事業活動とジェンダー

今回の読書メモは「炎上しない企業情報発信–ジェンダーはビジネスの新教養である」(治部れんげ、日本経済新聞出版社)です。

本書は、ビジネスコミュニケーションにおける、ジェンダー(社会的性差)の考え方について非常によくまとめられています。また本書では、簡単ではありますが、ESG、CSR、SDGs等との関係性についてもまとめられています。CSR活動として、というよりは事業活動のジェンダー対応について、の内容です。

逆に筆者のCSRまわりの考え方が偏っているせいか、CSRやESGの定義が現場的ではないような解釈もあり、語るならもう少し丁寧に定義したほうが誤解がなくてよいかなと思いました。CSR/ESGの前提知識がある人であれば、誤解せずに読み解けるレベルですが。

この手のジェンダー課題での良事例は外資系企業がほとんどであり、企業サイドとしては「日本企業の事例にしてよ…」という声も何度も聞いています。私もそのあたりの企業側の課題がわかっているので、そういう事例紹介は最近は控えています。そして本書ですが、日本企業の事例が多くあり、かなりイメージがしやすかったです。あと、男性的視点というか、女性であればなんでもいい、というような活動家視点ではなく、女性に偏りすぎるのも良くないと、両面提起できている点で納得感がありました。

やはり、CSRでもLGBT対応でもそうですが、特定の価値観に偏ることが、問題を大きくすることはよくあるのだなと感じました。文字通りダイバーシティというか仕組みとしてのレジリエンスというか、日頃から多様な価値観の中にいないと、問題を認識せず起こしてしまうということになりかねません。

何千万〜何億円の費用をかけてテレビCMを作るのだから、数万〜数十万円くらいの第三者評価の調査依頼はすべきなのかもしれません。発注企業・制作会社では気づかなかったことにも気づけますよね。あ、CSR報告書でも同じですよ。

ちなみに、企業の情報発信における炎上が多いカテゴリは「性別(ジェンダー)」「人種」が2トップです。とてもナイーブなジャンルですので、差別的な表現がないか、より配慮する必要があります。ポリティカル・コレクトネスの話です。注意しましょう。

CSR担当者はもちろん、広報、マーケティング、広告、人事などの方にもオススメの本です。あとは、ディズニー好きなビジネスパーソンも面白く読めるかも。

炎上しない企業情報発信