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統合報告書/IIRCに関する意識調査2事例(2016)

統合報告書

統合報告書に関する調査

6月に入り「2015年12月期末」や「2016年3月期末」の企業の統合報告書/CSR報告書が続々と発表されています。

2015年が200社程度が統合報告書を発行したとされており、今年は東証1部・2部の企業を中心に300社近くが発行するなんて言われてます。実際、それくらい発行されそうと僕も予想しています。コーポレートガバナンスコードでも非財務情報の積極開示が求められた、などの社会の動きも大きいでしょう。

しかし、この手の報告書も制作会社は少数の大手制作会社が担っているのではなく、多数の中小の制作会社が中心となっている現実を見ると、その定義は偉い人たちがいうほど厳密である必要があるのかという疑問も出てきます。中小の制作会社はスピード感やトレンド収集に難アリですから、ほとんど対応できないですよね。良い悪いは別にして。あっ、これはオフレコで。

といういうわけで、本記事では統合報告/統合報告書に関するデータを紹介したいと思います。2017年発行版の制作資料にどうぞ。

リスク情報と統合報告

リスク情報の統合開示~統合報告にみる新しい財務報告の視座(PDF)

257ページにおよぶ壮大なレポートです。CSRというよりは、ディスクロージャーの話です。

当ブログは監査法人系の方も多く読んでいただいているようで、この領域に対して、あまり偉そうに言えませんが、日本の統合報告書/CSR報告書はこの「リスク面の情報開示」に対して及び腰になっているのは事実です。事業にネガティブなインパクトを与えうる情報を発信しにくい気持ちはわかりますが、それでは透明性・信頼性の向上は難しいです。

そもそも、サプライチェーンマネジメントを含めて、CSRはリスクマネジメントそのものであります。開示するメインのステークホルダーを考慮する必要がありますが、リスク面の開示は必須です。ロジカルにコミュニケーション・プロセスに組込みましょう。

統合報告書に関する調査

日本企業の統合報告書に関する調査2015

2015年は「コーポレートガバナンスコード」発行などもあり、CSRが一段とIRに近づいた年となりました。

以下、気になるデータを紹介します。統合報告書の発行部門は「PR(広報)・IR・CSR」の3部門がほとんどをしめているようです。またほとんどの企業はマテリアリティを決め開示できていないと。身も蓋もない話ですが、マテリアリティを決めずしてよくCSR活動できますね。マテリアリティがない、もしくはあるけど発表するほどではない、という企業は“場当たり的な”CSR活動を毎年しているということでしょうか?

マテリアリティ

発行部門

統合報告の取組みに関する意識調査

日本企業の統合報告の取組みに関する意識調査2016

統合報告書

統合報告書

統合報告書

連続でKPMGさんの資料をしました。監査法人の業界を詳しく知りませんが、他の監査法人さんはなんでこういうレポート出さないのでしょうか。もったいない。

各社新聞社だってまず統合報告書ネタではこのKPMGの資料を引用してますし、リサーチ能力はあるのでやればいいのにと勝手に妄想しております。大変申し訳ありません。

さて、本調査ですが、統合報告書の内容より、その補足情報が勉強になりました。その内容は上記の図のとおりです。

僕が感じること

IIRCのガイドラインに従っているかどうかは関係なく、企業は一通りブームとなった統合報告書の意義を再度確認すべきでしょう。

日本のCSRは、積極的に取り組むトップ500〜300社が色々動くだけで、他の上場企業(3,000社程度)は何年経っても、対して取り組もうとしない、という実態があります。ですので、毎度言っていますが、日本では、このまま行けば、300社を超えたあたりで普及は一段落すると思われます。個人的な予想ですが、多分あたると思うんですけどね。

統合報告書を何回か発行して、株主・投資家のほとんどが読まないとか、読者のリアクションはあまりないよねってことに気付いたら、有価証券報告書/アニュアルレポートに非財務情報を載せた方がいいやん!ということに視点が行くかもしれません。

だって、そんなに成果につながるなら、上場企業で800社はCSR報告書を出しているとされているのに、そこはなぜ早急に取り組まないの?って話じゃないですか。(CSRウェブコンテンツも、CSR報告書も、統合報告書も出していない上場企業が1,000社以上あるという事実も驚きですが…)

まぁ、調査機関が本人たちの宣言は関係なく“勝手に”統合報告書としているだけで、実は・・・・・・なんて現状もあったりなかったりします。ですので、せっかく統合報告書にチャレンジすることが決まったのなら、それなりに企画や一部の実務までコンサルティングをしてくれる制作会社に発注しましょう。毎年のように制作会社を(不満があって)変えている企業担当者の方の話を聞く度に、他人事ながらCSR支援をさせていただいている立場として申し訳なくなってきます・・・。

まとめ

こうした点から考えると、どう活動するかより何を開示するかという方が、多くの情報利用者にとって重要なことなのかもしれません。

僕も仕事柄、報告書制作の仕事はほとんどしませんが、企業の報告書制作会社さんのリサーチしてます。評判の悪い会社が多いわりには、「良い」という評判が出回る制作会社が少ないのもなんとも言えない哀愁があります。なぜ、企業と対立してしまう制作会社が多いのか…。残念でなりません。

結論としては分かっていいて「制作担当者のCSRリテラシーがピンキリだから」です。年々、評判が悪くなる会社と良くなる会社の差は、担当者のレベルが高いか低いかの差でしょう。

というわけで、蛇足ばかりになってしまいましたが、企業側の担当者も丸投げせず、今回紹介した統合報告書まわりのデータなどを確認しながら、制作会社に頼りすぎない、報告書制作ができるといいですね。もちろん、予算をいただければ、僕もサポートをさせていただきますけどね。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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