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CSRのマテリアリティ設定・導入による考え方について

マテリアリティ

CSRのマテリアリティ設定

毎月恒例のCSR勉強会があったのでメモを。

今回のテーマは「マテリアリティ」と「元・CSR担当者の話」です。

「元・CSR担当者の話」は面白かった。

CSR部という専門部署を企業が設置するようになって数年。先進的な企業は2003年ころから設置しているらしいのですが、今現在でも上場企業で専任部署がなかったり、専任スタッフがいなかったりする企業もあります。

そんな中で、元・CSR部員という方はまだまだ少ないかと。結構貴重な現場のご意見でした。

というわけで、ちょっと方向性の異なるものですが、2つの話題についてメモしておきます。箇条書きです。

マテリアリティの設定と課題

GRIガイドラインのG4でも求められているし、CSR報告書を作成する上で、ステークホルダーを特定する必要がある。でもマテリアリティはとにかく計測しにくい。

そもそも、マテリアリティとは、組織が経済・環境・社会に与える著しい影響を反映しており、またはステークホルダーの評価や意思決定に実質的な影響を与えるものを指すはず。

そう考えると「ステークホルダー全部問題」に突き当たる。「ステークホルダー全部問題」とは、ステークホルダーをピックアップしていくと、自分たちも含め、社会における全てがステークホルダーとなってしまう問題。

だからマテリアリティ設定は、「やらないこと」を決めることも含め、中心軸を先に決める必要がある。

たとえば、ステークホルダーは企業の「契約の束」そのものでもあるだろう。例えば、従業員の家族は、企業と契約をしているわけではないが、従業員と強固な関係があるという点で、ゆるいつながり(契約)はあると考えられる。

CEOからその関係性のポジションが離れると、関係性が弱くなる。そのつながりが、バリューチェーンとなるのかもしれない。契約の関係性。つながりの線をみていくと、会社へのインパクトが見えてくるのではないか。

企業に影響を与える関係者と、企業に影響を与えられる関係者がいる。

日本固有の問題についての社会問題は、例えば「人口減少」。人口問題は遠い話だけど、実は従業員が減る、お客様が減る、など身近な問題。
サスティナビリティ(長期的な問題は何か、自分たちも関わる問題)がステークホルダーやマテリアリティの全て。

そもそも、取組むべきイシューが完全に顕在化するのは何年後なのか?ということもみる必要がある。イシューを中心とした考え方も重要。

グローバルで起きていることは、いつか日本でも起きる。日本の経済圏にもグローバルな要素が大きい。だからこそ、マテリアリティ視点でCSR報告書は、リスクをコントローラブルであることを示すのではないか。

株主価値のないCSRって辞めてしまうこともできる(外国人投資家、ヨーロッパ)。日本企業は自分たちが“何を大切にしているのか”を語るべき。自分の会社の株主は誰かを知るべき。自分の会社の株主になって欲しい人に情報発信をしていく。

数字だけではなく、図解する(可視化する、グラフ化する)とよりわかりやすくなる。社内でのワークショップ?

参考リンク
CSR活動のマテリアリティを設定している会社は38.9%(2014年版)

元・CSR担当者の話

元・CSR部員から見た、自社を含めたCSR活動について。

企業にその名前の部署がある、会社として専任部署ができるということは、そこがやるという企業のコミットメントである。

トップがCSRに理解がないということはないはず。専門部署があるということで、トップとしては最低限のコミットはあるはず。だから、トップの意識うんぬんというのは言い訳に近いかもしれない。

そもそも、専門部署が仕組みを作ることが重要であり、「みんなでCSRしよう!」という精神論が全面に出過ぎるのは考えものかもしれない。専門部署があるからこそ、仕組化された活動をすべき。

CSRはトップの理解が必要というけれど、CSRだけが企業活動の中でトップの理解が必要なわけではない。そいう会社は、事業活動のすべてにおいて、現場へのトップの関与が薄いということ。ただの風通しの悪い会社なだけなのでは?

CSR調達をさせたいと思う、コミュニティ構築も必要。外部ステークホルダーから、トップへインプット(CSR的なプレッシャー?)させることはできているのか?専門部署があるというのは、トップへのインプットを考えるべきというコミット。

従業員が全社員を巻き込むというのは、不可能。何も特別なことをしなくても「通常の事業活動をしさえすれば、CSRにつながる仕組みがあること」が重要。

CSR部は精神論になりがちなのかもしれない。組織として、CSR部は通常の事業活動の邪魔をする場合もある。

CSR部ではなく、工場が事業活動の主体になる企業は専任部署はいらないかもしれない。推進役や発言権は現場が強くなると思うから。

BtoB企業の場合、CSR報告書を読みたくなる人が、一番のステークホルダーなんじゃない?それを探すのもマテリアリティの特定につながる?

BtoB企業はむしろ、CSR報告書のターゲット(メインの読者層)が従業員でいんじゃないか。例えば、従業員を多く登場させる。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

企業やCSR部署の存在意義というか、「CSRは精神論になりがち」という趣旨の話も興味深いです。もちろん、大学などでCSRを研究していらっしゃる先生については、大いに哲学や精神論を含めたCSRを研究していただき、体系化してもらいたいです。

ただ、現場や僕みたいなCSRのサポートをさせていただく人間としては「現場感のあるCSR」のフレームワークが必要なのであるため、研究者よりの方が書いたCSR/CSV論が現場では役に立たないこともしばしば。

で、話がまとまってませんが、CSRにおけるマテリアリティ設定は重要だよ、ということをまずは知っておけばOKかと!

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