〜20位
情報、経営、貢献、創造、技術、会社、当社、力、システム、実現

■21〜30位
社員、成長、常に、発展、環境、豊か、年、理念、心、向上

法則と具体性

お気付きの方もいらしゃると思いますが、
上場企業の企業理念を見ていると、
確かに上記のワードが頻繁に出てくる。

それ自体が悪い事ではないですが、
精神論でしかなく、いかに抽象的かわかるでしょう。
ミッションと行動規範は必ずしも同じなわけではないが、
CSRコンサルタントの藤井氏のいう“豆乳CSR”は本質ではない。

1から30位のワードをうまくつなげるだけで、
立派な形の経営理念ができあがりそう。

しかし、クレドにはなり得ない。なぜか。
目指す未来は具体的(リアル)でなければ意味がないのです。

「社会に価値を提供しよう」では、何をしたらいいかわからない。
リッツカールトンのクレドのように
「紳士淑女をもてなす私たちもまた、紳士淑女なのです」などは有名ですね。

具体的な行動を呼びかける理念・規範であります。
最近、発表されたもので、facebook社の例を見てみましょう。
以下の5つのステートメントが基準となっています。

影響力が重要(FOCUS ON IMPACT)
素早く動く(MOVE FAST)
大胆であれ(BE BOLD)
オープンであれ(BE OPEN)
社会的価値を築く(BUILD SOCIAL VALUE)

CSR的視点

“影響力が重要”というポイントをもう少し見てみます。

最も大きな影響力を持ちたければ、最善の道は、最も重要な問題の解決に常に重点を置くことだ。簡単なことに聞こえるが、多くの会社がこれをうまくできず、時間を無駄にしているとわれわれは考える。facebookで働く者には全員、取り組むべき最大の問題を発見することが得意であってほしいと考える。(Facebookより)

としています。

つまり、従業員は具体的にどうあるべきかという方向を明示しているのです。
これを各従業員が心に刻み、
「今、私が本当にすべきことは何か」が自分で、
気付き、考え、行動できるようになります。

「指示待ちになるな!」というマネージャーに限って、
方向を指し示さず、とにかく走れ(自分で考えろ)と言う。

理念ってなんでしょうね。
そういう場合は、理念を実行するための理念が必要になります。
まるで、企業理念とCSRステートメントが
まったく別の方向を指しているかのようです。

まとめ

さて、前置きが長くなりましたが、
僕はCSRを考え、実行するにあたり、
この企業理念は非常に重要な要素であると考えています。

自らを律する正義(行動規範・クレド)、
他者に求め、社会を変えていく正義(企業理念)の二つが重なることで
CSRとなっていくのではないでしょうか。

「社会に価値を提供します」ではなく、
「社会に■■な価値を提供し、○○な社会創りに貢献します」が正義だと思うのです。
それこそがCSRなのではないかと。

だから、「○円を寄付しました!」はCSRにはならない。
それは、理念・ミッションの達成と関係ないことだから、です。

日本の多くの企業にあるように、「○○で社会貢献いたします」でもなく、
やはり、facebook社のように「社会的価値を築く」という表現がそれに近いのかなと。

今回はちょっと入り組んだ話しになりましたが、
自社が顧客・社会の何の課題解決に貢献できるのか、
また自社はその課題に対してどのような解決法を持っているのか。

オーナー社長は、今一度、起業1年目を振り返ってみてはいかがでしょうか。
そうでない方は、仲間内の有志で集まり、一度ディスカッションをしてみて下さい。
新しい発見をし、モチベーションをドライブさせてくれるかもしれません。