BOPビジネス

社会的企業のエコシステム

今回の読書メモは「BoPビジネス3.0 – 持続的成長のエコシステムを作る」(平本督太郎、英治出版)です。

前半はBOPビジネスに関する説明、最後には日本国内の事例や社会的企業のあり方、みたいな部分の解説もあります。この後半の章は面白かった。BOPビジネスかどうかはさておき、日本企業の海外の動きを把握するのにとてもよい解説でした。

もちろん、ごく最近の事例が多く、BOPビジネスに関する情報収集をしている方にはちょうどいい書籍となりそうです。

内容は、例えば、東日本大震災を契機にポジションを入れ替えてBOPビジネスが起きていたという話です。途上国用のテクノロジーや商品・サービスを東日本大震災の復興のために使ったりするいわゆる「リバースイノベーション」や、逆に被災地復興の過程で生まれた、現地リソースのない場所での商品・サービスの展開からBOPビジネスに発展したことなど。

“本業でCSR”という概念に興味がある方には特に学びがあると感じました。

全体的には筆者独自の視点というよりはよくある事例集的なポジションかもしれません。訳書なのでしょうがない部分が大半かと思いますが…。ちなみに事例としては、有名な事例がほとんどで、すでに国内企業のBOPビジネス状況をある程度理解している人であれば、すでに知っているかと思います。

残念だった点は、BOPビジネスの中心概念が筆者独自のフレームワークなのか、世間一般で言われていることなのかわからなかったこと。文脈もなく、理解に苦しむ部分がありました。良くも悪くもシンクタンクの人っぽいの描き方というか。

あとはCSR担当部門を“格下組織”と冒頭で説明したのも気になります。あんたCSRの何を知ってるつもりなの?みたいな(ここは訳者の意見ではないのですが)。

あと、CSRも1.0-2.0-3.0とランク分けされて議論になって、いつの間にか風化してしまったのと同じく「BOPビジネス3.0」という概念の危険性も感じないわけではありません。もうそれBOPでもなんでもないよね、というイメージをどれだけ払拭できるのか注視していきます。

CSR初級者よりは、CSR活動をビジネスにつなげようと考えているCSR担当者、グローバルビジネスを担当する経営企画担当者の方々に読んでいただきたい書籍なのかなと思いました。

BoPビジネス3.0

本書では、フェルナンド・カサード・カニェーケとスチュアート・L・ハートがBoPグローバルネットワークのメンバーとともにこれまでの現実を掘り下げ、何が起きたかを客観的に分析した。そのうえで、初期のBoPビジネスの取り組みがなぜ成功しなかったのかを指摘し、どうすれば持続的な解決策を生み出してBoPビジネスを成功に導けるのか、実践的な方法を提案する