SDGs意識調査事例

「SDGs関連調査」の調査を日課にしている私ですが、また事例がたまってきましたので紹介させていただきます。

SDGsに限らずですが、定点観測的な認知度調査も面白いのですが、消費者調査のSDGs先進企業格付け(あくまでイメージ、実際にはレベルの低い場合も多い)でどんな企業が紹介されているかも興味深いですよね。

少し前までは、コンサル会社やシンクタンクが調査をしていましたが、今では普通の事業会社で独自調査をし発表している例も増えています。認知度調査は飽きたという方も多いかもしれませんが、それぞれ個別の視点もあったりするので、一応関連調査は目を通すことをお勧めします。

SDGs意識調査事例

ヒューマングローバルタレント

・グローバル人材のSDGsに対する関心度は高く、認知が74%、興味ありも82%
・グローバル人材は、転職先を選ぶときにもSDGsの取り組みを約60%が考慮に入れている
・グローバル人材が働く企業で、最も取り組まれている課題は「ジェンダー平等を実現しよう」
SDGsの取り組みが、会社選びに影響するグローバル人材、約60%~転職先を決める新たな重要ポイントとして(Daijob.com独自調査)

ビジネスブレイン太田昭和

・従業員数50名以上でサステナビリティについて検討・実施中の企業が過半数に
・サステナビリティ推進プロジェクトがある企業で基本方針や実施計画を作成しているのは約20%と判明​​
日本企業におけるサステナビリティ・SDGsの現状~取り組みが開始された日本のサステナビリティ経営~

電通

・生活者のSDGs認知率は54.2%で前回からほぼ倍増。10代のSDGs認知率は7割超え。
・「コロナ禍を経てSDGsへの関心が高まった」人は32.4%で、SDGs商品・サービスの利用意向も高い。コロナ禍がSDGs商品・サービス浸透のきっかけになる可能性。
電通、第4回「SDGsに関する生活者調査」を実施

朝日新聞

今回の調査では、目標達成に向けた課題も浮かび上がった。「SDGsの内容をどうやって知ったか」との問いに「仕事で関わりがある」と答えた人に、「仕事でSDGsに取り組むにあたり、どのような課題があるか」と質問したところ、「社会的な認知度が高まっていない」との回答が約6割に上った。「定量的な指標など、活動の評価方法」、「社内、団体内での理解度が低い」、「政府の方針徹底、関与が希薄」なども、それぞれ2~3割程度の人が課題としてあげた。
第7回SDGs認知度調査、4月21日から公開 調査対象を全国に拡大 ほぼ2人に1人がSDGs「聞いたことがある」

大阪商工会議所

・企業規模により、取組状況に差。従業員数300人超企業の 77割台半ば(76.1%)が「取り組んでいる」のに対し、従業員数300人以下では 2割ほど(20.8%)にとどまる。
・SDGs に取り組む上での課題を尋ねたところ、従業員数 300 人超企業は「マンパワー不足」 (34.3%)、従業員数 300 人以下は「取り組み方がわからない」(30.0%)が最も多い。
SDGsが企業経営に与える影響調査の結果

日経BPコンサルティング

なお、今回から聴取したSDGsに貢献する企業活動の認知度では、サントリーが「安全な水とトイレを世界中に」で19.7ポイント(第4位)、「海の豊かさを守ろう」で16.2ポイント(第3位)、味の素が「飢餓をゼロに」で26.1ポイント(第5位)と高い評価を得た。
日経BPコンサルティング調べ  「ブランド・ジャパン2021」調査結果発表  消費者のブランドイメージでYouTubeが2年連続のトップ  上昇ランキング上位に、ワークマン、トヨタ自動車  SDGs企業活動認知では、サントリーや味の素が高評価

GCNJ/IGES

・SDGsの認知度について、2016年には経営陣の認知度は3割に満たず、大きな課題となっていた。しかし翌年以降は着実に向上し、2020年には85.1%とCSR担当(84.1%)を凌ぐほどとなった。組織内にSDGsを理解しない経営陣がいる場合は、認識の遅れを指摘する必要がある段階にきている。
・過去1年間に公開・開示した情報のうち、どのような形でSDGsについて掲載しているかを聞いたところ、本設問を設けた2017年比では、「トップメッセージ」、「重要課題・方針への反映」、「事業との紐付け」が30%以上増大した。その一方で「特に掲載はない」は28.2%から5%以下まで減少しており、今や情報開示においてSDGsへの言及は当たり前となった。
コロナ禍を克服するSDGsとビジネス~日本における企業・団体の取組み現場から~

スターツ出版

・2021年3月データ 「存在を知らない」16.7%、「言葉は聞いたことかあるが内容はよくわからない」30.9%、「内容をある程度知っている」43.4%、「内容を人に説明できる」9.0%。「SDGs」の認知度(内容を人に説明できる+内容をある程度知っている)は、2020年5月から2021年3月で18.7%向上。
オズモール読者864人に聞いた!SDGs認知度が18.7%向上。「サステナブルな取り組み」アンケート調査

メンバーズ

・5割はエシカル商品の購入意欲がある一方、購入経験があるのはわずか2割
・企業と消費者のコミュニケーションに課題があることが浮き彫りに
・高年収ほどエシカル商品の購買意欲が高い傾向
3回目となる「気候変動問題・SDGsに関する生活者意識調査(CSVサーベイ2021年3月)」を実施しました。

アスクル

・「SDGsの内容を詳細まで知っている」は、約5%の少数に留まるが、「内容をある程度まで知っている」まで拡大すると、約3割の認知
・SDGsに「取り組んでいる」職場は11.7%、「検討している段階」まで含めると、3割まで拡大
・SDGsへ取り組んでいる企業に対しての印象では、「社会に貢献している」が52.3%、「環境保全を意識している」が52.0%で、この2項目が5割を超える
ASKUL事業・リサーチ専門チーム、全国の仕事場におけるニーズを探る「働く人の環境問題や社会問題に対する意識~SDGs認知度・関心度・取り組みについて~」の実態調査

博展

・総合1位は「トヨタ」、SDGs貢献イメージ、SDGs評価得点でも1位を獲得。
・トヨタ自動車(TOYOTA)が112.86という圧倒的な高評価を得ました。2位 良品計画(無印良品)、3位 味の素(AJINOMOTO)、4位 日立製作所(HITACHI)、5位 住友林業という結果となりました。
第1回サステナブル・ブランド調査、トヨタや良品計画が上位 SDGs認知度は58.1%に

こどもりびんぐ

・保護者の認知度は29.6%、聞いたことがある程度を含めると55.8%
・100%の園が「子どものうちからSDGsの考え方を育みたい」と回答
園児の保護者に「SDGs」への意識についてアンケートを実施 まだ親の認知度は3割弱、ただ「学べる機会があれば体験させてあげたいと思う」95.8%

ネオマーケティング/豊島

・51.9%と認知が半数を超えるも、SDGsを意識して行動している人は1割程度。
・SDGs達成のための“ちょっとしたこと”なら個人でもできそう?:85.7%ができそうと回答!
全国20歳~69歳の男女1000人に聞いた「SDGs個人での取り組みに関する調査」

日経BPコンサルティング

・Withコロナの時代に、高く評価される企業メッセージの重要事項トップ3は、(1) 希望をもてる言葉を含む、(2) SDGsやCSRにまつわる、(3) 日本語表記。
企業名想起率のトップは、 「あなたと、コンビに、ファミリーマート」 高評価メッセージの要素に、 「ジングル」「希望」「SDGs」「日本語表記」

所感

SDGsの意識調査となると「そこそこ認知が伸びてますよ!」というものがほとんどですが、母数・エリア・調査対象者などが変わるので、結果も変わることがあるのは興味深いですね。あと、ブランド系の調査視点でSDGsをもってくるものが増えました。これらの調査では、もうCSRやCSVの単語を見ないですね。時代が変わった感じがあります。あとは、消費者調査だと、SDGs先進企業のイメージ調査も多く格付けのようになっています。

調査では認知度調査だけではなく、SDGsを進めるにあたり何が課題となっているかという項目もあり、たいていは行動に課題があるとされます。コロナでもそうですが、あまり個人の行動意識(良心)に頼りすぎても、すべての人の行動を引き出せるわけではありません。その行動デザインを企業側がどこまでできるか…は今後の課題でしょう。

ちなみに、色々な調査を見てきましたが「SDGsに貢献する」のハードルが低すぎる気もしました。「マイバッグを持ち歩く」とか「オーガニック商品を買う」がSDGsに本当に貢献しているか怪しいものです。「環境に優しい」くらいグリーンウォッシュな匂いがします。つまり、ミクロでみた行動最適化が必ずしもマクロ視点で社会的インパクトを最大化できるわけでありません

個人がオーガニック商品を買って、SDGsのコンセプトである「誰も置き去りにしない」にどれだけ貢献できますか?とすれば、個人の力など無力に等しいわけです。こういう現状もあり、企業は個人のパワーをかき集めて大きなインパクトにする責務が生まれます。その時に企業はどうすべきか。これこそが企業の社会的責任であり、企業の存在価値となるのです。

あと、企業まわりのSDGs調査でわかったのは、メンバーズの調査にあるとおり「企業と消費者のコミュニケーションに課題があることが浮き彫りに」という点です。日経BPの調査のように、企業側からのメッセージやコミュニケーションは、各社もう少し工夫が必要なようです。

まとめ

大企業も中小企業も、様々な企業活動がSDGs視点で見られている部分もありますが、特にBtoCの大手は確実に見られています。今の時代、小中高の教科書でSDGsがでてきたり、保育園・幼稚園生むけの雑誌やお便りでもSDGsの話がよくでてくるレベルです。

我々アラフォー以下のミレニアル世代と呼ばれる世代は「CSRネイティブ(CSR元年以降に社会人になった層)」と言われてますが、Z世代以下にもSDGsは確実に浸透してきています。その時代の過渡期ということもあり、2021年もまだまだSDGs関連の調査は盛り上がりを見せるでしょう。

調査からは、色々な仮説がでてきますが、ひとつずつ自社の振り返りに活かしていきましょう。以上です。

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