ブランドを言い換える
ブランドは無形資産である。このイメージはあなたにもあると思います。
今回は、その無形資産を形容する「ウッフィー」という語を紹介します。
「ブランドってなんだ?」と考えていた方も、
もしかしたらウッフィーを知る事で納得感が倍増するかもしれませんよ。
1、市場経済とは別の論理で動く市場
そもそもウッフィーとは何か。
作家コリイ・ドクトロウが、
『マジック・キングダムで落ちぶれて』の中で作り出した造語で、
インターネット上などで得られる、
「信頼」「尊敬」「評価」といったものを指しています。
マーケティングコンサルタントのタラ・ハントさんが
著書『ツイッターノミクス』で提唱し、
有名になったと言われています。2010年ころの話しです。
ウッフィーは流通することで更なる価値を生む。
市場経済とは別の論理で動く市場というわけです。
例えば、ブログを毎日書いていたとしましょう。
ブログを書く事そのものに予算はつきません。
しかしながら、インターネット上で、
「あのブログなら、あの業界の情報がたくさん載っている」と人に認められれば、
コンサルティング・アドバイザーとしてのお仕事がいただけるかもしれません。
また、実名を出していれば、セルフブランディングにもなるでしょう。
ブログは例えですが、誰かに信頼・評価されれば、
それをもとに予算を引っ張ってくるのも可能になるのです。
可能性としては、十分経済的価値を生み得るものでもあります。
2、経済的価値をも生む”信頼”
ウッフィーでは、食べることも家賃を払うこともできない。ただ、こんな例がある。カナダのミュージシャンが稼いだお金を慈善事業に寄付してしまって手元にはごくわずかしか残らなかった。このことをみんなは知っているので、レストランでは彼に無料で食べさせてくれるし、大家さんも家賃を安くしてくれた。だから少しのお金しかなくても食べていけた。よいことをしてウッフィーが高まると、それで生活ができるということだ。これは本当に素敵なことである。
※「『ツイッターノミクス』発刊トークイベントより引用」
ウッフィーのみで、経済価値を生めるのはごく一部の方だとは思います。
投資したリソース分回収できないかもしれません。
いや、見返りを経済的価値のみに求めてはいけないのかもしれません。
また、ウッフィーを貯めることが、過去の免罪符になっては本末転倒です。
しかし、例えば、CSRを推進することで、社会的な信頼を呼び、
ウッフィーを貯めて、さらにそれを流通、
つまりクチコミとして広げさせることは可能なのかなと。
企業価値を高める=ウッフィーを貯める、
なんて表現がもしかしたら今後定着するのかもしれませんね。
3、差別化要因
そこで皆さんは考えるでしょう。
「では、どうやったらウッフィーを貯める・流通させることができるのか」と。
ウッフィーは、何かで貢献すると高まるもの。
それも、自分が所属するコミュニティに対して、
貢献をすると効果が高くなると言われています。
見返りを求めるのではなく、まさにボランティアで貢献するのがポイントです。
当たり前ですが、人に喜ばれる事が重要です。
何か見返りを求めるわけではなく、誰かに喜んで貰える事をすること、
その行為自体が共感を得ているのであって、
「お金」はあくまでも二次的な物と理解されているのではないかと。
信頼は属人的です。日本人は特にそうなのかと思います。
属人的ということは、オリジナリティにもなるということです。
信頼はビジネスの基本。ブランド構築に信頼は必須です。
マーケティング的に見てもウッフィーは興味深い考え方ですよね。
まとめ
CSRも言わば、ウッフィー製造機なのではと、最近考えています。
CSRは果たして、ウッフィー製造機(ブランド価値向上ツール)になりうるのか。
僕は、Yesだと思います。
SROI(社会的費用対効果)にウッフィーを入れるというのは、
現段階では難しいでしょう。
しかし、このウッフィー論の考え方は非常にCSRブランディング的ですよね。
ところで、なんか、響きがいいですよね。ウッフィーって。
日本語にはこのような語感の言葉はないと思いますが、なんかチャーミングだし。
決して、酔っぱらってるおじさんの吐息でも、
うさぎのかわいいキャラクターでもないので、
ウッフィーという単語をCSR文脈で聞いても間違えないようにして下さい。