CSR/サステナビリティ研修で感じた4つのポイント

CSR研修は難しい

CSR研修は、本当に難しいです。

私は研修屋さんではないのでそこまで本数は多くないですが、クローズドな研修も含めてここ数年は年間10本前後していると思います。

一般告知で参加者を募るオープンなセミナーはまだいいんですけど、クローズドな社内研修は空気感が企業ごとに異なるし、時折無茶振りのようなことも起きますが、10年もやっているとそれでもだいぶ慣れてきた気がします。

しかし、自身は渾身の資料で渾身のプレゼンテーションをしたとしても、先方の理解がどこまで進むかというのは別問題なのです。60〜120分という短い時間で何を伝え何を感じて欲しいのか。毎度悩ましい課題を感じています。

さて、そんなCSR/サステナビリティ領域の研修についてですが、最近思うことがあり自分のスタイルを公開したいと思います。

1、当事者意識

最近のご依頼で多いのは、「CSRとは何か」という基礎リテラシー向上の研修ではなく「CSR/ESG/SDGsにどう対応するか」という戦略構築の方向に変わっています。キーワードは「企業価値向上」「CSR/サステナビリティ戦略」「サプライチェーンマネジメント実務」などでしょうか。

役員クラスへの研修が増えています。一昨年くらいから、いわゆる偉い人(上場企業の社長・会長を含めた研修は何回やっても緊張します)に向けた研修を年数本ほどご依頼いただき実施しています。

役員会での研修の印象としては、どの企業も質疑のタイミングで社長が必ず質問や意見をしていました。当事者意識が少なからずあるので外部講師を呼んでの研修が成立している部分もあると思いますが、この姿勢は素晴らしいと思います。企業の社内浸透も、全社的な取り組みも、トップの理解なしに進みません。CSR担当役員(CS0・チーフサステナビリティオフィサー)やCSR担当者に投げやりな経営者も多いなか、まずは研修するだけでもマネジメント層のリテラシー向上ができてますね。

2、業界団体

地域や特定業種におけるいわゆる業界団体からお声がけいただくことが増えています。業界団体なので、会員(所属)企業向けのサービスとして外部講師を探していらっしゃいました。

経済団体では経団連がトップだと思いますが、経団連までいかなくても業界団体が旗振り役として業界を盛り上げていることもあるでしょうし、業界団体でCSRに注目すると所属する個々の企業の啓発にもつながります。ですので、私としては個々の企業への対応はもとより、CSRを盛り上げる人間として、業界団体での研修は一段と気合いが入ります。

業界団体でのCSR研修・セミナーでは、業界のキー・シューについての話を必ずします。業界ごとにマテリアリティが異なるので、このあたりは個別企業よりも入念にレクチャーします。自社のマテリアリティ特定や見直しに業界動向が重要な要因になります。

業界団体ではないですが、大手企業が取引先を100社近く集めて、そこのCSR外部講師を担当したこともあります。これは、取引先のCSRリテラシー向上ということで、サプライチェーンマネジメントとCSR監査の一貫とも言えるかと思います。

3、事例紹介について

講演では、私はあまり事例の話をしません。なぜかというと、事例を提示することで理解を阻害されることが多いからです。一つの考え方やフレームワークは具体例からエッセンスを抽出し、様々な企業で使えるよう抽象度を高めています。ですので、その理解に事例が欲しいというのはわかりますが、事例を示すと、その事例がフレームワークそのものになってしまい、その事例が一人歩きして本質が伝わらないからです。

個別企業での研修であれば、その場で事例を紹介する程度はできますが、資料にはできるだけしたくないのです。個別企業のCSR活動事例は最低限に留めないと「〇〇の会社ではこうやっているならウチは…」という話になってしまい、「それはアノ会社だからできるので御社は真似しないでください」と嗜めることもかつてありました。

「事例から学び物事を創り出すスキルやマインド」を持ち合わせている人には事例紹介が有効な情報なのですが、ほとんどの担当者はそうではないので…。結局ベストプラクティスを紹介しても「そんなのはレベルが高すぎて真似できない」となることがほとんどです。

あと、CSR関連のセミナーはいつも紹介される企業事例が同じです。はっきりいって5〜10年前からほとんど変わりません。あと、他人の講演を見ていると海外企業(外資系)が圧倒的に多い。とくにワークライフバランスやダイバーシティの例はほとんどがそう。で、参加企業の担当者は「文化が違いすぎて参考にならない…」となります。でしょうね。

あなたが欲しいのは「事例」ではなくて「事例から抽出されたエッセンスを自社にどのように活かすかという視点」ですよね?と私は思っているので、ほとんど事例紹介をしません。

4、発注

1、概要(日時、実施時間、場所、参加者)
2、研修の目的
3、研修のゴール
4、研修のテーマ、概要
5、トップの現在の認識
6、CSR活動の進捗レベル(自己評価)
7、各種事務手続き

では、研修の具体的な発注はどうすべきか。少なくとも上記は発注企業側で決めておくべき項目です。また発注側は事前打合せで研修企業に確認しておいたほうがいいのは「担当講師」についてです。基本的に丸投げにせず、当日の講師と事前に話をしておき齟齬がないようにしておく必要があると考えています。

講師プロフィールはPDF等で送ってもらえると思いますが、当日まで一度も話をしないのはよろしくありません。自社の背景(トップの認識、進捗レベル等)を最低限伝え、資料作成や当日の講義をしてもらえるよう本人に伝えるべきです。お互いある程度考えをまとめた状態でコミュニケーションしたほうが、メールや電話のやりとりも減らせますので、上記のことくらいは、事前に確認しておきましょう。

あとは、これは他の講師がどのようにしているかわかりませんが、事前資料として「目次案」を作ってくれる方もいます。私も作ります。あとで大幅な修正が入ると嫌なので。特に経営層への研修の場合、根回し(事前確認)等で概要資料を使うこともあるでしょうから、対応してもらうよう確認してみましょう。

まとめ

以上が最近のCSR研修についての、私の雑感です。この記事を呼んでくれたあなたは、ぜひ上記を点を加味しながら発注すると、より成果に繋がる研修・セミナーになると思います。私ら講師側に適切なプレッシャーをかけてください。

当事者意識とリテラシーの向上。これは関連書籍を3冊読むか、研修を受けるかで獲得できうるものです。専門家やCSRの中でも特定領域に詳しい人などを呼んで、ぜひ勉強会を実施してみてください。

ルーティンワークをしつつ情報収集をするのはCSR担当者としても大変だし、役員層も社内の人間より社外の人間の話を聞く部分もあるかと思います。予算やタイミングの問題はあるかと思いますので、ここぞという時は専門家にご依頼いただければと思います。

本記事が研修を発注する際のヒントになれば幸いです。ちなみに、当方で行なっている研修プランは以下のリンクからご確認くださいませ。

>>CSR研修詳細


csr

このエントリーをはてなブックマークに追加