CSRの基礎知識を網羅
今回の読書メモは「CSRの基礎〜企業と社会の新しいあり方」(國部克彦・編著、神戸CSR研究会・編、中央経済社)です。
今までに何度か國部先生の講演は聞いたことがあり、メールで書籍の紹介をいただいていたので購入。文字量が多く、なかなか前に進めません!(意図的にテキスト量を増やしているそうですが…)
本書は「CSRの基礎」というそのまま直球の内容となっています。企業と社会の両面からCSRを見るという、ここ最近の情報も含めた、CSR全般の解説書となっています。
CSR全般の話で入門編かと思いきや、広範囲の内容となっているので、CSR初級者では理解が難しい部分もあるかもしれません。ただ、説明は丁寧なので実務をしながら少しずつ読み進めればいいのかなと思います。
この本は、大学の先生が何人も集まって書いているわけですが、いわゆる“アカデミアのCSR”ではなく、実務的な内容の解説もあり、かなり読みやすくなっています。
ざっと読んで気になったのは「納税とCSR」という項目。最近のCSRでは、租税回避問題(タックスヘイブン問題)なども出てきており、納税関係は財務面の話ですが、文脈としては非財務領域で語られることも増えてきている気がします。このあたりは詳しくないので、もう少し読み込んでみたいと思います。
あと良かったのは事例が少ないところです。CSR関連の書籍って事例が多くて、書籍というアーカイブ形式ではすぐに情報が陳腐化してします。事例の紹介って誰でもできるし、私もセミナーや書籍でも基本的に事例紹介はしません。そのあたりは『CSRコンサルティングの前にコンサルタントが指摘したい「事例くれくれ現象」』という記事でまとめています。
CSR担当者の方はもちろん、CSR関連業務に関わる人にはオススメだと思いました。
CSRの基礎
CSRの基礎知識がない人でも理解できるように、広範なCSRの領域を丁寧に解説。企業からの視点と社会からの視点の双方からアプローチをして、ロジックを重視して解説。