CSR本

ピータードラッカーとCSR・社会貢献

「プラクティカル・ドラッカー 英知を行動にかえる40項」(ウィリアム・A・コーエン、CCCメディアハウス)の読書メモです。

ピータ・ードラッカー(以下、ドラッカー)のCSRの名言(標語?)の例でいえば「知りながら害をなすな」です。本書では、「なによりもまず、害を及ぼしてはならない」と表現されています。

また、企業倫理としては、「儒教」(日本文化も大きな影響を受けています)の基本原則が社会的責任に倫理に関するヒントがあるとしています。

1、政府に任せてはならない。
2、最も重要なのは、企業の使命を果たすことである。
3、企業は無限責任を負わされている。
4、企業の社会的責任に関する倫理がある。
5、社会的責任を果たすことが競争力の根源になる場合もある。

本書では、社会的責任において、上記5つのポイントがあるとしています。

社会のために実行されるべきことがあれば企業自らから実行すべき、企業活動(顧客層増)のための十分な利益を上げなければならない、まずは悪影響を最小限にとどめること、などなど、用語や表現こと抽象的ですが、言っていることはCSRにおけるリーダーシップや、「本業でCSR」的な視点、サプライチェーンのリスクマネジメントなどを的確にまとめています。

CSRの概念がそれでも一通り認知された現代社会においては、ドラッカーのCSR論だけでは視点が足りませんが、企業をマネジメントする、という視点に関しては上記の考え方は非常に参考になるでしょう。

逆に言えば、CSR・社会貢献を深く解説しないドラッカーこそ、CSRに興味がない人でも読めるというのはあるかもしれません。

もちろん、CSRは経営そのものであるので、マネジメント論やマーケティング、イノベーションという概念を、今一度復習したいというCSR担当者にオススメかと思います。

プラクティカル・ドラッカー 英知を行動にかえる40項

ドラッカーはつねに「何をすべきか」と問いかけ、「どのようにすべきか」という具体策は提示しなかった。ドラッカー理論を受け継ぐ著者が、問題解決のカギ、リーダーシップ、マーケティングなど最も重要な40のテーマについて、実践的な解釈を提示する。その問題、ドラッカーならどうするか?
「素晴らしい話を聞かせてくれてありがとうと言ってもらっても、うれしくありません」と、ドラッカーはよく言った。「次の月曜に、どういうふうに行動を変えるつもりかを聞かせてください」