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経済と社会的責任の関係を学べる本「資本主義に希望はある」(フィリップコトラー)

CSRマーケティング

マーケティングの功と罪

前からですが“近代マーケティングの父”と呼ばれるフィリップ・コトラー氏は社会的責任に関して、色々提言をしているんですよ。

というわけで、今回の読書メモは「資本主義に希望はある-私たちが直視すべき14の課題」(フィリップコトラー、ダイヤモンド社)です。

資本主義には欠点や課題があるとして「資本主義の14の欠点」である、貧困・不平等・社会的責任・環境問題・社会的価値の重要性などを挙げています。読んでいると、世界経済と企業の社会的責任ってめっちゃ密接に関わっているんだと、改めて実感。

また“市場の失敗”として、「負の外部効果(負の外部性)」「コモンズの悲劇」があるとのこと。たしかにこの2点はCSRを考える上でも基本中の基本です。まぁ、多くのCSRコンサルタントやCSR担当者は考えない所だと思うけど(経済論理はミクロな現場には必要ない知識と思われてるから)。

ただコトラー氏の場合、マイケルポーター氏の社会的責任に対する考えとは大きく異なり、富裕層や超富裕層による社会的責任の背負いこみ(ノブレス・オブリージュ的な考え方)を本書で推奨しています。

これはつまり、資本主義そのものではなく、資本主義によって生まれた富裕層への性善説的な富の再配分を求めているようにも感じました。原文は読んでないけど、マーケティングの神様みたいな人が、そのマーケティングメソッドではなく、富の再配分によって社会的責任を考えているというには非常に興味深かかったです。「マーケティング3.0」でそんなこと言ってたっけ?

CSR担当者というよりは、企画系(社長室、経営企画)やマーケティングなどの部門の方のほうが実務に役立ちそう。CSR的には、経済における社会的責任の考え方みたいな視点が学びかな。SDGsの考え方が好きな人はこの本好きそう。最終的な資本主義の帰結は「貧困の撲滅」とか、SDGsまんまやん。

経済と社会的責任を考える上で、とても学びのある書籍でした。CSRマーケティング、ソーシャルマーケティング、コーズマーケティング、社会的マーケティングなんかの話はほとんど触れられていないのでお気をつけください。

資本主義に希望はある

第1章 貧困問題は未解決である
第2章 拡大する所得格差
第3章 搾取される労働者
第4章 機械が人間の仕事を奪っていく
第5章 誰が社会的費用を払うのか
第6章 環境破壊を防げるのか
第7章 乱高下する市場
第8章 利己心の是非
第9章 借金で豊かになれるのか
第10章 政治に歪められる経済
第11章 短期的利益を重視する弊害
第12章 マーケティングの功と罪
第13章 さらなる経済成長は必要なのか
第14章 モノだけでなく幸福も生み出そう



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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]