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ポリティカル・コレクトネスは言葉狩りか配慮か

ポリティカルコレクトネス

CSRとポリティカルコレクトネス

あなたは「ポリティカル・コレクトネス」という単語を聞いたことがありますか?

ポリティカル・コレクトネス(Political Correctness、以下PC)は、直訳すると「政治的な妥当性」、現代的にいえば「差別的な表現はやめよう」という意味です。

CSRコミュニケーションは特にステークホルダーへの配慮が必要です。特に、性別・文化・人種・民族・宗教・政治・年齢など様々な属性への配慮が重要です。このあたりをまとめてみます。

性別を分ける表現

日本語では、性別を限定した表現などは徐々に変わってきています。例えば以下のような職業名が有名な例としてよく挙げられるようです。

看護婦 → 看護師
保母 → 保育士
スチュワーデス → 客室乗務員/キャビンアテンダント
ビジネスマン → ビジネスパーソン

30代以上の方はどちらの単語もなじみ深いのではないでしょうか。10〜20代の方は、もう変わった単語しか聞いたことがない、ということもあるかもしれませんね。

ブラックジョークですが、「レディース&ジェントルマン」(紳士淑女の皆さまこんにちは!)みたいな表現も、性別は男でも女でもない場合もあるだろみたいな意見があり挨拶に使えない、なんてものもあります。

他にも「メリー・クリスマス!」も差別発言とされることがあるようです。日本だとイメージはないですが、クリスマスはキリスト教のお祝いであり、ほかの宗教の方への配慮が足りないので「ハッピー・ホリデイ!」と言いましょう、と。まぁ、確かにそうですが…。

そもそも性別を分けた表現(男性名詞・女性名詞とか)が言語によって明確にあるし(中性の表現がある言語もあります)、それらも使うのはよろしくないとなると、さすがに行き過ぎた制限とは思うものの正論ではあるので、反論しにくいのも事実です。

ほかにも近い単語としては「アファーマティブ・アクション」などもあるかも。

言葉の意義

言葉を変えれば配慮と言えるのか。それは Yes でもあり No でもあると言えます。

CSR界隈で有名な単語は「障害者」です。「障がい者」と表現する企業も増えていますが、当事者としては字面の議論をしている暇があるなら具体的な支援施策をしてほしい、という話を聞いたことがあります。

つまり表現を変えたところで差別や不遇がなくなるわけではない、と。内閣府でも『「障害」の表記に関する検討結果について』(2010)という検討をしていますが、PC的にはいろんな考えがあるので表記する時は注釈をつける、という落とし所にまとまりそうです。僕としてはまだ官公庁も使っているし、当面は「障害者」という表現を使うつもりです。

そもそも“公正な表現”が“平等な表現”とは限らないし、難しい問題です。このテーマに関しては以下の記事も参考になると思いますのでどうぞ。

CSRとして企業は「障害者差別解消法」にどう関わるべき?
事例から学ぶ、障害者雇用とダイバーシティマネジメント論

配慮を求めるステークホルダー

組織運営をする中で、最近は「モンスター〇〇」という人たちの存在があります。

一部は「ノイジーマイノリティ」と言われることもあるものの、おおかた、モンスターのように対応を迫る人々を指すようです。この方々の多くは自分の利益最大化がミッションであり、“自分に”配慮がたりない行動や概念をひどく嫌います。まあ、僕も人間なのでわかります。

しかし、その声が多くなりすぎて、社会全体がちょっとした不祥事対しても“叩く”ことが増えています。テレビ番組も度重なる“やや卑猥”な表現などが問題視されて、1980〜1990年くらいの裸や表現などが、現代ではほとんどありません。なぜって?ステークホルダーに怒られるからです。

僕はその動きは社会的に間違っていないとは思うものの、ちょっとでもはみ出た表現に「配慮」という大正義を持ち出し駆逐するのは、表現者の方々にとっては大変な時代なのだとは感じます。どちらが正しいというのはわかりません。

テレビやエンタメも企業のCSRコミュニケーションも、より洗練された配慮が必要な時代です。情報発信者からすると窮屈にも思えますが、そう時代なのですから、まずは、社会の空気感も大切にする必要があるんでしょうね。

まとめ

CSRとはあらゆるステークホルダーへ配慮することでもあり、PCはCSRコミュニケーションにおいても重要な概念となります。

ダイバーシティの概念もそうですが、PCも含めて、「世の中には自分とは異なる考え方や視点を持っている人がいる」という当然の事実を理解する必要があるということでしょう。

CSR報告書やウェブサイトのコンテンツで、知らないうちに使っていたらよろしくないので、校閲・校正の方ときちんとコミュニケーションをとって確認していきましょう!



執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]