CSVを超えるオリジナリティを作る–味の素「ガーナ栄養改善プロジェクト」

味の素CSR-CSV

ガーナ栄養改善プロジェクト

今回は、味の素が行なっている「ガーナ栄養改善プロジェクト」の紹介をします。

この取組みはCSR部門が行なっているプロジェクトなものの、ウェブサイトにも書かれているとおり「ソーシャルビジネス」(インクルーシブビジネス)的な取組みとなっており、非常に注目度の高いものとなっています。

「ガーナ栄養改善プロジェクト」のように、ビジネス・セクター(企業)、ソーシャル・セクター(NPO/NGO)、パブリックセクター(政府・自治体・大学)による協働プログラムは、「トライセクター・コラボレーション」や「マルチステークホルダー・コラボレーション」とも呼ばれています。このプログラムは、マルチステークホルダー・コラボレーションの日本先進事例ともいえます。

ガーナ栄養改善プロジェクト


栄養改善で子どもたちの未来を拓く ~ガーナ栄養改善プロジェクト~

味の素グループが創業以来積み重ねてきた、食品やアミノ酸についての膨大な知見。それを、開発途上国の深刻な栄養不足の問題を解決するために活かせないだろうか―。その想いをソーシャルビジネスで実現することを目指して始まった「ガーナ栄養改善プロジェクト」。離乳食の栄養バランスを改善・強化するサプリメントの製造・販売を通じて、離乳期の子どもの栄養改善への貢献を目指しています。
ガーナ栄養改善プロジェクト

Ajinomoto Group Shared Value

味の素CSV-ASV
(「味の素グループ サステナビリティレポート 2015」より引用)

Ajinomoto Group Shared Value」(ASV)という、味の素らしいCSV(共有価値創造)モデルで素晴らしいですね。たしかNECさんのグループもCSV経営を前面に押し出していますが、オリジナリティという意味では、味の素さんの見せ方のほうが評価はできます。

まず、CSVの背景として、最近のCSV論やCSV経営戦略は“CSRの存在意義の否定”から入っています。(元々のポーター氏の概念がそうなっているし)それが、あまり納得できないんですよね。個人的に。

だから僕はこの図が結構好きなんです。CSRはダメでCSVやろうではなく、「CSR・社会貢献活動」と「経済活動」の重なる領域にCSV(ここではASV)があるという考え方だからです。

これこそが、本来望むべきCSVの形なのではないでしょうか。実際、業種・規模問わず、“戦略上”でCSVがどうこういっている“だけ”会社って、“社会的インパクト”や“CSR評価”が低いところ多いですよ。(もちろん実績豊富な企業もありますよ!)

そしてシェアードバリューによる価値創出は、基礎となるCSRができていてこそのものです。例えば、味の素さんが、コンプライアンスやコーポレートガバナンスをはじめとして、環境・社会に対するアクションが適当で、CSR評価も低いし訴訟やクレームが多いという会社だったら、「ガーナ栄養改善プロジェクト」がどんなに素晴らしい活動でも、「そんなことより、まずやるべきことをちゃんとやれ」と株主や顧客などの声の大きいステークホルダーから突き上げられるでしょう。

CSVは文脈・背景(コンテクスト)が重要な概念です。それは、味の素以外の会社がマネをして「ASV」をマネしようとしてもできない、ということも意味します。社長も規模も、歴史も何もかも異なる企業がマネできるはずがありませんよね。だからこそ、オリジナリティのあるCSR/CSVというのは競争戦略となりうるのではないでしょうか。戦略部分だけCSVにしても、価値創出なんてできませんよ。

味の素のCSR評価

で、僕だけではなく、世間一般でも味の素さんのプログラムの評価が上がっているようです。

栄養へのグローバルアクセス指数2016 味の素の栄養改善取り組みが高評価
味の素、ガーナで挑むグローバル化への最終関門 慈善ではない「栄養改善プロジェクト」のワケ

上記の記事は面白かったので、お時間がある時にチェックしてみてください。

他の評価指標でのCSR評価の推移を見てみましょう。メジャーな所のほうが分かりやすいので「CSR企業ランキング」(東洋経済新報社)で。

2016年:24位
2015年:11位
2014年:20位
2013年:68位
2012年:98位

担当者の方の努力や、トップのコミットメントが浸透きているせいか、着実に実績を積み上げ、2014年以降でCSRランキングのトップランナーの仲間入りを果たしています。2015年・2016年ともに、「人材」、「環境」、「企業統治+社会性」という3カテゴリーすべてにおいて高得点。総合力ではトップ10企業に負けていません。

で、味の素みたいに、ここ3年くらいで一気に評価を上げてきている会社に共通点があるように感じています。それは「担当者のスキルとマインド」です。

「スキルとマインド」とは、CSR全般に関する知識はもちろん、実務におけるリーダーシップ、トップマネジメントを巻き込む提案力、社内外のステークホルダーを統率する調整力、CSR推進にかける情熱・熱意、予算をひっぱれる社内営業力、などなど。CSR担当者が適当で、対外的な評価が高い企業はほとんど見たことがありません。企業が経営者の器以上に成長しないのと同じく、CSRレベルもCSR担当者を大きく超えるものにはならない、というのが僕の持論です。

ただ、他の部門から移ってきたばかりであるとか、他部門との兼任担当者などは転属時点で専門知識や人的ネットワークないでしょうし、そこですべてを求めるのも酷な気がします…。他の部門と違い通常業務では知ることのない専門知識や特殊ノウハウが多い部門なので、3年以内に担当者異動(ジョブローテーション)をしている会社は、いつまでもCSR評価の上位が狙えないということもあると思います。

まとめ

評価って、努力なしではありませんね。

それこそ、例えば、トヨタさんや富士ゼロックスさんはずっとトップランナーなので、評価されて当たり前みたいな所あるんです。むしろ、評価落ちたら”何してんの?”みたいな。だからといって、ここ3年で本気になってトップランナーの仲間入りできる企業って数社程度ほどしかありません。

個人的には、味の素さんには「ほんだし」や「アミノバイタル」(ランニング後に摂取)でいつもお世話になっています。僕も「ほんだし」のような、旨味がよく出る人間を目指し、日々活動をしていこうと思いました。

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