CSR/サステナビリティ活動の7つのポイント

CSRにどんな理由が必要か

あなたは「なぜそのCSR活動をしているのですか?」とステークホルダーに質問された場合、なんと答えますか?

昨今はCSRの戦略や情報開示のレベルで評価されることも多いですが、本来はCSR活動そのものでインパクトを出してなんぼです。KGI/KPI、戦略、情報開示、などが素晴らしくても成果を生み出せないのであれば、ステークホルダーの誰が幸せになれるのでしょうか。

最近、CSR活動そのもののご質問を連続で受ける機会があったので私の考えをまとめます。CSR活動を一通りして次に何をしてよいかわからないという担当者も、これからCSR活動を本格化する企業担当者にも読んでもらいたい記事です。

1、「成功」を定義する

CSR活動において最も重要なアクションに一つに「CSRの成功(ゴール)を定義する」プロセスがあります。自社にとって、何ができたらCSR活動が成功したとするのか、ということです。これが決まっていないと本来は何もできないはずですがこのプロセスがかけていることが多いです。(CSR先進企業と呼ばれるところでも明確に答えられない担当者がいるのは内緒です)

CSRの目的は「信頼される企業になる」「企業価値を向上させる」ことです。「我々にとって、ステークホルダーの信頼獲得には何ができたらいいのか」「我々の、企業価値向上には何ができたらいいのか」を決めるとよいでしょう。別に大学の研究者のように難しく考える必要はないし、社会の変化に合わせて、定義を定期的に見直し修正してもステークホルダーから怒られるというわけではありません。また、これがゴールとなるKGI(成果目標)を決めるプロセスになるわけです。

CSRの定義は難しいです。個人によって理解とイメージが異なるからです。多くの場合、CSRという概念は、本来の意味よりも狭くとらえられてしまいます。専門家でなければ背景をしならないのでそうなるのは当然です。ですので、CSR活動の最初の最初に行うアクションは「自社におけるCSRの定義を明文化する」です。これらの考え方は、企業規模とは関係なく、大企業でも未上場企業でも中小企業でも同じように考えるべきものです。

2、マネジメントシステムを作る

CSR活動では実行と管理の両面を行う必要があります。ここでいう管理とは「成果をマネジメントする」ことであり、人を管理することではありませんのでご注意ください。たとえば、自社とステークホルダーおよび社会との間になる、不確実なリスクと機会を1つでも多くコントロールするための活動などです。

マネジメントとは「何を計測するか」です。目標とは「計測する項目を決めること」です。CSR活動においては「KGI/KPIの策定」「マテリアリティ特定」「バウンダリ特定」などにあたります。そもその計測できない事象は管理することできませんよね。

注意点としては、KPIは行動指標でありあくまでも部分最適の話であって、有用なKGIがあってはじめて効果的な指標となります。昨今はCSR活動の成果とその開示がより求められるようになっていますが、KPIの達成がビジネスゴールであるKGI達成に本当に貢献しているのかは、やってみたいとわからないし、全体最適な施策を行えるパワーのあるキーパーソンがいなければなりません。

3、まずやってみる

実践できる仕組みが出来上がったら、まずやってみましょう。みんな仕事で失敗したくないですよね。できれば最初からずっと成功したいですよね。わかります。でも、無理です。それができたらすべての企業は倒産しませんよ。

事業の作り方、管理の仕方、実践モデルなどなど、なんでもCSRのベストプラクティスの情報が手に入るから、逆に自分のやってることが「最善かつ最短」のルートであるかを気にしすぎなところありますね。実際はやってみて失敗すしてそれを改善するの繰り返しがベストだから気をつけないと。日本のCSR活動は「PPAP」が多いです。「ペン・パイナッポー・アッポー・ペン」ではありません。「プラン・プラン・アクション・プラン」です。効果測定が皆無なのです。

計画がある程度できたらまずやってみる。CSR評価が高い企業は当たり前ですが、そのステージをクリアして、今のステージにいるわけです。CSRの場合は、成果を出すのに魔法はありません。地道な活動をどれだけ繰り返し行えるのか、が成否を分けます。

4、失敗してみる

CSRの予算がないことの最大の欠点は「失敗できないこと」だと痛切に感じます。たくさん施策を打ってPDCAを着実に回せれば成果を徐々にを引き寄せられるとわかっていても、お金がなさすぎると確実に当たる(と思われる)施策にしか手を出せず、新しい取り組みができません。また、一定レベルまで業界内に浸透してからでないと始められません。でも後発にもリスクがあるし、リスクをとって先に動いている企業に追いつくはありません。横並び主義のネガティブな側面ですね。CSR部門に他の部門ほど予算がないのは知っていますが、予算から活動を決めることほど愚かなことはありません。

PDCAのもう一つのポイントは「クロージング・ミーティング(反省会)」です。「キックオフ・ミーティング」はどの会社でもしていると思うのですが、成果物を納品して終わりになっていて、そのあとのクロージングをしないと。クロージングのルールは、ブレストと同じで「批判をしない」が重要。反省となると、現状批判がメインになってしまう可能性が高いので気をつけたいところです。

ものごとのほとんどは失敗するのだから、失敗を記録して、ノウハウにするのが重要です。成功談は本でもウェブでもたくさんありますが、失敗談が表になることは皆無です。自分たちでチャレンジして失敗しないと、ノウハウにならないのです。これはCSR活動だけではなく、ビジネスプロセス全般だと思います。コンセンサス重視でリスクを避け“成功への挑戦よりも失敗をいかにしないか”に努力してばかりで今より成長できるわけないでしょ!

5、投資する

成功を目指してしても失敗することもあります。といいますか、CSR活動の場合はそもそも成功か失敗かもよくわからない微妙な結果で終わることがほとんどでしょう。CSRの課題の発見とネクストステップまでは専門会社を使ったほうがいい場合もあります。お金で解決できる課題があるなら、さっさと外注した方が同じ成果を出すのに安上がりなことは多いので。

直近のコストを渋った結果、長期的な投資対効果を著しく下げている企業が多いのが問題です。ノウハウや情報がないのに内製してよいことはありません。成果として生まれるのは自己満足だけです。グローバル・ルールに対して“素人”の考え方は逆に危険ですよ。それで会社が動いてしまいますからね。アウトソースの投資を渋って、別の部門から異動させた素人人材を使うってどれだけリスクかわかっていますか?ベテランが社内いればいいのですが、新任担当者の方も悲劇ですよね…。

また、CSR担当の方々と話していて、あまり共感を得られないのですが(理想論だからですが)、私は「CSRは経営課題であるので社長はもっとCSR関連部門に協力すべき」と考えています。もし今のCSR活動に課題があるならCSR担当者は社長に協力を求めるべきです。CSRにもっと社長自身の人的リソースを投下すべきなのです。社長がCSRにほとんど関与しない企業で、成果を出しているところを見たことがありません。

従業員を巻き込みたいのであれば、まずは社長を巻き込みましょう。意義や成果があることであれば必ず協力してくれるはずです。そうでなければ…地道にがんばりましょう。ちなみに担当役員ですべて決裁ができる企業であればCEOである必要はないですが、日本企業ではそんなところないでしょう。

成果を出したいのであれば投資をしなければなりません。投資もせずリターンを求めることは「買ってもいない宝くじの当選を期待する」ようなものです。宝くじは買わなければ当たりません(実際は期待値が低いので宝くじは買っても当たりませんが…)そうやって、少ない予算でも少しずつ、しかし本気でCSRを進めている企業とどんどん差が開き、二度と追い抜けないレベル差が開きます。

6、当たり前を継続する

CSR活動で成果を上げたり外部評価を向上させる、最も効果的なことは「当たり前のことを継続的に行う」です。

CSR活動の多くは奇抜/ユニークな何かを求められることはありません。「法令遵守しましょう」なのであれば、徹底して浸透させる、不正の起きない仕組みづくりをし継続的に見直す、などなど。はっきり言って誰でも思いつくレベルの活動を、これでもかと、継続し、繰り返し行うことでCSRが社内外に広がるのです。

当たり前のことを当たり前にリソース使ってやるだけなのだけど、CSRは事業と違ってどこかで“ウルトラC”みたいなの期待してるのか「当たり前のことをやりきる」ということに決心がつかないことがあるようです。いや、グダグダしている時間すらもったいないです。やりましょう。

10年近く、企業のCSRを見てきましたが、ある程度のラインまでは「リソース投下量」と「評価向上・成果創出」は“ほぼ比例”します。CSR活動を積極的に進めようともしていないのに、評価だけあげたいとかそれは無理ってものなのですが、多くの企業がこの状態であるのは事実です。当たり前を継続しましょう。少なくとも成果にウルトラCを期待するのはそのあとです。

7、きっかけを掴む

CSR活動で大きな一歩を進める機会というのはそうそうありません。毎年のルーティンワークの中では特に。ではどういうタイミングであれば大きな進展・変更がしやすいのか。

1、会社の引越し
2、周年記念
3、社長の変更
4、中期経営計画の変更
(5、CSR報告書を発行する)

上記のタイミングで大きな方針をつくり変える企業は多い印象です。5番をカッコにしたのは、これからCSRを始めるという企業は、CSR報告書を発行してから活動を始めることが多いので、一応含めてあります。

どんなに綺麗事をいっても組織としてCSRを進める上できっかけがないと大きく前に一歩が出ないこともあります。何年も前から「次の〇〇の時にこれを大きく変更する」など、戦略変更をともなうものは特に組織の大きな変化に紛れて実行しましょう。情報開示至上主義の時代ですが、社内では隠密行動も重要です。

まとめ

冒頭の質問をもう一度。あなたは「なぜそのCSR活動をしているのですか?」とステークホルダーに質問された場合、なんと答えますか?

上記の7つのプロセスを見直し精査・実行すれば、間違いなくこの質問に答えられるはずです。CSR関係者の言論は、内部では如何に盛り上がって見えようとも、外部からすれば「コップの中の嵐」でしかないのがよく分かります。「なぜCSR活動をしているのか」を論理立てて説明できるようにしておきましょう。

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