CSR本

CSR経営の基礎を学ぶ書

今回の読書メモは「なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか?」(森田健司、ディスカヴァー・トゥエンティワン)です。

石田梅岩といえば、江戸時代の経営学者としても名高い、経済と道徳の両立を目指した人物の1人です。

日本のCSR的経営の礎を作ったと言っても過言ではなく「江戸時代のピーター・ドラッカー」と本書でも表現されています。

石田梅岩が生きた1600年代後半から1700年代前半は、まさに今では「三方良し」で有名な近江商人などの江戸商人の商道徳が体系化され始めた頃。300年前の言葉や思想が2015年の現代でも学びがあるという点はとてつもないことですね。

本書は、石田梅岩の思想を解説するというより、現代の経済・社会という視点からみて、石田梅岩から何を学ぶべきか、という所に重点をおいています。

日本にルーツのある方でしたら、ぜひ海外の著名な経営学者の思想を学ぶ前に、今一度、石田梅岩をはじめとして、日本資本主義の父といわれる渋沢栄一なども合わせてチェックすると「CSRとは何か?」という永遠なる課題のヒントが得られるでしょう。

もちろんアダムスミスの「道徳感情論」なんかも引き合いに出して、「経済性に道徳観は組込めるのか?」みたいな論述もあります。

CSR担当者もそうですが、経営企画とか事業戦略を考える部門の方に読んでもらいたいと思った一冊でした。

なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか?

梅岩の思想は、毎日の仕事に大きな意味を付与してくれるものだったからだ。梅岩の考えを学んだ人々は、道徳的な向上を遂げ、感情と行為に自信を持ち、人間関係を和やかにすることに努めた。そして、道徳的向上を遂げた人々の多くは、仕事の成果も、以前よりよいものとなった。