働きがいのある会社ランキング

今年も発表された「働きがいのある会社ランキング」。

僕は、こういった類いのランキングを「従業員視点のCSRランキング」と言っています。通常は従業員を評価する側の企業が、従業員に評価される。非常に興味深い話です。

就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」では、「働きがいのある企業ランキング2014」を発表しました。このランキングは、「Vorkers」に投稿された「社員・元社員による在籍企業の職場環境に関する評価点」を集計しております。

ということのようです。そのランキングと解説を少々。

総合ランキング

01、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社(P&G)
02、グーグル株式会社
03、株式会社小松製作所
04、ゴールドマン・サックス証券株式会社
05、丸紅株式会社
06、株式会社リクルートホールディングス
07、三菱商事株式会社
08、日本たばこ産業株式会社
09、旭化成株式会社
10、出光興産株式会社

参照:働きがいのある企業ランキング2014

11位以下は、リクルートコミュニケーションズ、GEヘルスケアジャパン、ザイマックス、伊藤忠商事、アシスト、続きます。

組織体制、年収、入社ギャップ、ワークライフバランスなどの項目が選定要素になっているようです。総合ランキングの他、「20代の成長環境」、「人材の長期育成」、「待遇の満足度」、「法令遵守意識」という項目のランキングがあります。

完璧な企業は存在しないということでしょうか。それぞれのランキングでは、トップ10に入る企業に多く差があります。

従業員視点のCSRランキングともいえます。ちなみに、企業だけではなく、非営利組織の項目もあります。

CSRにおいては、外部要因(外部環境要因)も重要ですが、働きやすい環境という企業経営における内部要因も、企業の総合力向上にとても重要な役割を果たすでしょう。

「自社が嫌いですぐにでも転職したい」という人が多い組織で、CSRが進むとは到底思えませんし。企業と従業員のエンゲージメントという視点は今後、とても重要なCSRとなるでしょう。

2014年ダボス会議

会議全体のテーマは「世界の再形成:社会・政治・企業活動にもたらされるもの」というもので、「破壊的なイノベーションの促進」とならんで、「包摂的な成長の実現」「社会の新たな期待への対応」「90億人の世界を持続させるために」という4つの柱のもとに設定された250に及ぶセッションには、「女性活躍」「医療の未来」「気候変動」「ビッグデータ管理」「人間の尊厳」「食糧安全保障」「倫理的資本主義」「腐敗防止のシステム」「働くことの平等」などのタイトルも目立ちました。
2014年ダボス会議の論点

今年のダボス会議の内容だそうです。CSRでも「人権」というテーマの重みが増しているというのは方々で聞いていましたが、世界でもそうなのね、という感じです。

属性の異なるフォーラムメンバー700人に31のリスク要因を示して、「2014年に懸念されるリスク」と「10年後を展望して、発生の確度の高いリスク、影響の大きいリスク」を評価付けして貰った結果が示されています。興味深いのは、「10年後を展望して、発生の確度の高いリスク」とされた上位には、「所得格差」「異常気象」「失業や不完全雇用」がランクされ、「10年後を展望して、発生の影響の大きいリスク」には「財政危機」がトップであるものの「気候変動」と「水資源枯渇」がそれに続くという結果になったことでしょう。「企業の社会的責任」の脈絡で議論されるトピックスが、世界にとって大きなリスクであると認識されているということです。
2014年ダボス会議の論点

毎年、年初にある「世界経済フォーラムの年次大会(通称ダボス会議)」でのちょっと前に発表された調査レポートの話です。

グローバル・リスクに企業はどうか関わるべきか。

上記引用でもありますが、僕は、企業の働きやすさと、ダボス会議の話はまったく別の話のようで実はつながっているのかと考えています。

企業がCSR活動を進めていく上で重要なのは、従業員の理解です。瞬間的にでも、利益(企業業績)にならないCSR活動をするとなった時、自分や自社の直接的なメリットのない企業活動となります。社長一人でCSRをするわけじゃないし、従業員の理解がなければ、担当部門が適当に動いて終わりでしょう。

常日頃から従業員とのエンゲージメントを考慮し、“働きがいのある企業”へ向けて活動することで、グローバル・リスクへの対応も迅速に進むのではないかと。

まとめ

企業活動は、本業だろうがCSRだろうが、すべてがどこかでつながっています。

ダボス会議の話に感化されるのはいいですが、まずは足下の、従業員への配慮を怠ってはいけませんね。「給料をもらう」以外に魅力のない会社になりたくてなっている企業はなくても、そうなってしまっている企業はあるはずです。

まずは外部要因より、内部要因への対応を。CSRのスタートアップ企業は特に、CSRにおけるケイパビリティ戦略が重要となるでしょう。そんなことを思ったりした週末でした。

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