サステナビリティが企業価値を高める

今回の読書メモは「広報会議2018年7月号:特集 サステナビリティが企業価値を高める・広報担当者のためのSDGs入門」(宣伝会議)です。

去年は様々なビジネス誌で特集が組まれてひと段落してましたが、やっと広報会議さんでSDGs特集がありました。サステナビリティという概念をそろそろ、広報やコーポレートコミュニケーションの人にも知ってもらいたいと思っていたところです。

事例としては、伊藤園、オムロン、住友化学、イオン、サラヤ、などがありました。SDGsに関する取り組みの先進企業ということでよくみる企業だと思います。コラム的に、ファーストリテイリング、吉本興業、学研イノベーション、大日本印刷、NTTデータ、コニカミノルタ、日本郵船、などの企業事例がありました。

これらの企業の事例を改めて見るに、SDGsがはじまった3年程度でどうにかした、というよりは以前からCSR/CSVの活動をしっかりやっていて、その応用編としてSDGsというフレームワークに対応している、という感想です。あとは、経営層が組織としてコミットメントしているかどうか、でしょうか。

以前から言っているように、CSR/CSV/SDGsは成果が生まれる(価値を最大化できる)場面は数年から十数年後なんですよ。どの事例をみても、CSR活動を本格的に始めた1年目で著しい成果が生まれているなんて皆無です。

ごく当たり前な話ですが、地道にそれなりのリソースをかけて継続した取り組みをした企業が、競合より一歩先に進めるのですね。この手の話って、目に見えた成果創出は時間がかかるので「いつスタートしたか」も結構重要なんです。単純にセンスがない企業でも(!)、スタートが早いだけで業界内でトップになれますから。

本書で残念なのはSDGsのどのあたりが企業価値向上に貢献するのかというエビデンスが足りないところでしょうか。精神論や哲学としてのグローバル・スタンダード対応は理解できますが、広報会議だったらもう一歩踏み込んだ広報視点のレポートが読みたかったかな。事例がいわゆる活動の話がほとんどで、コミュニケーションやステークホルダー・エンゲージメントの話はあまりなかったです。

広報に近いCSR担当者はもちろんのこと、概要を知りたい方にはよい特集かと思いました。

広報会議7月号