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現場経験者が語る、企業が社会貢献をすべき理由

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第一回東洋経済CSRセミナー

先日「第一回東洋経済CSRセミナー」がありましてパネリストをしてきました。

参加者は企業のCSR担当者を中心に約90名ほど。パネリストとして出たので、すべてをメモできませんでしたが、「企業はなぜ社会貢献をすべきなのか」という大きな問いのヒントになるかと思います。

そもそも「CSR企業総覧」というCSR関連の膨大なデータをまとめた書籍を出版し、「CSRランキング」などの各種ランキングも作っている、東洋経済。

講演・パネルディスカッション以外にも、当日配布されたデータは非常に興味深いものばかりでした。この内容で、第一回のCSRセミナーというのだから、逆にすごいというか、むしろ、今までやってなかったんだ、みたいな。

それはさておき、セミナーのレポートを。多くのCSR関係者の気付きになれば幸いです。

基調講演・メモ

今回の基調講演をされたCSRアジア日本代表の赤羽さんの講演メモを。テーマは「企業の社会貢献は社会的責任なのか」です。オチを言ってしまえば、社会貢献は社会的責任(CSR)ではあるけど、それは全体の一部にしかすぎないよってことです。

社会貢献の立ち位置はどうなのか。CSRであってもなくても、今後どうしていくべきか、社会貢献は利益がでないので、社内での予算取りも大変なのではないか。では、どのような思考と実践が重要なのか。そんな話の講演でした。

・CSRは「ステークホルダーに“配慮する”」と言われるが、配慮とは本来「応える」こと。ニーズとは異なる企業活動は配慮しているとは言いがたい。

・日本企業の「アジェンダセッティング」が弱い。つまり、八方美人なCSRではなく、どんな社会課題を解決するためにCSRをしているかというアジェンダ(課題)へのフォーカスが弱いということ。

・そもそもCSRは、企業を中心として考えるのではなく、「社会課題」を中心としてステークホルダーの枠組みを理解すべき。

・コミュニティ投資。戦略的投資のこと。企業にも受益者にもリターンをもたらす考え方。

・コミュニティ投資は、「インプット、アウトプット、インパクト」という3つの結果を重要視する。
例:1000万円(インプット)を使って、木を10万本植えて(アウトプット)、周辺の井戸水10万リットルの品質が向上した(インパクト)。

・アジアでの問題意識トップ5(2013)は「サプライチェーンと人権」、「コミュニティ投資とCSV」、「気候変動とエネルギー問題」、「コーポレートガバナンス、情報開示、反汚職」、「貧困格差、貧困と社会の不均衡」。“世界の工場”であるアジアらしい注目領域なのかもしれない。

・アジアでCSRに影響を与えている人トップ5(2013)は「NGO・市民団体」、「投資家、金融機関、証券取引所」、「メディア」、「政治・政治家」、「企業」。特にソーシャルメディア普及により、個人がメディアになる時代になり、従業員やコンサルタント、著名人・インフルエンサー・消費者などのCSRに与える影響が高まっている。

・CSRの現場の主な課題は、目立たない、優先順位の付け方、社内浸透、予算確保、活動のオリジナリティ、他団体との連携、協力団体の選定理由、コストセンターで肩身が狭い、社会的ニーズの発掘、効果測定、部署の歴史が浅い、などなど。他部所と違い専任の人数が少ない企業がほとんどの中、活動の多くにとって課題がある。

参照:CSRアジア|アジア太平洋地域において、最大級のネットワークをもつCSRに特化したシンクタンク

パネルディスカッション

特に、社会貢献という視点では寄付の話がよくでますが「寄付をしっぱなし」という企業は多いです。すべての寄付活動を可視化・定量化できなくても、検証は少なからずすべきでしょうね。

他にも損金算入したいから、税制面で有利な団体に寄付したいとかでNPOを選ぶ会社も多いです。気持ちはわかりますが、本来の手段と目的をはき違えており、もったいないなぁ、と。だったらしなくていいじゃん、みたいな。

個人的に、日本で一番有名なCSRランキングを毎年行っている、東洋経済さんのCSRセミナーに、そもそもパネリストとして参加できる、というのは貴重な体験となりました。その打合せの過程もふまえ、色々、僕自身の勉強にもなりました。

ちなみに、僕は「“社会貢献活動”が尊いのではなく、“社会貢献活動の結果”が尊いのであり、“何か良い事”をしただけで満足してほしくない」とか「効果測定は重要。受益者の変化を数値化する“SROI(社会的な費用対効果)”の視点をもつべき」といった話をさせていただきました。

ちょっと厳しめな話をしたため、反対意見が大半かとおもいきや、アンケートで僕の講演も聞いてみたいという人がいたらしく、一定の方々には発言の意図をご理解いただけたのかなと感じました。

パネルディスカッションではあまりふれられなかったですが、以下の記事に「企業がすべき社会貢献」の話をまとめていますのでご参考までに。

可視化・定量化できないCSRは、本当に意味がないのか?

CSR関連のデータ

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パネルディスカッションの様子。僕は、右から2番目の赤ネクタイです。ちょっと間抜け顔で恐縮です。

セミナーでは、CSR関連のデータから、昨今の動向を読み取る、何てこともありました。

概要ですが、「社会貢献支出は寄付より、CSR活動そのものへの支出が増えている」、「社会貢献担当部署の専任化が進んでいる」など。

「本業でCSR」という考え方もあり、ただ寄付をするだけではなく、自社と社会(コミュニティ)との関わりを深めるアクションが今後も進んでいくのかもしれません。また、ここ数年は「兼任による社会貢献担当部署運営」が多かったのですが、徐々に専任スタッフを配置する企業が増えているとのこと。

これは僕も感じます。3〜4年前にお会いした担当の方(広報との兼任)が専任になっているとか、総務との兼任だったのが、専任になったとか。CSR・社会貢献の専任スタッフがいることだけが素晴らしいというわけではありませんが、様々な視点から考えて、1人でも専任がいれば、CSR活動が進みやすいのは間違いないでしょう。

あと、専任化についてですが、CSR担当も世代交代や担当変更がちょこちょこあるらしく、新しい風がCSR関連部署に流れているという話も聞きます。ここから数年は、企業のCSR活動が変革期に入るのかもしれませんね。

何人かの方とセミナー終了後に名刺交換をさせていただきましたが、第三者からは“よくやっている”と見えても、中の人はいくつもの大きな課題をもっているもんだなと思ったり。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

いわゆる大手で、CSR部の他に環境部・社会貢献部など、超組織的にCSRをしている企業って日本で数百社あるかないかなのかもしれない。そんな話もありました。僕もそう思います。

上場会社3500社の中でCSR報告書を出していたり、いわゆるCSR情報として社外に情報を出している企業ってその中の三分の一(1000社ちょっと)ともいわれ、まだまだCSRという考え方が実践されているとは言いがたい日本社会です。

僕なりに勉強になることも色々ありました。「なぜ私たちはCSRをすべきなのか」、「なぜ私たちは社会貢献をすべきなのか」という問いをぜひあなた自身にして下さい。本質を見失ってはもったいないですよ。そんなセミナーだったと思います。

ちなみに、東洋経済CSRセミナーは、第二回も予定しているそうです。次回は7月あたりになりそうです。

このレベルの話が3000円で聞ければ安いっすね。僕は10,000円だと言われても参加者として参加するかもしれません。僕自身もそれなりの価値提供はできたかと思います。無料セミナーに慣れている方には、高かったなんて意見もあったようですが…。コスパは悪くないと思うんですけどねぇ。

採用されるかどうかは別として、こんなCSRの話を聞いてみたいというのがありましたら「お問合せ」より、ご意見いただければと思います。

追記(4/22):他の方のレポート記事
あえて言いたい「本業と関係ない社会貢献」の必要性
第1回東洋経済CSRセミナー・報告|東洋経済



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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]