CSRは“本当に”儲かるのか?

確かにヤバかった「ヤバい経営学」という本。
経営の現場的な側面を見事に表現しきってます。

さて、CSRとは経営そのものであると、僕は言っていますが、
CSRが経営であるならば、経営結果(業績への反映)が出るはずです。

「CSRを重視していれば、長期的な収益に貢献する」という、
“儲かるCSR”理論は本当に成り立つのか。

そんな、CSRは儲かるのか?という命題をバッサリ切っているので、
その部分をフォーカスしてご紹介していきます。

ちなみに、本自体の多くは”ヤバめな経営論”となってます。
CSR本ではないのであしからず。

儲かるCSRは存在するのか

儲かるCSR、なんて存在しない?

225件もの研究が、この2つ(収益、社会性)が両立するするという明確な証拠を探そうとした。しかし残念ながら、どの研究もそういった事実を確認できなかった。
(書籍より)

つまり、CSRが収益に対して貢献しているかどうかわかりません、ということです。
はい、「CSRで儲ける」の人、残念でしたー。アウトでーす。

というのは冗談です。まー、「225件の研究」がどの研究なのかわかりませんが、
一般化できるほど、CSRが業績に影響している例はないと考えていいのでしょうね。

僕は、CSRが業績向上に貢献している実例も知ってますが、
全体からすれば「まぐれでしょう?」レベルなのかもしれませんね。

CSRと収益の順番

研究で明らかになっているが、CSRに配慮している企業は、収益力のある企業であることが多い。注意しなくてはいけないのは、因果関係は歪められて伝わることが多い点だ。
(書籍より)

これは、良く聞く話しです。結局CSR活動のトップランナーは、
収益が大きい(以前あった)中堅〜大企業なんですよね。

CSRで収益が上がるのではなく、収益がある企業がCSRをしているのでは?
というロジックですよね。僕もだいたいそんな感じだと思ってます。

ちなみに、この筆者が言うCSRとは「コストセンター」的な役割なんでしょうね。
ソーシャルビジネスもCSRの1つなのですが、それは考慮されてないようです。

結局、「儲からないCSRはやめなさい」って話しですね。

CSRの良い影響

しかし、素晴らしいことに、CSRを重視することが、会社の業績を悪化させるという証拠もない。そうだとしたら、大きな負担にならないCSRは果たしてもよいのではないだろうか。
(書籍より)

あー、なるほど。業績悪化企業の原因はCSRではないことが多いということでしょうか。

そりゃそうだ。業績が超悪化する前にCSRなんてやめちゃいますし、
業績に多大なる影響を及ぼすほど、コストをそもそもかけないというのもありますよね、きっと。

プリガムヤング大学とノースカロライナ大学のポール・ゴドフリー、クレイグ・メリル、ジャレド・ハンセンは、なぜ企業のCSRが結果的にプラスになるのか、うまい方法で研究を行った。……ここで面白いのは、株式市場がこの悪いニュース(訴訟や制裁措置)にどれくらい反応するかは、企業のCSRを果たす度合いで変わっていた、という点だ。……CSR分野における実績は、企業にとってある種の保険になると結論づけた。
(書籍より)

あー、やっぱりそうなんですね。
ソーシャルキャピタルの話しみたいに、
社会の関係性の中で信頼のおける活動(ここではCSR)が重要なのですね。

環境活動をしっかりしてると海外エリアのNGOから叩かれにくい、
というロジックも同様で、“信頼”がリスクヘッジとなりうるという話し。

もっと身近な例でいえば、1年間無遅刻無欠席の同僚が1回遅刻しても、
「何かあったのかな?大丈夫かな?」となるけど、
遅刻の常習犯の同僚の場合、「あいつには何言ってもムダ。ダメだな。」ってなっちゃう。
信頼ってないと、怖いもんですね。はい。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

CSRのくだり以外にも(そのほうが圧倒的に多いんだけど)学びがある部分が多かったです。
企業活動で、唯一感情的な側面をもつのもCSRのユニークさなのかもしれません。
もちろん、付随してブランドイメージなどともつながってきますけどね。

この筆者のCSRにおける結論は「CSRはやっても損はないが、収益に大きな影響を与えるのは難しい」です。

こういう方にはぜひ、ソーシャルビジネスの現場で、
社会的な価値と、収益が生み出されている現場をみてもらいたいですね。

僕のCSRにおける結論は「CSRやりましょう!」で変わりません(笑)ので、
今後とも当ブログをご贔屓お願いいたします!