CSR広報

CSRから見た広報

最近お会いするCSR推進担当の方で、広報出身もしくは広報部門のCSR担当という方が増えています。

まぁ、そもそもCSR担当になる人のパターンってそんなに多くないので、よくある話といえばそれまでですが。というわけで、CSR部門のあり方と、広報との兼ね合いについてまとめます。

ちなみに、僕は広報の専門家ではないので、完全にCSR視点での解説になりますがご了承ください。

CSR担当者は日本に何人いるの?

とある方と話をさせていただいていた時、CSRの専任担当者はどのくらいの企業規模が境目になるのか、という話題で盛り上がりました。

結論、2,000〜3,000億円規模の売上の企業から専任が増えているのでは、と。もちろん、売上1,000億円レベルの企業でもCSRの専任担当者がいる所もあるでしょうけど、それは稀な事例である可能性が高いのです。専任の少なさでいえば、超大手のCSR先進企業と言われる所でもCSR専任スタッフが1〜3人程度という話は良く聞くし。

では、日本の上場会社の約3,500社でどれくらいのCSR担当者がいるか。規模だけではないにせよ、数百社程度っぽいんですよね。いわゆる大手企業とされる15,000社程度に枠を広げても、専任がいるのは1,000社ないでしょうね。実際500社くらいなのかな。

「日本にいるCSR専任担当者の数」(担当役員、委員会などは含まず)のフェルミ推定的な答えとしては「500社×2人=1,000人」でしょうか。この貴重で稀有な方たちをCSR支援企業がよってたかって営業するわけだからねぇ…。

で、注目ポイントは、ではCSRの兼任担当者はどこの部門の兼任かという話です。企業側からすれば“大きなお世話”でしょうが、色々なデータや僕の名刺のストックを見る限り、トップは「広報部門」でしょう。最近は、「コーポレート・コミュニケーション部門」というのかもしれません。

これも“大きなお世話”で恐縮ですが、CSR兼任担当者の本業部門が、企業のCSR方針や戦略に大きく影響をします。IRや広報にCSR担当者がいる場合は、コミュニケーション領域(CSR報告書制作など)からCSRに入ります。経営企画や社長室などの企画・戦略系では、比較的本業に近い領域からCSRに入ります。

環境系は文字通り環境活動から入ります。人事・総務系にCSR担当者がいる場合、実務的CSR(ダイバーシティ推進とか)か、もしくは社会貢献的なCSR活動から入ります。

※そういう傾向があるということで、必ずしもすべての企業にあてはまるわけではありません。

唯一絶対の正解があるわけでもないし、CSR活動をまわす“仕組み”ができていれば、それでもいいような気がします。CSRを何年も勉強したり、経験したりする人は少ないので、専任を作りようがないという会社も、規模に関らずあると思います。

ということで、前置きが長くなりましたが、常時、企業の情報が集まってくる広報担当者がCSR担当を兼任するのは“利に適っている”と思います。(唐突っ!?)

CSRと広報の差

さて、ではCSRと広報について、もう少し考えてみましょう。

よく言われるCSRのメリットとして、「レピュテーション向上」、「マーケティング効果」、「ブランディング向上」などがありますが、やはりそこにフォーカスしすぎると、CSR本来の意味や意義が薄れてしまうのではないだろうかと思うのです。

CSRの効果計測は重要です。数値化(見える化)しなければPDCAをマネジメントできません。しかし、それにより、より効率や成果にフォーカスがあたり、ステークホルダー利益がないがしろになってしまう可能性もあります。

ですので、CSR活動そのものの効果計測はしながらも、コミュニケーション活動としてはより広報的なポジションによることも求められます。文字通りのPR(パブリック・リレーション)です。

PRの考え方や定義って、CSRコミュニケーションに非常に近いものです。そういう意味では、広報部門とCSR部門が近い会社が多いという状況が、日本のCSRコミュニケーションやステークホルダー・エンゲージメントを飛躍的に成長させる可能性があると思っています。(CSRの実務は別の話ね)

まとめ

本記事で言いたかったのは、CSRコミュニケーション(ステークホルダー・エンゲージメント)って、CSR担当者より広報担当者が適任かもなぁ、ということ。(前置きが長くてすみません)

CSR専任がいる企業は、より広報と連携する必要があるし、他の部門兼任でCSR担当をしている方は、ステークホルダー・エンゲージメントの視点でいうと、本業部門より広報部門との連携が進められる仕組みや制度を先に整備すべきかもしれません。いわゆる「統合思考」の考え方ですね。

CSR部門って、他の部門以上に統合思考が重要だなと思った、今日この頃でした。以上です。

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