ブラック企業経営者の本音

大抵、ブラック企業というものは、従業員視点の話が多い。

経営者は知って知らずか、間違っても自分はブラック企業の経営者であると言わない。

2014年に入ってからも、某外食企業、某アパレル企業などの“ブラック”なネタが語られる場面が多い。本書では、経営側つまり、経営者や会社の仕組みとしての解説がある。

社員を使い捨てにするポイントを始め、従業員を無理矢理に長時間拘束する、残業代を払わない方法などの、裏話が満載。

つまりは、ブラック企業は総じて「自分が一番」なのですね。自分たち(企業側)がよければ、それでよし、というわけです。

従業員が困っても、うまく説教・説得をし働かせる。“うつ”になるのは会社がいけないのではなく、従業員がいけないんですよ。って感じ。

そういう人権も人件費も削って儲けている企業は、財務体質はよかったりすんですよね。当たり前っちゃあ当たり前ですけど。

ブラック企業論はCSRの労務問題としてもはや社会問題化したとも言えるのでしょうが、経営者も“なんでウチがブラックって言われなきゃいけないんだ?”って本気で思っている企業も多く、これが怖い所…。会社の規模に関係なく、過度なハードワーク・自己負担を押し付ける経営者やマネージャーはどこにでもいるもんですよね。

本書ではないけど、僕が友人から聞いた「ブラック社長の見分け方」は、「社長が書籍を2冊以上出している」とブラック認定なんだとか。これはマネージャーでも何でも言える、と。

1人社長(従業員が自分1人の企業)である場合は従業員がいないからいいけど、作家でもなんでもない社長が書籍執筆業や講演業で忙しくなってきたら、もうその会社はアウトです、ってことなのでしょう。

実際に、有名なブラック認定されている企業の社長の多くは、たくさんの書籍を書いています(ゴーストライターもあるかもしれないけど)。書籍を読んで、社長に憧れて入ってくる若い従業員は、何か理不尽なことをされても、憧れがある分、従順になるらしい…?

何にせよ、企業側からみたブラック企業について知りたい方は購入してみてはいかがでしょうか。

「ブラック企業経営者の本音」(秋山謙一郎)


ブラック企業経営者の本音 (扶桑社新書)