ダイバーシティ推進の裏表
今回の読書メモは『チームのことだけ、考えた。–サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか』(青野慶久、ダイヤモンド社)です。
グループウェアで有名なサイボウズ社の社長・青野さんの書籍です。1997年の会社創業からの人事制度に関しての試行錯誤やフレームワークなどがまとめられています。正直、ここまで「多様性」を連呼する上場企業社長は珍しいですね。
ワークライフバランス、ダイバーシティ、女性活躍推進などは、よく女性の研究者やコンサルの書籍を見るのですが、男性が、しかも上場会社の社長が本にまとめるって面白いなと思い、手に取りました。
あと、フレームワークが多いのも、資料性が高くよかったです。フレームワークとは、人事制度における考え方の枠組みのことです。
他にも、ダイバーシティ推進に関して、負の要素もきちんとまとめているのは両面並記でよかったです。この手の本は、「ダイバーシティ万歳!」で終わることが多く、制度運用の根本的な課題の話がない場合も多いのです。そこは著者の見識が広いのか、編集者の視座が広かったのかわかりませんが、誰にでもお勧めできる書籍になっていると感じています。
ただ気になるのは、ここまで組織のCSR的な部分は完璧に見えますが、サイボウズさん、CSR評価高くないんですよね。情報開示レベルも低いし。コンテンツがあるだけに、もったいないですよね。ちなみに、サイボウズのウェブマガジン「サイボウズ式」は面白いので良く読みます。
ダイバーシティ、ワークライフバランス、女性活躍推進(女性活用)などに興味があるCSR担当者、もしくは推進する立場の担当者にオススメの書籍です。
チームのことだけ、考えた。
かつて社員の離職率が28%にまで達するブラック企業だったサイボウズは、どのようにして社員が辞めない「100人100通り」の働き方ができる会社になったのか?
採用難と人手不足に悩む経営者の方、成長の痛みに直面するベンチャー企業、新しい人事制度を模索する実務担当者、そしてリーダーとしての資質に悩む管理職の方には必ず多くのものを得ていただける、注目の経営者による渾身の1冊です。