SDGsの企業経営で参考にすべき調査事例とレポート7選

SDGs

SDGsの認知度調査

SDGs関連の調査レポートや認知度調査って、あればなんとなく見てしまいますよね。

英語であれば日本語よりも膨大なSDGsに関する情報にアクセスできますが、そもそも企業担当者個人で、グローバルなトレンドを追うのは不可能に近いです。SDGsが世界中で広がったのはよいですが、その分情報が増えすぎて、質の良い情報収集ができていない方も多いと思います。

書籍ならまだしも、特にインターネットはノイズ(大して価値のない情報)も多く、情報収集のコスパを考えると、いろいろな視点からトレンドをまとめたトレンド情報が欲しいと思う方は多いでしょう。私もそんな情報があれば欲しいくらいです。いまや企業経営やCSR活動にSDGsの考え方がかかせないですからね。

というわけで、自分のメモを含めて、ここ半年くらいで集まったSDGs関連の調査や日本語レポートを紹介しています。かなり有用な情報もあると思いますので参考にしてみてください。

SDGs関連調査

インサイトテック

・34%が「SDGsを知っている」と回答。2018年12月より4ポイントアップ。
・消費者に聞いた、企業のプラスチック問題の対応。認知度が高いのは、消費財系サービス企業。
「持続可能な開発目標(SDGs)」意識調査

損保ジャパン日本興亜

・「SDGs」という言葉を約 70%が「知らない」と回答し、一層の認知度向上が必要である ことがわかりました。
・「SDGsの達成」や「社会的課題」の解決に向けて企業に期待する役割は「社会的課題の 解決に資する商品・サービスの開発・提供」が前回の 25.7%から 39.6%と大幅に上昇し、本業を 通じた具体的な貢献が期待されていることがわかりました。
・社会的課題の解決に取り組む企業の製品・サービスを購入したいと考える一般消費者は 60% を超えました。
社会的課題・SDGsに関する意識調査

花王:生活者研究センター

・SDGsの具体的目標について、関心は高いが貢献意欲には戸惑いも
・日常の何気ない体験や気づきが、SDGsへの関心の芽生えに
【環境・SDGsへの意識実態調査】 SDGsの17の目標について、「関心度」は高いが「貢献意欲」には戸惑いも。<花王 生活者研究センター調べ>

サステナブル・ブランド・ジャパン

日本は162カ国中15位。昨年と順位は変わらず、依然としてジェンダー平等や責任ある消費・生産、気候変動対策、パートナーシップに大きな課題があると指摘された。日本にとって最大の課題と指摘されている目標は、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」。
世界のSDGs達成度ランキング、日本は15位 昨年と変わらず

関西大学

・「SDGsについて知っているか」という項目では、「存在を知らない」が全体の3割強
・「SDGsをどこで知ったか」は、上位3項目が「高校・大学で学んだ」「大学の入学式」「その他」
学内調査「SDGs意識調査アンケート」(関西大学、2019)

SDGs関連レポート

以下は、意識調査ではないですが、企業がSDGsを実践する上で参考になるであろうレポートたちです。情報量が非常に多いですが、本気でSDGsを進めるのであれば、ざっとでもすべてのレポートに目を通すべきです。

・「SDGsを企業報告に統合するための実践ガイド」(IGES、2019)
・「SDGs経営/ESG投資研究会 報告書」(経産省、2019)
・「SDGs経営ガイド」(経産省、2019)
・「主流化に向かうSDGsとビジネス」(GCNJ、2019)
・「企業と人間社会の持続的成長のためのSDGs」(経済同友会、2019)
・「SDGs満3年、世界の現状と見通し」(IGES、2019)
・「アジア太平洋SDG進捗報告書」(ESCAP、2019)
・「SDGsに取り組む地域の中堅・中小企業等を後押しするための新たな仕組み(支援モデル)の例示について」(経済産業省 関東経済産業局、2019)

関連ウェブサイト

Sustainable Development Report 2019
経団連
外務省
首相官邸

SDGsのトレンド

SDGsもこの4年で、民間組織で「認証」「資格」「検定」などが登場しています。中身や継続的な関わりが良ければ問題ないのですが、さすがに自称・専門家だけで作ったり組織したりするのは、関わる人が皆んな不幸になるし、なによりそれ自体が「SDGsウォッシュ」かと。CSVもですが、トレンドを知り、徐々に対応しているのはよいですが、一気に加速させるとその分歪みも出てしまいますよ、ということでしょうか。

政府のSDGsアワードもありますが、過去受賞企業の大不祥事(よりによって人権・労働慣行の問題)などもあり、やや盛り下がっている印象はあります。(ただし開催は素晴らしいことであり政府主催の意義は一切否定しません)

個人がSDGsをどう学ぼうとも、私がどうこう言える立場ではありませんが、企業のSDGs推進団体への加盟であれば、まだまだ国連グローバルコンパクトの一択です。少なくとも本家に関しては間違いはないですから。

あと、最近よく聞くところですが、日本でのSDGsの盛り上がりは海外からすると「異常」だと。当然、ヨーロッパもアメリカもアジアもアフリカも、どのエリアでも大手の数十〜数百社程度がSDGsを本気で推進しているレベルですが、日本ではもっと多くの企業が推進活動をしている、と。しかし、やっていることは既存事業とのマッピングだけ。形式的な盛り上がりは日本は得意なので、大きな動きがあればさらに浸透していくと思いますが。

SDGs推進の実務

昨年あたりからは、私へのご相談も「SDGs対応を進めたい」というものが多くなっています。世間ではSDGsが流行っているといえど、多くの企業はこれから取り組むというフェーズなので、メディアや事業サポートサイドの“煽り”に負けず、本質的なスタートをしていただきたいです。

「SDGコンパス」を読んで自分たちだけで動ければベストでしょうが、なかなかそうもいかないのが現実でしょう。では企業はSDGsにどのように関われば良いのか。SDGs対応が初期フェーズなのであれば、セオリーはだいたい決まっています。まずは、他部門も関わってくる方法でまとめるのがよいです。具体的には「既存事業とSDGsマッピングをして現状分析をする」から「マテリアリティ特定や中期経営計画策定に反映させる」ことです。(このプロセスだけでもかなり大変ですが)

マッピングする時はSDGsの17のゴールを眺めるより、「ターゲットとインジケーター」を見たほうがマッピングしやすいのでオススメです。

SDGsの登場(2015年9月)から今月で丸4年となるわけですが、この4年間の日本企業の動向を見てきて最も課題だと思うのは「圧倒的にアウトプットが足りない」という点です。日本人、というと主語が大きいですが、日本企業には真面目な担当者の方が多く、インプット(情報収集)はかなり完璧に近いと思います。問題はアウトプットです。SDGsを社内にインプットできても、組織から社内外へのアウトプットができなければアウトカム(成果)は生まれません。ここが圧倒的に弱いと。

結局、SDGsだろうがCSVだろうが、アウトカムが出せている企業は後付けでどうとでも言えるのですが、そもそもアウトカムを出せていない企業はどんなに体裁を整え情報開示をしたところで、社会の役に立っていない存在になってしまうのです。今後のSDGs推進実務はこのアウトプットが一つのポイントになるでしょう。

まとめ

SDGsがCSR・サステナビリティ分野以外でもこれだけ盛り上がっているのは、とてもよいことだと感じています。

あとは、これはCSRだけではないですが、超大手企業に多い“なんとなく対応”で、何かを言っているようで何も言っていないこともあります。たとえば「SDGs推進により社会に貢献していきます」など、こういう表現と活動が少しでも減ればいいのかなと。そのためにはエビデンスも必要でして、そのために、本記事で紹介した調査やレポートを参考にしていただければと思います。

SDGsの実務であるCSRは、企業の目的ではなくビジネスのプロセスであり、サステナビリティという世界共通のゴールを目指すためのツールなのです。適切に使い、自社の企業価値向上に貢献するSDGs推進であるといいですね。

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