CSRと広報

最近のCSRコミュニケーションと広報活動は、広報部門との融合や、活動領域の統合もあり、一部ではほぼ同じ意味や役割を持つようになってきているように感じています。

というわけで、私も広報関係の書籍やらセミナー参加などを通じ勉強をしています。そんな中で久しぶりに「広報会議」(宣伝会議、2017年3月号)を読んで気になった特集があったのでメモをまとめます。

巻頭特集は「広報と倫理観」です。昨今のメディアの炎上を考えると、担当者は必ずチェックすべきポイントです。倫理観がない広報は“悪でしかない”こともあるので、特に上場企業は注意すべきでしょう。次に気になった特集は「2017年の課題と戦略」です。広報責任者の話が掲載されていました。

戦略的対応

「2017年の課題と戦略」では、59社の責任者のコメントが掲載されていました。この中で「注力していきたい広報活動」としてCSR関連の項目を挙げていたのは、59社中14社(24%)でした。

なるほど。最近の広報では2〜3割の企業がCSRを課題としてあげているのね。現状分析ができていてさすがです。広報なのにSDGsにも言及しちゃう大日本印刷さんはすごいですね。こういう視野の広い方が責任者だと、CSR評価向上も期待できまね。

この特集は毎年の企画なのでしょうか。そういえば去年も『CSRを意識した広報とステークホルダーエンゲージメント「注力したい広報活動ランキング」(2016)』という記事で紹介していました。2016年に引き続き、広報担当者の興味関心が一定数ある、ということでしょうか。

全体をみれば、残念ながらCSRを注力分野として挙げていても、コメントを読む限り「この方はCSRを理解できていないのでは?」と思う会社もチラホラ。もちろん、CSRが専門という方はいないでしょうから、CSR研修とかうまく取り入れて社内でのリテラシー向上なども必要ということなのかもしれません。

ちなみに、『グローバルPR賢人に聞く 2017年大トレンド予測』では、APCOワールドワイドのネルソン・フェルナンデス氏は、「CSR・サスティナビリティ戦略」をトンレドに挙げていました。戦略については会社としての方向性なので、広報やCSR担当だけでどうなることでもないですが、PRとしてCSR戦略がキーワードとなる時代なのだと、改めて感じています。

社会のデジタル化により、ステークホルダーもより可視化されてきました(その分プレッシャーも明確になった)ので、広報とCSR部門が連携し縦割り体制を乗り越えて、企業価値向上につながる活動ができると、理想なのかもしれません。

まとめ

よくも悪くもCSR部門が広報関連部門(グループ)に配置され、IR/PR/CSRとステークホルダーとのリレーションを担当する窓口となる部門を統合する企業が増えています。

もちろん、CSRそのものはコミュニケーションやエンゲージメントと呼ばれる活動だけではないため、コーポレートコミュニケーションの部門に統合されてしまうと、本質的な経営にCSRを組み込むプロセスがおろそかになってしまう可能性は否定できません。担当役員の配置や組織的な取り組みなどが求められるでしょう。

というわけで、広報会議では、いたる所にCSR的なことも書いてあるので、今後も購読しようと思いました。まる。

広報会議2017年3月号