CSRの「17の政策課題事項」

政府の包括的なCSR基本政策案起草のための要件としての “17の政策課題事項”」を読んで、僕のオピニオンをまとめたいと思います。

正直、現場で動いていると、政府の動きや、CSRの大きな枠組みに関しては、
あまり実感がないと言いますか、どうでもいいやという部分も正直あります。
僕がどうこう政府について文句を言ったって変わらないしと思っている部分もあります。

しかーし、です。

やはり、色々な人の政府への提言は勉強のためにも目を通したい所であります。
本稿では、そんな所を皆さんと一緒に学べたらという感じでお願いします。

CSR基本政策案起草

政府の包括的なCSR基本政策案起草のための要件としての “17の政策課題事項”

1、CSR担当大臣の設置
うむ。すぐにでも欲しい!実際、世界でどれくらいの国が設置しているのでしょうか。

イギリスとフランスはいますよね。ヨーロッパは各国の動きもそうなのですが、
欧州委員会というドデカイ枠があるので、そちらの影響力の方が大きそうですが。
しかし、この手の話って、「CSRを制約とする」ことのほうが多く、
企業にとっては、いい印象がないと聞いたことがあります。

2、CSR担当省庁の設立(消費者庁の改革・改編)
CSR庁を作るって、日本じゃ難しいそうなイメージ。
かなり大きな枠組みとなるので、かなり厳しいでしょうね。

ただ、1番にもつながりますが、「内閣府特命担当大臣(CSR担当)」というポストが、
結構現実的なラインじゃん?政治・法律に詳しくないからわからんけど。
あんまり間違ってないと思います。

3、政府機関から独立した”CSRコンサルティングと内部告発の窓口”の設置(CSR担当省庁外郭団体)
自治体や省庁とやたらコラボしているCSRコンサル会社があった気がする。

その前に、「批判意見が少ないCSR報告書の第三者意見」を、
担当するCSR関係者をどうにかしたほうがいいと思います。

もちろん、批判すればいいってもんじゃないのもわかるけど…。
他の仕組みで同様の機能を果たす代案がよいかも。

4、企業における”CSRと倫理の内部制度化”の要件の提示
このあたりは、最近話題のブラック企業論と重なってくるでしょうね。

労働関連法案を改正みたいな話もあるし、ブラック企業の公表とかもあるし、
なんとなーく、ゆるーい感じで実現されそうですけどね。

5、”CSR報告書”を作成するためのガイドラインの提示
これは、環境省のガイドラインが一応あるので、達成されてるほうかも。
ただ、ISO26000とGRI/G4とかここ数年のガイドラインの話はありませんよね。

どちらの枠組みにも、日本からの参加もあるし、
制作する人間としては、絞って推奨してくれればわかりやい面はある。

6、中央政府に”ステークホルダーと経営者協会”を設置
「新しい公共」の仕組みが、これに近いのかな。
以前までちょいちょいやってた協議ってどうなったんでしょうか?
僕が知らないだけで、色々進んでいるんですよね?

7、”産業別労働組合”と “職能別労働組合”の組織
んー、よくわかりません。労働組合をそもそもどう定義しているか、にもよりますが。
国がやるのなら、「自治体別労働組合」は個人的に面白そうだけど。

8、各企業においてステークホルダーの代表者が経営諮問委員会の過半数を占める制度の確立
すごく重要な部分ですが、中小・零細企業では難しいんでない?
現実的には、「年2回とかのステークホルダー・ダイアログみたいな場を作りましょう」みたいな感じかと。

9、各企業における少数派(女性、国籍、人種、その他)を代表する役員の選任の義務
「上場企業に女性役員を少なくとも1人」。
安倍晋三政権が打ち出した成長戦略の女性活躍推進策にありましたよね。

制度って重要なのですが、障がい者の法定雇用みたいに、
形骸化するというか、「やればいいんでしょ、やれば」のようになるともったいないかもね。

10、企業不祥事への懲罰的制裁の確立
んー、企業の不祥事ってなくならないですよね。
「ごめん、間違えちゃった」じゃなくて、
「ぜってーわざとやっただろう」を裁きたいんですよね。
制裁そのものにもよりますが、決定的な抑止力になるかは疑問です。

11、各企業が当該監査法人に対して監査料を支払うことなく複数の監査法人から監査を受ける制度(監査料は政府と各業界団体が負担する)
監査はお金がかかるからしたくないって企業はたくさんありますよね。
そういう課題を解決するにはいいですが、財源はどこから?
政府ではなく、監査をおこなう第三者機関を作ったほうが早そう。

12、政府委員会(各省庁審議会等)における政府委員の完全なる公募化
これはオープンでいいですね。委員会でなんでこの人なの?ってことありますから。

13、”産学官連携”についての部分的規制と透明性の実現
規制が良いとは思いませんが、透明性は必須ですよね。

14、”官民複合体”の形成の禁止(米国における軍産複合体のような)
該当企業の反対で終わりそう。

15、NPO/ NGOや公益基金などに対する社会貢献として寄付に恒久的な税控除
税制のプロではありませんが、個人的にはして欲しいですけどね。

16、SRIやいわゆる”エコファンド”などに対する投資減税
んー、してくれたらありがたいけど、SRIの促進が目的なら、
ちょっと目線が違う気もしますね。

17、”OECDガイドラインのためのナショナル·コンタクトポイント”に関する政府の責任の一元化(担当省庁・部局の一元化)
いいと思いますが、その先に何を求めるか、が大切な気がします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

CSR関連でもない(?)ようなものもありましたが、
こうやって、意見を表に出すことはとても重要なことだと思います。
僕の勉強が不十分で的確なまとめができずに、恐縮でございます…。

普段、「政治とCSR」ってあまり話さない人も多いと思うんです。
なので、問題提起としてこういう書き方もありかと思い記事にしました。

本稿を読んでいただき、「あー、そういう方向も良いかもね」とまずは感じていただき、
CSRの枠組みについて、色々気付きがあれば幸いでございます。