CSR本

ソーシャル・マーケティングとは何か

『否常識のススメ–50のキーワードから読み解く「成熟化期」のソーシャルマーケティング』(水野誠一、ライフデザインブックス)の読書メモです。

筆者は、大学教授や国会議員をしていたので、いわゆるCSRの専門的な発想はほとんどなく、アカデミックで政治色もある、ソーシャルの解釈をしています。CSR界隈だと「ちょっとそれは違うんじゃない?」というのも多かったですが、逆にそれが勉強になりました。専門性を高めようとしすぎると視点が狭くなるで困りものです…。

筆者の定義によれば、ソーシャル・マーケティングとは、事業を遂行する上で、モノやコト(サービス)の作り手や助け手との間に、良好な売上(効率)のみならず高い信頼、高い満足感(共感という効果)を生み出し、更に、当事者間の関係のみならず、社会全般への配慮をも同時に実現するために、努力と知恵をもって行なう行動のすべて。(129ページより引用)

ただ僕としては、この定義は抽象的で難解なため、ちょっと定義としては“今っぽくない”ないかなと感じました。とにかく、マーケティングにおいても、ステークホルダーエンゲージメントの概念を重視しなさいよ、ということでしょうね。

で、副題にあるとおり、本書はキーワードの解説を中心とした“カジュアルでCSR的なマーケティング論”というイメージ。やっぱり、通常のビジネスがどれだけ社会への負荷をかけて事業活動をしているかって再認識しますね。

キーワードとしては、ソーシャル・マーケティング、知恵のマーケティング、環境経済主義、エシカル・マーケティング、スパイラル・マーケティング、インテリジェンス・マーケティング、コミュニケーション・マーケティング、リレーション・マーケティング、あたりでしょうか。

マーケティングが好きなCSR担当者や、広告・マーケティング担当の方などが興味を持つ本かなと思いました。

否常識のススメ

西武セゾンの黄金時代を築き、「ロフト」「SEED館」などを手がけ、参議院議員も務めた水野誠一。「成長期はもう終わった」それは、消費と成長の最先端を牽引した彼だからこそ気付いた時代の真実。

世界の半分の富を上位1%の富裕層が握っているという衝撃的な真実が『21世紀の資本』によって告発されたが、もはやこの構図の逆転は困難。だが、本書は「非常識」ならぬ「否常識」という常識の枠組みの外で考え、「ホロ・デザイン」という新たな考え方を提示する。それは原発問題・環境・貧困・戦争など諸問題を打破するヒントを示している。