CSRの担当/部門が考えるべき役割と業務

CSR担当者の役割

結局、CSR担当者はどんなスペシャリティを持っていればいいのでしょうか。

先日、4月からCSR担当者になるという方に「CSR担当者に求められる能力とはなんでしょうか」という趣旨の質問をいただきました。その時は、組織によって求められる知識・経験は異なると断ったうえで「必要な能力は知識・情報よりは行動力でしょう」と説明しました。

理由は、知識・情報は最終的にアウトソースが可能なのですが、社内での活動実務は、CSR担当者しかできないので、そこがしっかりしないと、どんなに良い外注先があっても最終的な成果には結びつきにくいと考えるからです。

というわけで本記事では、年度末も近づいているということで、CSRの担当/部門における役割や業務に関していくつか考え方をまとめてみたいと思います。

アウトリーチ活動

CSR活動により成果が求められるようになった昨今、CSR担当者が理解すべき概念として「アウトリーチ活動」があります。

アウトリーチとは、社会課題に直面し支援が必要な状態なのに課題解決の相談窓口にアプローチできない人たちに対し、支援者側が直接出向いて支援を行うことです。アウトリーチ活動の多くは政府/自治体やNPOが役割を担うことが多いのですが、CSR活動も当然このアウトリーチを意識したものである必要があります。

試行錯誤した結果、課題を抱える人たちへのアウトリーチ型CSR活動のオペレーションをNPOに任せるという方法もありますが、最近は、最初から自分たちは“現場に降りない”選択をする企業担当者が多いのが気になります。つまり、自分たちはビジネスセクターであり課題解決の当事者ではない、と。

企業は利益を追求する組織であり自社の利益にならないことはできない、というスタイルなのは間違いありませんが、これはCSR担当者が悪いわけではないのですが、2003年の「CSR元年」から15年がたつ日本で「NPOとのコラボレーションが重要」って散々言われていて、セクターがいまだに分断されているのはこの考え方が原因の一つなのかと考えています。もっと現場主義を徹底し、現場から成果生み出していきましょうよ。経営戦略だけがCSRではありません。

横並び文化からの脱却

すべてとはいいませんが、大手企業のCSR担当者の方は「事例」が好きですよね。この事例ってヤツは非常にやっかいなんです…。CSR報告書の制作会議なんかでは特によく聞くのが「同業他社ではどうですか」「事例はどこですか」などのセリフです。考え方だけ「横並び主義」というか「前例主義」の方は非常にまずいですね。

他社のベストプラクティスを聞いても真似すらしないし。社内資料として事例があったほうが良いというのはわかりますが、それを続けると体裁ばかり気にして同業他社に出遅れないようにして、失敗もしないよう横並びになって…他社と同じことをやるのだから頭一つ抜け出せるわけでもなく…特段成功するわけでもなく…となります。

大手企業の担当者はそんなものだと言われればそれまでですが、やはりせっかく担当になられたのであれば「世の中に自社を合わせる」ではなく「世の中を自社に合わせようとする」ような姿勢が重要だと思うんです。そういう担当者がいる企業は相関で評価が高いことが多いです。

競合に勝ちたいのであれば、それなりのリスクをとって、熱意を持ち、CSR活動に取り組む必要があるのです。予算も時間も情熱も知恵もなく表面上でただ評価を上げたいなんて、それは無理ってものです。テクニカルな話であれば外部の専門家をうまく使って“取り繕う”ことは簡単です。でもその支援が終われば…。何もリスクを負いたくないでも成果は得たい、というのはなかなか難しいですね。

CSRの社内浸透

CSRはCSR部門以外で進むほど価値があると私は考えています。

何百社と今まで調査してきましたが、CSR活動をCSR担当者が独りよがりで行なっている会社のCSR評価は低く感じます。本来は経営企画・マーケティング・広報・人事…などさまざまな部門でCSRを進めなければなりません。加えてどれだけ多くの部門で「同じ思考をしているか」が重要です。経営企画は「CSRはCSRの部門がすればいい」で、CSR部門は「経営企画がCSR戦略構築を主導してほしい」みたいなスタンスでそもそも違いがあれば、CSR活動が全社的に進むはずがありません。CSRが経営に組み込まれなければならないのは「思考の共有」が重要だからに他なりません。

人間は感情の動物であり「未知なるもの/知らないこと」「共感できないこと」に対して拒絶を示します。CSRが社内で共感されない(拒絶されてしまう)のは、従業員がCSRの意味や意義を理解していないからという側面もあるでしょう。
CSRとは価値を創造する仕事です。商品やサービスができるずっと前から存在する価値観でもあります。企業のミッション・ビジョン・バリューそのものでもあります。CSRとは経営そのものであり、とても広い概念です。

だからこそ、CSRをCSRという単語を使わず前提知識のない人たちと、社内にすでにあるワードを使って価値共有をしていくかが重要なのです。

まとめ

こう考えてみると、CSR担当者って超人的な能力を求められているのがご理解いただけるのかと思います。

世界情勢を横目で眺めつつ、目の前の行動を突き進める。ミクロとマクロの両方のバランスがこれほど必要な職業はほとんどないでしょう。上記の考え方が、あなたの思考のきっかけになれば幸いです。

ふと思い出したのですが、「学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)」という諺があります。「学ぶだけで行動をしなければ知識を生かすことができず、行動ばかりで知識を学ばなければ賢明な判断ができない」という趣旨です。私は日本的なCSRのバイブルは「論語」だと思っているので、お時間がある方はぜひチャレンジして見てください。

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