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SDGsの日本企業対応事例と進捗レポート

SDGs

SDGsの企業対応

政府、機関投資家、評価機関、などなど様々な組織がSDGsへの言及を始めており、社会的な認知も急激に広がっていて、キャズムの壁を超えそうな勢いです。

2015年9月25日に採択され、2016年1月1日より発効されたSDGs。発効より丸1年がたち、世界でSDGsの進捗に関するレポートが続々と発表され、企業事例をまとめた日本語のレポートなども発行されています。

そこで本記事では、SDGs対応表(対照表)の日本企業事例と、世界のSDGs進捗レポートを紹介したいと思います。あわせて、私が感じているレポーティングの課題についてもまとめます。

SDGs進捗レポート2017

2017年に入り、様々な機関からSDGsに関するレポートが出ています。

・Progress towards the Sustainable Development Goals: Report of the Secretary-General(UN、2017)
・The Sustainable Development Goals Report(UN、2017)
・SDG Index and Dashboards Report(SDSN、2017)
・The Sustainable Development Goals: The Value for Europe(CSR Europe、2017)
・持続可能な開発目標CEO向けガイド(wbcsd、2017)
・動き出したSDGsとビジネス~日本企業の取組み現場から(GCNJ、2017)
・社会課題解決に向けた取り組みと 国際機関・政府・産業界の連携のあり方に関する調査研究報告書(企業活力研究所、2017)

まずは上記の7つのレポートを読めば、2017年現在のSDGsの進捗度がだいたいわかります。すべて、ウェブで公開されているレポートです。世界中でたくさんのSDGsに関するレポートが発効されているのですが、取り急ぎピックアップできているものを紹介しました。

そのほかには、SDGs3大ガイドラインともいうべき、企業行動指針「SDGコンパス」、産業別ガイドライン「SDGインダストリーマトリクス」、CEO向けガイドライン「SDG CEOガイド」は日本語版も公開されているので確認をしていない人は必ずチェックしましょう。

SDGs企業事例

毎年7〜9月は統合報告書/CSR関連報告書の発効ピークであり、今年も9月になりレポートが続々と発表されています。ざっとチェックした主要企業の中で、SDGs対応の情報開示で気になった事例を3社紹介します。

1、ダイキン工業
「サステナビリティレポート2017」でのSDGsへの言及の仕方が良いと思います。そもそも「価値」にフォーカスし開示している点が、個人的に非常に評価しているのですが、その価値創造の中にSDGsの概念を含むというのが今後のセオリー通りでよいかなと。ただ、目次はいいのですが、詳細をみるともう一歩踏み込んだ言及が欲しいところ。そうすればさらによかったです。

>>サステナビリティレポート:PDFダウンロード

2、味の素
味の素は「サステスナビリティ データブック2017」と「統合報告書2017」を発行しています。味の素もSDGsへの言及の踏み込み方がさすがといった所です。評価すべきは統合報告書でのSDGsへの言及でしょう。多くの企業では、非財務情報中心の報告書では言及しているのですが、統合報告書でガッツリ言及しているのは実は多くありません。トップの理解度が高いのか、現場のスタッフが優秀なのか知りませんが、2017年発行版で最も参考にすべき事例の1つと言えるでしょう。

>>社会・環境

3、キヤノン
「サステナビリティレポート2017」では、他社であまりみないグラフィカルなデザインで関連性を紹介しています。目次ページにSDGsという見出しが入るくらい、キヤノンは力を入れているのも素晴らしい。どのようにというと説明が難しいので、レポートを見ていただきたいのですが、「マトリクス」ではなく「円」の図式で、関連性の強弱を示すのは面白いです。こういう手法は、来年には真似した企業が出てきそう。

>>サステナビリティレポート

参考:富士通

報告書だけが関連性を示すためのメディアではありません。富士通では、上記のような自社とSDGsの関連性を動画でまとめています。しかも結構わかりやすい。BtoC企業はこういうCSR関連の重要ワードは丁寧に解説してもよいと思います!
オムロンの「すぐわかるCSR」なども良い例ですが、CSRリテラシーレベルの低い方向けのコンテンツは必須でっせ。

レポーティングにおける課題

企業のレポーティングとしてはSDGsの反映がされるようにになってきていますが、「価値創造」や「インパクト」が本当にあるのかは疑問です。

CSR活動は通常「宣言する(コミットメント)→実行する(PDCA)→成果を出す(価値創造)」という大きく3つのプロセスに分かれます。「事業とSDGsの対照表」は、「宣言する」フェーズであって、事業プロセスに理由を“後付け”したにすぎません。

整合性やら何やら開示しているところもありますが“こじつけ”である可能性も高く、本当にアウトカム(成果)に結びついているかは報告からでは判断できない場合が殆どです。たとえ価値創造できているとしても、SDGsがあってもなくてもそれ創出できるよね?というような。

SDGsへの対応を含めたCSR活動が、本業の広がりとなるか、新規ビジネスとなるか、リスクマネジメントになるか、というような、どの価値創出につながっているか。そんな無理やりに開示しなくても、企業価値向上に貢献するものから取り入れていけばいい面もあると思います。慌ててSDGsにこじつける必要はありません。「急がば回れ」です。

企業はNPOではないので、あくまでも社会課題解決に自社がどれだけ貢献できるかを考えるべきです。99%ないと思いますが、SDGsに貢献できないビジネスはやらない、というのはまだ早すぎる判断だと思います。

NPOは逆にビジネスがまわせない(事業として成立していない)状態でも社会課題解決に貢献できていれば、まだ存在意義がありますが、企業ではビジネスが成立しなければ話になりません。この企業倫理に関してはあたりは、二宮尊徳の名言とされる「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」が含蓄あります。

SDGs対応が必要ないとは決して言いませんが、あまりに傾倒しすぎると、ビジネスモデル自体が歪む可能性もあります。ビジネスによる経済的・社会的な「価値創出」にもっとフォーカスしましょう。

まとめ

政府サイドも投資家サイドもCSRサイド、みんなSDGs推進派です。もうここまで世論と流れが作られてしまうと中小企業も含めて、企業はSDGs対応が必須となります。2015年9月時点でここまでビジネスセクターで盛り上がると思わなかったなぁ。

当然、SDGs対応だけがCSRではありません。むしろそれ以外のほうが実務として多いはずです。(最終的なインパクトや後付けでSDGsにつなげられますが)グローバル・イシューに注意しながらも、マクロな課題だけではなくミクロなCSR課題にも積極的に取り組んでいきましょう。

SDGsの多くのターゲットは、極端な話、日本国民と直接(間接的にはかなり近いのだが)関係してないものもあり、イメージがしにくく対応が難しい部分も現実的にあります。

だからこそ、企業はSDGs対照表を作るだけではなく、CSR報告などによる情報の受け手の情報ニーズやリテラシーレベルに合わせる必要があります。英語がまったくダメな人に「国際言語だから」という理由で、英語でずっと話してはいけません。日本語話者には、英語を翻訳し伝える必要があります。そうでないとエンゲージメントになりません。

企業はSDGsを“世界の裏側の話”ではなく、身近なモノ・コトからつながっていることであると当事者意識をステークホルダーにも持ってもらえるよう、伝える努力をし続けなければなりません。逆に、それができなければ、SDGs対応の意味や意義が半減してしまします。

これはSDGsだけの話ではありませんが、社会課題と自社の事業がどのように関係し、ステークホルダーはそのバリューチェーンの中でどのように関与しているのかを、適切にまとめ適切に情報開示しなければなりません。

論点が散らかっていて恐縮ですが、御社のSDGs対応の参考になれば幸いです。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]