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社会貢献活動が「総論賛成・各論反対」になる理由

社会貢献

社会貢献活動の意義

世の中にはおもしろい/楽しい社会貢献活動がありますし、逆に嘘っぽいものや胡散臭いものもあります。

CSRや社会貢献活動の“定義”というのは、シンクタンクの数だけ、大学教授の数だけ、NPOの数だけ、CSRコンサル会社の数だけ、存在します。言い換えや類語もしくは類似する定義や背景も同時に語られるわけですが、その必要性の論点になると、二の足を踏むことになる企業が多いのが現実です。

さて、最近の企業のCSR/社会貢献領域では「総論賛成・各論反対」の枠組みやイニシアティブが増えています。「総論賛成・各論反対」とはまさに「CSRの重要性はわかるけど、自社が相応の“コスト負担”や“積極的な取り組み”をしようとは思わない」みたいなことです。

このあたりの議論を最近よく見聞きするなったので、本記事では僕の考えをまとめておきます。

賛成と反対

総論賛成と各論反対とは何か。いくつか事例を出してみます。

・「貧困の撲滅」は国連を中心に絶対達成したい目標です。企業サイドとしても、この考え方や方向性に特に異論はないと思います。(総論賛成)
・しかし、これがその「貧困の撲滅」のために、たとえば従業員が100人未満の会社は毎年1,000万円、100人以上の会社は毎年1億円を国連に寄付してくださいとなったらどうしますか?普通断りますよね?納税や寄付では限られたステークホルダーしか幸せになれませんからね。(各論反対)

・待機児童問題がずっと続いているので保育施設を増やすべきという議論。地域住民としては地域の人口が増え、若い人が増えることは良いことと考える人が多いでしょう。(総論賛成)
・しかし、その保育施設が自宅の隣にできるとなるとみんな反対するのです。まぁ、騒音がゼロではないし、不特定多数の人の出入りが増えれば不安要素が出てくるのも当然です。(各論反対)

「Knowing-Doing Gap」というか、CSR活動は重要だとはわかっていてもコストだし時間もないしそもそも何やっていいかわかんないし、という日本企業の99%が抱えているであろう現実的な課題にどう取り組むのか、という課題が浮き彫りになってきます。

負の外部効果

問題は「地域や社会の課題を解決するのは誰か」ということです。「地域・社会に良いこと」に反対する人はいなくても、自分の家のとなりに、保育施設や葬儀場、核処理施設、ゴミ処理場などができて、文句をいわず全会一致で承認されますか?

たとえば「世界の貧困撲滅」というのは簡単ですが、営利企業の哲学として、富の再配分だからとコストになることはしたくないわけです。貧困国支援のために事業関連税が上がるとしたらみんな反対するでしょ?

ほかには、調達部門とか“1円でも安く”という命題があるのに、CSR調達などでかなりなコストを部門で負担となるといい顔をする人はいないでしょう。

この社会貢献領域の「負の外部効果」(市場の外部で経済的不利益を及ぼすこと)ともいえるこれらの課題を、企業はどのようにとらえればいいのでしょうか。

この課題がめぐりめぐって「総論賛成・各論反対」につながるのかと思います。経済社会の利害関係は思ったより複雑であり、SDGsのように190カ国以上も加われば、その中での利害関係も複雑になるわけです。自分の正論が他人の正論になるとは限らないのです。

これを言ってしまうとアレですが、企業がCSRをして社会課題の一つでも解決しましたか?何十年も続く日本各地の環境活動で環境問題が解決しましたか?

まとめ

社会貢献活動が社会には必要だとわかっていても、自分が何かしらの負担を強いられると拒絶反応をする人や企業が必ずでてきます。

SDGsなどの超巨大な「グローバルイシュー」と「メガトレンド」は良くも悪くも総論賛成・各論反対を加速させることになりそうです。これは日本のトップオブトップの300社程度がやればいいとかそういう話しでもなく、現実的な経営課題としてどこまで経営層が認識できるかがポイントになります。

「CSR活動はすべきだ」。そんな100%が賛成する“机上の空論”(正論)ではなく、現実問題として自社がステークホルダーや社会課題にどのように関わっていくべきか、企業の姿勢が改めて問われるようになった昨今なのかなと感じています。

どこぞのギャグで「反対の反対なのだ!」というのがありますが、実はロジックとして正しいというのが世の中だったりするのかもしれませんね。



執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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