SDGs実践入門
今回の読書メモは「やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門」(泉貴嗣、技術評論社)です。
著者の泉さんは、CSR支援では先輩であり、10年来の知人でもあります。いよいよ単著を出すということで、Amazonで予約が始まってすぐに予約しました。おかげで発売日前日? に届きました。
内容はタイトル通りで、これからSDGsを進めようという企業担当者向けのものです。ベテラン担当者でも気付きはありますが、やや物足りないかもしれません。
あと、書籍の「おわりに」で重要なコンセプトが書かれていたので引用します。私がいつも言っている「事例くれくれ病」の話ではあります。
一般的なSDGs関連の書籍では先進的な企業のケーススタディ(事例)を多く紹介していますが、本書ではあえて特定企業のケーススタディを扱わず、ESG問題への取り組みを通じてSDGsを実現するための考え方と、考え方に基づいたアクションについて解説してきました。
私も、ブログ記事でもセミナーでも、あまり事例については紹介しません。必要最低限だけです。ですので、本書を読んで、あぁ、やっとこういう実務書が出てきたなと、嬉しく思います。
事例紹介って、ある程度知識ある人であれば誰でも書けるんですよ。世の中のCSR/ESG/SDGs/CSVの本なんて、ほぼ事例紹介ですよ。だから、どの本でも出てくる企業が同じだったりするわけで、コンサルの本だと事例並べて、「欧米はすごい、日本はダメ(でも期待してる)」しか言わない。
欧米だって、上場している大抵の企業はあやしいものです。ヨーロッパはサステナビリティが全体的に進んでいるのは間違いないけど、数十社の企業事例だけでヨーロッパ全体を語られてもなぁ。日本のサステナビリティだって、格付け・ランキング・アワードの常連企業など評判のよい企業数十社だけをもって「日本のサステナビリティは……」なんて語られた日には、ね。
統合報告書発行社数が世界でトップレベルといわれる日本でも、全上場企業の2割も発行してないんですよね。あとの8割以上は日本企業じゃ無いの?という感じで。それに世界でも、10年前から事例となる企業はあまり変わらず、ベストプラクティスは100社ないんじゃないかな。つまり何が言いたいかというと、事例収集はほどほどにして“木を見て森を見ず”な状況にならないようにしましょうね、ということです。
と、話が脱線しましたが、実務に活かせる情報が欲しい方(ベテラン含めて)は必ず買うべし。以上です。