持続可能性

持続可能な開発支援とは?

今回の読書メモは「貧困を救うテクノロジー」(イアン・スマイリー、イーストプレス)です。

本書は、いわゆる「途上国開発」における歴史と今後について包括的に書かれています。持続可能な開発とは何か、という命題について興味がある人には、必ず学びがある本だと思います。世界の大学で旧版が教科書になっているとのことで、新版の本書もかなり読み応えのある内容となっています。

持続可能な開発とは、「将来の世代の人々が自身のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たすことである」と本書で定義されていますが、まさに“ソーシャル”ってこうあるべきですよね。

CSRというと、どうしても企業が主語になりがちですが、社会全体からしてみれば極端な話、企業単体の持続可能性(サスティナビリティ)なんてどうでもいいから、もっと大きな枠組みで社会に貢献し持続可能性の枠組み構築の努力をしなよ、ってこともあると思うんです。

人によっては持続可能性の“可能性”を見つけられるんじゃないなか。どちらかといえばソーシャルセクターやパブリックセクターの人の方がしっくりくる内容かもしれません。

グローバルなCSRを展開している大手企業のCSR担当者は必読でしょう。あとは、ソーシャルビジネス、BOPビジネス、インクルーシブビジネス、CSV、開発援助、グローバルイシュー対策などの次の展開を考えている人には教科書として役に立つことでしょう。

貧困を救うテクノロジー

1961年国連にて「開発の10年」が戦略として打ち出されて以来、南北問題は世界全体が注視し、解決すべき喫緊の問題として認識されるようになった。大型の投資と貿易は経済発展の手段としてさかんに取り入れられたが、ほとんどの場合、先進国からの一方通行という性格を帯びていたため失敗に終わる。
一方で、小型で単純で安価に導入され、成功をおさめたプロジェクトもあった。本書は、発展途上国の実状と、約50年にわたる貧困との戦いの具体的な実績から、真に有効で持続可能な開発援助の方法を明らかにし、これからのあるべき姿を問う。